不動産用語集

不動産用語

用語の頭文字

あ行

IT重説

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。

重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。しかし、情報技術を活用すれば、インターネット等を利用して説明し、電磁的方法で書面を交付することができるとして、賃貸取引は平成29(2017)年10月から、売買取引は令和3(2021)年4月からIT重説の本格運用が開始された。なお、令和4(2022)年5月の宅建業法改正により重要事項説明書の電磁的交付ができるようになっている。

IT重説を実施するに当たっては、主に次の点に留意が必要になる。1)取引士により重要事項説明が行なわれ、取引士証が提示されること、2)重要事項説明を受ける者が契約者本人であること、3)取引士が、必要な内容について伝達すること、4)取引士と重要事項説明を受ける者とのやり取りに十分な双方向性があること。

なお、実務に関する詳細は国土交通省より出されている「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」「マニュアル等の活用支援ツール」「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」等を参照する必要がある。

アイランドキッチン

壁に接することなく独立して設置された調理台の形式。部屋の中で島(英語でアイランドIsland)のようなかたちとなることから名づけられた。

アイランドキッチンは、対面型のキッチンであるとともに、オープンキッチン(ダイニングルームや居間とつながった形式)でもある。開放感やコミュニケーション性に優れている一方、設置のために部屋の広さや強力な換気装置が必要とされる。

なお、アイランドキッチンに類似した調理台の形式として、一端のみ壁に接するかたちのもの(ペニンシュラキッチン)がある。

青田売り

完成する前に宅地や建物を売却すること。新築マンションや戸建分譲住宅の販売手法として広く使われている。
売主は事業リスクを回避し、早期に資金を回収できるなどの利点があるが、買主には、確実に建物が完成するかどうか、完成物での仕様や品質が予定どおりであるかなど、引渡しまでのあいだ不安が残りやすい。そこで、宅地建物取引業法では、宅建業者に対して建築確認前の広告や契約の禁止、手付金等の保全義務などを課している。

空家対策特別措置法

適切に管理されていない空家等について、その状態を是正するための措置を定めた法律。正式には「空家等対策の推進に関する特別措置法」といい、2014(平成26)年に制定された。

同法は、市町村による空家等対策計画の策定、空家等の所在や所有者の調査、データベースの整備等を規定している。

さらに、ア)倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態、イ)著しく衛生上有害となる恐れのある状態、ウ)適切な管理が行なわれないことにより著しく景観を損なっている状態 、エ)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態の空家等を「特定空家等」として指定して、是正のための立入調査や、措置の指導、勧告、命令、代執行を行なうことができるとする規定や活用拡大、管理の確保について定めている。なお、空家等の活用の拡大、管理の確保、特定空家等の除却等の観点から、対策強化を目的とした改正が2023(令和5)年12月に施行された。

また、措置の勧告を受けた特定空家等に係る土地については、固定資産税等の住宅用地特例から除外することとされている。

空家に係る譲渡所得の特別控除

相続した空家の譲渡利益に対する所得税について、課税を軽減する措置。

課税の軽減は、譲渡所得を計算するとき、譲渡利益から3,000万円(譲渡利益が3,000万円未満のときはその額。令和6年1月1日以後に行なう譲渡で被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円まで)を控除する方法で行なう。

特別控除が適用されるのは、相続開始の直前まで被相続人が住んでいた居住用家屋とその敷地を譲渡する場合であって、相続が開始した日から3年を経過する日の属する年の年末までに譲渡するなど一定の条件を満たす場合に限られる。

なお、この措置については、適用期限が定められているので注意が必要である。

悪意

私法上の概念で、契約などの法律的な行為の際に一定の事実を知っていることをいう。

逆に知らないことを「善意」という。民法などの規定において、事実を知っているかどうかによって行為の効果に違いが生じることがあり、一般に悪意の場合には不利になる。

例えば、AがBに不動産を虚偽で売却したうえで登記をしたときにはAB間の取引は無効であるが、その登記済みの不動産をCが買収した場合に、CがそのAB間の取引が虚偽であることを知っていた(悪意である)ときには、ABはCに対して当該不動産の所有権移転が無効であると主張できる。しかし、Cが知らなかった(善意である)ときには、その主張はできない。悪意の場合には、善意の場合に比べて法的に保護を受ける効果が劣るのである。

アスベスト

石綿(せきめん・いしわた)のこと。

繊維質であるため紡績することができる。また、耐久力があり、溶融点が1,300度程度と高く、熱絶縁性が大きく、耐薬品性も大きいなど、安価で優れた性質を持つため、さまざまな用途に使用されてきた。建築素材としても、断熱材、保温材、耐火材として大量に利用された。

しかし、石綿の繊維を肺に吸入すると、肺がんや中皮腫の原因となることがわかり、1975年には吹き付け使用が禁止され、以後、段階的に使用の規制が強化 されて2006年には全面的に輸入・製造・使用等が禁止された(代替品が確立していない特定の部材については例外的に確立までの間は禁止が猶予されてい る)。

建物の解体などの際には、使用されていた石綿が飛散するなどの恐れがあり、それに伴う健康被害を予防するため、作業方法などについて一定の基準が定められている。

預かり金

他者から預かっている金銭。例えば、賃貸住宅を貸したときに受領する敷金、支払い給与から源泉徴収した税金、取引に当たって受け取った保証金などは、いずれも預かり金である。

預かり金は、いずれは返還しなければならないから、貸借対照表では負債として処理される(1年以内に返還するものは流動負債、1年を超えて預かるものは固定負債)。

なお、返還する必要がなくなった預かり金は、金銭の支払いを受けたことになるので、収入として計上する。また、「預かり金」の逆は「預け金」である。

アセットマネジメント(Asset Management)

委託を受けて不動産などの資産の形成、運用、保全を行なうことをいう。

その際に重要なのは、投資目的に沿ってリスクとリターンをコントロールすることであり、資産価値を評価するほか、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定などについて工夫することが要求される。
また、その業務は多岐にわたり、例えば不動産を組み込んだアセットマネジメントにおいては、投資不動産の選定や売買だけでなく、不動産の収益性を左右する賃料の設定、テナントの選定などの業務にも関与する。

受託の方法として、大きく信託による方法と受委託の契約による方法とがあるが、その業務は、前者は主として信託業法によって、後者は主として金融商品取引法宅地建物取引業法などによって規制されている。

RC

「鉄筋コンクリート構造」という意味である。

鉄筋とコンクリートによって、柱・小梁・大梁・スラブ・壁を造り、すべての部分を一体化した構造のこと。
鉄筋コンクリートの部材は、引っ張る力にも、圧縮する力にも強いので、地震に対する安全性が高い構造となる。
また、すべての部材がコンクリートで一体化され、部材同士の接合部は剛であるので、建築学上の「ラーメン構造」となっている。

この鉄筋コンクリート構造のデメリットは、自重が大きいため、原則的には大空間建築や高層建築に向かないということ。

遺産分割

相続財産を相続人が分けることをいう。

遺言により各相続人の取得する財産が具体的に記されている場合を除いて、相続人全員で協議して、誰が、どの財産を、どの方法で、どれだけ取得するかを決めなければならないのである。

遺産分割の協議は、民法で「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」とされている。遺産分割協議に相続人全員が参加していなかった場合は、その遺産分割協議は無効となる。

また、協議は相続人間での任意の話し合いであり、相続人全員で協議し、全員が賛成すれば、遺言や法定相続分に関係なく財産をどのように分けることも自由である。なお、協議ができないときや不調のときには、家庭裁判所で決めてもらうこととなる。

具体的な分割の方法としては、遺産そのものを現物で分ける現物分割、相続分以上の財産を取得するときにその代償として他の相続人に金銭を支払う代償分割、遺産を売却して金銭に変換したうえでその金額を分ける換価分割がある。

なお、遺産共有状態にある共有物に共有に関する規定を適用するときは、法定相続分(相続分の指定があるケースは、指定相続分)により算定した持分を基準とする。また、共有者は、裁判所の決定を得て、所在等不明共有者(氏名等不特定を含む)の不動産の持分を取得することができるが(2023年4月1日以降)、相続開始から10年を経過していなければならない。

意思能力

法律行為を行なったときに、自己の権利や義務がどのように変動するかを理解するだけの精神能力のこと。法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とするとされている(民法第3条の2)。また、その範囲について、行為の時に意思能力を有しなかった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。行為の時に制限行為能力者であった者についても、同様とするとされている(民法第121条の2第3項)。
意思無能力者とは、具体的には小学校低学年以下に相当する精神能力しか持たない者と考えられる。
通常、法律行為が無効であれば、その無効は契約等の当事者の誰からでも主張することが可能とされており、意思無能力者の行なった法律行為も同様である。

ただし、意思無能力者の法律行為が無効とされるのは、意思無能力者を保護する趣旨であるので、意思無能力者が無効を主張しない場合(契約等の効力の存続を希望する場合)には、契約等の相手方から無効を主張することは許されない、とする有力な学説がある。

遺贈

民法に定める方式の遺言により、特定の者に財産を贈与すること。

民法では、民法に定める方式による遺言のみを認めており、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式による遺言が定められている(民法第967条、第976条から979条)。
これらの遺言において、遺言をする者が、特定の者に対して財産を贈与する意思表示をすることを「遺贈」という。

特定の者に財産の何分の一を与えるというような抽象的な意思表示を「包括遺贈」、この家を与えるというような具体的な意思表示を「特定遺贈」と呼んで区別している(民法第964条)。
「包括遺贈」には、民法の「相続」の規定の大部分が適用されるが、代襲相続遺留分減殺請求権の規定は適用されない(民法第990条)。

1号市街地

東京特別区等の人口の集中の特に著しい大都市を含む都市計画区域内の市街化区域においては、都市計画マスタープランとして、都市再開発の方針を定めるよう努めなければならない(都市再開発法第2条の3、都市計画法第7条の2)とされている。 

この規定に従って定められる都市再開発方針の内容は、都市再開発法第2条の3に定められているが、同条第1号に「当該都市計画区域内にある計画的な再開発が必要な市街地に係る再開発の目標並びに当該市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用及び都市機能の更新に関する方針」とあり、ここでいう「計画的な再開発を必要とする市街地」とされたものを「1号市街地」と呼ぶ。

さらに、同条第2号には、1号市街地の中で、特に一体的総合的に再開発を促進すべき地区を定めることとしており、これを「2号地区」と呼んでいる。

1号物件

建築基準法第20条第1項では、建築物の規模等に応じて求められる構造耐力の基準を定めている。このうち同項第1号に、「高さが60mを超える建築物」についての基準が定められており、この対象となる超高層建築物が「1号物件」と呼ばれる。

1号物件の構造計算においては、時刻歴応答解析等の高度な数理解析の方法によらなければならず、その方法は、技術的基準に適合するものであるとの国土交通大臣の認定を受けなければならない。

また、1号物件の設計は、構造設計一級建築士が行なうか、そうでない場合には、構造設計一級建築士の確認を得なくてはならない。

位置指定道路

特定行政庁から道路位置指定を受けた私道を、一般に「位置指定道路」と呼んでいる(建築基準法第42条第1項第5号)。

位置指定道路は「建築基準法上の道路」であるので、位置指定道路に面する土地では、建築物建築することができる。

一括競売

土地の競売に当たって、土地に対する抵当権の設定後にその土地に建物が築造された場合に、土地とともにその建物をあわせて競売することをいう。民法によって認められている。

なお、建物に対して抵当権が設定されていない場合や建物所有者が債務者と異なる場合にも当該建物を競売できるが、優先弁済の対象となるのは土地の対価についてのみであるほか、建物所有者が抵当地を占有するについて抵当権者に対抗することができる権利を有している場合は建物の競売はできない。

一級建築士

建築物の設計や工事管理を行なうことのできる資格のひとつ。建築士法に基づき、国土交通大臣の行なう一級建築士試験に合格し、大臣から免許を受けることによって得ることのできる資格である。

建築物の設計・工事管理は、用途、構造、規模に応じて定められた一定の建築物について、一級建築士、二級建築士または木造建築士が行なわなければならないとされている(建築基準法)。この場合、二級建築士および木造建築士については設計・工事管理を行なうことができる建築物に制限があるが、一級建築士は、すべての建築物について設計・工事管理を行なうことができる。

ただし、一定規模以上の建築物の構造設計または設備設計に関しては、構造設計一級建築士または設備設計一級建築士による構造関係規定または設備関係規定への適合性の確認を受けるか、それらの者が自ら構造設計または設備設計を行なう必要がある。

一戸建て

独立した一軒の家屋がひとつの住戸となっている住宅。「戸建て」も同じ意味である。これに対して、複数の住戸で構成される建物を「集合住宅」「共同住宅」という。

逸失利益

損害賠償において請求することのできる損失の一つで、本来得られるべきであるにもかかわらず得られなかった利益をいう。

「得べかりし利益」とか「消極的利益」ともいわれる。

例えば、事故による入院中に得ることのできなかった収入や、後遺障害によって生じる減収はこれに当たる。現実に生じた損失(「消極的利益」に対して「積極的利益」といわれる)に比べて、額の算定に当たって幅が生じやすい。

なお、慰謝料とは異なることに注意。

一般承継人

他人の権利義務を一括して承継する人のことで、包括承継人ともいわれる。例えば被相続人の財産等を包括的に承継する場合の相続人がこれに当たる。承継するのは一身専属権(譲渡が禁止されている債権など)を除くすべての権利義務である。

なお、個別の権利を承継する人を特定承継人といい、例えば売買によって所有権を取得する者がこれに該当する。

一般定期借地権

借地借家法(1992(平成4)年8月1日施行)により創設された3種類の定期借地権のうちの一つ。

「一般定期借地権」とは次の3つの契約内容を含む定期借地権のことである。

1.更新による期間の延長がない。
2.存続期間中に建物が滅失し、再築されても、期間の延長がない。
3.期間満了時に借地人が建物の買取を地主に請求することができない。

なお、「一般定期借地権」の存続期間は少なくとも50年以上としなければならない。

一般媒介契約

媒介契約の一つの類型。
一般媒介契約とは、次の1.および2.の特徴を持つ媒介契約のことである。

1.依頼者(すなわち売主等のこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
2.依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則的に自由である。

なお、依頼者が、「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて依頼する場合において、その「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に通知するかどうかにより、一般媒介契約はさらに次の2つの類型に分かれる。

1)明示型の一般媒介契約
明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知する義務があるとする媒介契約である。
2)非明示型の一般媒介契約
非明示型の一般媒介契約とは、「他の宅地建物取引業者」の名称と所在地を、「依頼した宅地建物取引業者」に対して通知しなくてよいとする媒介契約である。

移転登記

ある権利を有した人から他の人へ、その権利が移転したことによってなされる登記をいう。記入登記のひとつである。記入登記とは登記をその内容によって分類した場合のひとつで、新しい登記事項が生じた場合これを登記簿に記入することを目的としてなすものをいい、ほかに表示登記、保存登記、設定登記及び処分制限の登記がこれに属する。移転登記は、附従性を持つ地役権を除き、登記できるすべての権利についてなされる。なお、所有権の移転登記は主登記でなされ、所有権以外の権利の移転登記は附記登記でなされる。

囲繞地

公道に通じていない土地を囲んでいる周囲の土地をいう。

民法は、他の土地に囲まれ公道に接していない土地の所有者は、公道に至るために囲繞地を通行することができる(囲繞地通行権)としているが、これは、囲繞地に対して、囲繞する土地を受益地とする法定地役権が設定されていると考えることができる。

囲繞地通行権

他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者が、その土地を囲んでいる他の土地(囲繞地)を通行できるとする権利。民法で定められている権利である。「公道に至るための他の土地の通行権」ともいわれる(民法第210条)。

この場合、袋地の所有者は、囲繞地を通行するために与える損害に対して相応の金銭を支払うことが必要とされている。ただし、土地を分割した結果として袋地が発生した場合には、当該袋地の所有者は、公道に至るために、分割された他の土地を無償で通行することができる。

委任契約

民法上の典型契約の一つで、法律行為の実施を委託する契約をいう。労務供給契約であるが、雇用契約と違い受任者の裁量で実施すること、請負契約と異なり結果の完成が必須ではないことに特徴がある。

宅地建物取引業における媒介契約は法律行為の実施を委任するものではないから民法上の委任契約ではないが、準委任契約として委任契約の規定(民法第643~656条)が適用されることとなる。ただしその適用においては、特別法である宅地建物取引業法の規定が優先する。

居抜き

店舗や工場などを、その内部の商品、設備、什器備品などを設置したままの状態で売買・賃貸すること。
居抜きで購入もしくは借りた場合は、以前のままの内装や設計設備等が付帯するので、比較的早期で営業にこぎつけることができる。

違約金

契約に定めた事項に違反した者が相手方に対して支払う金銭をいう。違約罰のひとつである。一般に、契約に違反(債務不履行)した者は、法律に基づき、その違反によって相手方が被った損害を賠償しなけれぱならない(民法415条)が、違約金は、当事者が契約を締結する際、「この契約に違反した者は相手方に対して金100万円の違約金を支払う」というように、金額まで決めておくことに特徴がある。違約金の性質は契約によって定まるが、民法は賠償額の予定と推定している(同法420条3項)。賠償額が予定されると、違反者は損害が発生していないとか、実際の損害は予定額より少ないなどと争うことができないことになる。

違約手付

手付の一種で、債務不履行が発生した場合には、手付が没収される(または手付の倍額を償還する)という手付のこと。

例えば、売買契約において買主が違約手付1万円を交付したとき、買主に債務不履行(代金支払義務の不履行)が発生すれば、その1万円は没収される。反対に、売主に債務不履行(引渡し義務の不履行)が発生すれば、売主は買主に2万円を償還しなければならない。
このような違約手付は、損害賠償額の予定と解される。

わが国では、手付とは原則として解約手付とされているが、解約手付であると同時に違約手付であってもよいとされている。

インスペクション

既存住宅を対象に、構造の安全性や劣化の状況を把握するために行なう検査・調査をいう。日本語の「住宅」と英語のInspection(検査)を組み合わせた造語である。

住宅インスペクションは、目視等を中心とした現況把握のための検査、耐震診断等の破壊調査を含めた詳細な調査、性能向上等のための調査など、目的に応じて異なった内容で実施される。

既存住宅の売買に当たっては、現況把握のための検査が実施されるが、そのためのガイドラインとして「既存住宅インスペクション・ガイドライン」(2013年、国土交通省)が公表されている。同ガイドラインの概要は次のとおりである。

1)インスペクションは、検査対象部位について、目視、計測を中心とした非破壊による検査を基本にして、構造耐力上の安全性、雨漏り・水漏れ、設備配管の日常生活上支障のある劣化等の劣化事象を把握する方法で行なう。
2)業務の受託時に契約内容等を検査の依頼人に説明し、検査結果を書面で依頼人に提出する。
3)検査を行なう者は、住宅の建築や劣化・不具合等に関する知識、検査の実施方法や判定に関する知識と経験が求められ、住宅の建築に関する一定の資格を有していることや実務経験を有していることが一つの目安になる。
4)公正な業務実施のために、客観性・中立性の確保(例えば、自らが売主となる住宅についてはインスペクション業務を実施しないなど)、守秘義務などを遵守する。

また、建物状況調査における人材育成等による検査の質の確保・向上等を進めるため、「既存住宅状況調査方法基準」(2017年、国土交通省)が定められ、それに従ってインスペクションを実施するための「既存住宅状況調査技術者講習」が制度化された。

同基準は、既存住宅状況調査は既存住宅状況調査技術者講習を終了した建築士が行なうこと、調査は、構造耐力上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分に係る調査として、調査対象住宅の構造に応じて規定する劣化事象等をそれぞれ定める方法により調査することなどを定めている。

なお、宅地建物取引業法に基づき、宅建業者は、1)既存住宅の媒介契約に当たって交付する書面に、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載しなければならず、2)重要事項説明に当たって、建物状況調査に実施の有無及びその結果の概要を説明しなければならないとされているが(2018年4月1日から適用)、この場合の建物状況調査は、建築士又は国土交通大臣が定める講習を終了した者が実施する者に限定されている。

請負契約

当事者の一方がある仕事を完成することを、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことをそれぞれ約束する契約。例えば、住宅の建築工事、洋服の仕立て、物品の運搬などの契約がこれに該当する。

請負契約の目的は、仕事の完成であって労務の供給ではないから、仕事の目的物が定まっていて、通常は、目的物を引き渡すことで仕事が完成する。

請負契約については民法に一般的な規定がある。また、例えば建設工事の契約に関しては建設業法、運送契約については商法等のような特別法の適用がある。

民法は、
1)請負契約による報酬は目的物の引渡しと同時に支払わなければならないこと
2)引き渡した目的物が契約不適合の場合には、注文者は、補修等の追完請求報酬減額請求損害賠償請求、契約解除をすることができること(ただし、注文者の供した材料の性質または注文者の与えた指図等によって生じた不適合を理由にすることはできない。ただし、請負人がその材料または指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。)
3)契約不適合による請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から1年以内にその事実を通知しなければならないこと
4)請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約を解除できること
などを定めている。

なお、改正前の民法には、請負人の担保責任の存続期間について特別の定めがあったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって改められた。ただし、住宅の新築工事の請負に関しては、特定の部位についての契約不適合責任の存続期間は10年とされている(住宅の品質確保の促進等に関する法律)。

雨水枡

建物敷地に敷設された雨水排水管(雨樋や集水枡からの雨水を集めて導く配管)の合流部や屈曲部に設置される枡。一般に円筒形で蓋が付いている。土砂を沈積させるほか、清掃や配管の点検に用いられる。

なお、敷地内の雨水を処理する方法には、雨水排水管を敷地外の公共排水路に接続する方法と、雨水排水管を敷地内に設けた浸透枡に導いて地面に浸透させる方法とがある。

内金

内金とは、売買契約が成立した後に、売買代金の一部として買主から売主へ交付される金銭のこと。

手付が売買契約が成立する際に交付されるのに対して、内金は契約成立後に交付されるという違いがある。

また、手付は契約の義務が履行されれば代金に充当されるのに対して、内金は交付される時点ですでに代金の一部である。

売主

不動産の売買契約において、不動産を売る人(または法人)を「売主」という。
また不動産広告においては、取引態様の一つとして「売主」という用語が使用される。
この取引態様としての「売主」とは、取引される不動産の所有者(または不動産を転売する権限を有する者)のことです。

売主の瑕疵担保責任

売買契約によって引き渡した目的物(たとえば、販売した住宅)が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が負うこととなる責任。民法の規定による契約不適合責任のひとつで、これを「瑕疵担保責任」という。

売主に契約不適合責任を負わせるためには、買主は、追完請求(補修等の実施を求める請求)、代金減額請求損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。

民法は、契約不適合責任を負わせるためには、買主は、原則として契約不適合を知った時から一年以内に不適合である旨を通知しなければならないとしている。ただし、売主が不適合を知っていたときまたは重大な過失によって知らなかったときはその限りではないとされている。

また、売主は、知りながら告げなかった事実等についての契約不適合責任については免れることができないが、それ以外の事由による契約不適合については責任を負わない旨の特約をすることが認められている。

しかしながら、住宅の品質を確保するため、新築住宅の請負契約又は売買契約については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、契約不適合責任(瑕疵担保責任)について次のような特例が定められている。
(1)新築住宅の「構造耐力上主要な部分」及び「雨水の浸入を防止する部分」の契約不適合(瑕疵)について、請負人は注文者に引き渡した時から10年間、売主は買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から10年間、契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負う。
(2)契約によって、(1)の瑕疵担保期間を注文者又は買主に引き渡した時から20年以内に伸長することができる。

この特例は強行規定であり、特約によって責任を免れることはできない。

なお、民法には、売主の瑕疵担保責任について特別の規定があったが、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって削除され、契約不適合責任に統合・整理された。

売渡承諾書

所有者又は売却予定者が、第三者を名宛人として発行する売却の可能性を表明する文書のこと。

営業保証金

宅地建物取引業者が営業を開始するにあたって、供託所に供託しなければならない金銭。この保証金は、宅地建物取引業者との取引によって生じた債権の履行を担保する機能を果たす。

営業保証金の額は、主たる事務所につき1,000万円、その他の事務所につき事務所ごとに500万円である。

なお、宅地建物取引業保証協会の社員は営業保証金を供託する必要はなく、代わりに同協会に対して弁済業務保証金分担金を納付しなければならないとされている。分担金の額は、主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円である。

永小作権

小作料を支払うことにより、他人の土地で耕作または牧畜をすることができるという権利(民法第270条)。

1952(昭和27)年以前には、地主が小作人に小作地として土地を使用させる方式がとられていたため、小作人は永小作権者として土地を使用していたが、1952(昭和27)年の農地法制定により、そうした前近代的な地主・小作関係はほとんど姿を消した。このため今日では永小作権は殆ど残存していない(なお今日では農地の貸与は賃借権によって行なわれている)。

エコキュート

ヒートポンプ(熱媒体の圧縮・膨張サイクルによって低温の熱を高温に移す技術)を利用して、大気の熱で湯を沸かして給湯する機器。エコキュートという名前は「エコ」と「給湯」をつないだ統一商品名である。

熱媒体を圧縮するための動力源として電力を使うが、発熱のためのエネルギーとしては電力を利用しないため、水を直接に熱して給湯する場合と比べてランニングコストが小さく、環境負荷も少ないとされている。

SRC造

鉄骨鉄筋コンクリート造のこと。骨組を鉄骨でつくり、その周囲に鉄筋コンクリートをかぶせてその主要な構造部分をつくる建築方法。強度に優れ、高層住宅、高層建築物の建設に多く用いられる。

SDGs

国連が定めた世界が共通に達成すべき目標。SDGsは、英語のSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略語である。2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、2015年9月に国連で開かれたサミットで採択された。

持続可能な開発とは、「将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発」である。そのための目標群がSDGsで、「貧困に終止符を打つため、経済成長を促し、教育、健康、社会的保護、雇用機会を含む幅広い社会的ニーズを充足しながら、気候変動と環境保護に取り組む」ための17の目標(ゴール)で構成されている。目標は、人間・豊かさ・地球・平和・パートナーシップという広い分野にわたって設定されていて、その達成のためには、経済成長、社会的包摂、環境保護を調和させる必要があるとしている。

また、SDGs の17の目標については、その達成を具体的に評価する全部で169のターゲット(具体目標)が定められている。たとえば最初に掲げられた目標「すべての場所におけるあらゆるかたちの貧困を終わりにする」(目標1)については、「2030年までに、すべての場所において、1日1.25ドル未満で生活する極貧の人々をなくする」(ターゲット1.1)など7つのターゲットがある。

オリジネーター

不動産の証券化において、証券化の対象となる不動産、不動産信託受益権、不動産担保債権などを証券の発行に当たるSPC等に譲渡する者。原資産保有者、資産譲渡人ともいわれる。

証券化をスタートさせる役割を担うが、資産を譲渡したオリジネーターは資金を調達できるのである。また、オリジネーターは、証券化を推進する者と同一の場合もあるし、いったん不動産を譲渡したうえで、改めて同じ不動産を賃借することもある。

オーナーチェンジ

賃貸住宅の所有者が、賃借人が入居したままその建物を売却することをいう。

購入者は新たに賃借人を見つける必要がなく、投資用のワンルームマンションでよく使われる方法である。その際に、賃借人から預かっている敷金の引渡しや建物の管理ルールの引継ぎなどに注意が必要である。

オープンキッチン

居室・食事室と一体となっていて、部屋と仕切りがない調理スペースをいう。

間取りを広くとることができ、調理中にも居室とコミュニケーションを保つことができる一方、調理に伴う臭いなどが居室・食事室に波及することへの対応や、収納スペースの適切な確保が必要となる。

オープンハウス

本来は、企業のオフィスや生産施設を、顧客・取引先・投資家に見学させて、企業に対する理解度を高めるという企業広報活動のこと。

不動産業界では、販売しようとする物件の内部を一定の期間、担当営業員が常駐して、買い希望客に公開するという販売促進活動を指す。

オール電化システム

住宅内の熱源、例えば冷暖房、給湯、調理などに必要な熱をすべて電気で賄うシステムをいう。

燃料の燃焼による有害物質や水蒸気が発生しないこと、火事の恐れが比較的小さいことなどが特徴とされる。

か行

買換え特約

住宅を買い換える場合、手持ち物件の売却前に新規物件の購入契約を締結すると、手持ち物件を売却できないと非常に困ることになる。そこで、そのような事態に備えるためには、購入契約に「○月○日までに○○万円以上で手持ち物件を売却できなかったときは、本契約を白紙解除できる」旨の特約をつける必要がある。この特約を買換え特約という。

解除権

契約を解除る権利。民法で認められている権利である。

例えば、債務不履行、債務の履行不能、手付放棄、契約不適合などの場合に行使できる。

解除権の効力は、相手方に対する意思表示によって発生する。この意思表示は撤回できないとされている。また、解除は、一般に、期間を定めて債務の履行を催告し、その期間内に履行がないときにすることができるとされる。ただし、債務の履行が不能であるとき、債務者が債務の履行を拒絶する意思を表明しているときなど法律で定める一定の場合は、催告することなく直ちに解除できる。

解除権が行使されたときには、契約の当事者は、それぞれ相手方を現状に戻す義務を負う。ただし、第三者の利益を害することはできないとされている。また、解除権を行使した上で、損害賠償の請求をすることもできる。

なお、解除権を有する者が、故意、過失によって、契約の目的物を著しく損傷すること、加工・改造して他の種類のものに変えることなどをしたときには、その解除権は消滅する。

改築

建築物の全部もしくは一部を除却すると同時に、これと同様の規模・構造の建築物を建てることをいう。

建築基準法では、改築も「建築」の一種とされており(建築基準法第2条第13号)、改築についても建築確認を申請する必要がある(建築基準法第6条)。

買付証明書

購入希望者が所有者、又は所有者となる予定の第三者を名宛人として発行する購入の可能性を表明する文書である。発行人の購入意思を推定するに足る価格・時期・物件の範囲等を表示し記名押印を行う。しかし、購入希望者の確定的意思表示ではないので、これにより購入の義務までを負うものではない。不動産業界でも、発行人は随時これを撤回・取消し・否認できるものとして取り扱っている。発行人は所有者及ぴ所有者となる予定のある名宛人に発行した買付証明書が、第三者に流通しても直接の責任を負わない。媒介業者はこれをもって発行人の購入意思の説明に使うことができる。

買取再販

既存住宅を買い取り、リフォーム工事を実施した上で販売する事業形態をいう。

買取再販に当たって実施するリフォーム工事が、大規模な修繕工事、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修など一定の要件に該当する場合には、当該既存住宅の取得に係る登録免許税の軽減措置および、不動産取得税の軽減措置が講じられている。

買主

売買における目的物(土地、建物、商品など)の買手。買主は、売買契約によって目的物の所有権を取得し、それを使用・収益・処分することになる。一方、目的物の売手が「売主」である。

買主は売主に代金を支払い、売主は買主に目的物を支配する権能を移転する。この場合、売主は、買主に対して、目的物の引き渡し(動産について)、登記(不動産について)など権利移転の対抗要件を備える義務、目的物に瑕疵がある場合の担保責任などを負うことになる。

開発許可

開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(政令指定都市、中核市、特例市にあっては、当該市の長)の許可を受けなければならない。ただし、原則として、市街化区域においては1,000未満、区域区分が定められていない都市計画区域及び準都市計画区域においては3,000未満、都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域内においては1へクタール未満の開発行為についでは許可が不要とされている。また、市街化区域以外の区域内における農林漁業のための建築物の用に供する目的で行う開発行為のほか、社会福祉施設や医療施設等の公益的建築物の用に供する目的で行う開発行為、国や都道府県等の行う開発行為、都市計画事業の施行として行う開発行為等も許可が不要とされている。 許可が必要とされた開発行為には、宅地に一定の水準を保たせようとするため道路や公園等の公共空地の確保、給排水施設の配置、防災措置等に関する技術基準(都計法33条)が適用される。ただし、市街化調整区域における開発行為に限り、技術基準に加え、市街化調整区域において許可を受けることができる開発行為を限定する立地基準が適用され、他の区域よりも厳しい規制を受けることとなる。

買い戻し特約

不動産の売買契約の締結に当たって付加する特約であって、一定の期間、売主が代金額および契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解除し、目的物を取り戻すことができることを内容とするもの。これによって、解除権を留保することになる。

この特約は、所有権移転登記と同時に登記しないと第三者に対抗できない。売主が買戻権を行使できる期間は最長10年(期間の定めがないときには5年)である。

買い戻し特約は、公共的な宅地分譲において、建築義務、転売規制などを担保するために利用される。また、買い戻し特約を付けて不動産を譲渡し、債務弁済を担保する(売渡担保)ために利用されることもある。

解約

法律行為の一つで、意思表示により契約関係を消滅させることをいう。

意思表示の時点から将来に向けて契約消滅の効果が生じる。

例えば借地借家法では、定期建物賃貸借に関して、「やむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する」と規定している。

これに対して、契約の解除は、過去に遡って契約関係を消滅させることであるとされ、例えばクーリングオフによる契約の消滅は、解約ではなく解除による効果である。もっとも、解約と解除が混同されることも多い。

解約に伴い、一般的に、契約当事者は原状回復義務務を負うことになる。

解約手付

いったん締結した売買契約を、後に解除しうることとして授受される手付をいう。一般にその金額についての制限などはないが、宅建業者が宅地建物の売主の場合には、20%を超えることはできない(宅建業法39条)。解約手付が授受されると、買主からはそれを放棄すれば、また売主からはその倍額を返しさえすれば、契約を解除することができる(民法557条1項)。ただし、相手が契約で定められたことを始めるなど履行に着手すると、手付解除は認められない。解除の方法などは一般の場合と同様であるが、手付額、又は倍額のほかに損害賠償を請求することはできない(同法557条2項)。手付には、このほか証約手付、違約手付がある。

家屋番号

不動産登記に当たって建物に付される番号。登記された建物を識別するための番号であって、不動産登記法に基づいて登記所が付す。建物の位置を示す住居表示とは異なるので、注意が必要である。

家屋番号は、原則として建物の敷地地番と同じ番号が付されるが、「◯番」というように番号のみが記され、地名は表示されていない。また、同じ地番に2つ以上の建物が登記された場合には、「◯番の◯」のように枝番号(支号)が付されている。

土地の分筆区画整理事業等によって地番が変更になった場合でも、付された家屋番号は変更されない。従って、敷地の地番とその敷地の上の建物の家屋番号とが異なることがある。

価格査定

宅建業者が売却の媒介依頼を受けた不動産に関し、専門家の立場から依頼者へ助言する合理的希望価格の形成のための成約見込価格を調査・算出することをいう。業者は売買すべき価額について依頼者に意見を述べるときは必ず一定の標準的手法に従い、選択した取引事例を根拠として明示し、依頼を受けた不動産と比較検討して、客観性ある実際的な成約見込価格によらなければならない。この手法が価格査定マニュアルである。これに要する費用は媒介の成功報酬に含まれる(宅建業法34条の2第2項)。

確認済証

建築計画が建築基準関係規定に適合すると確認された場合に交付される書類をいう。

確認は建築工事に着手する前に受けなければならず、確認済証は確認した建築主事が交付する。

宅地建物取引業務においては、工事完了前の建物の売買等について、確認済証の交付を受けた後等でなければその広告をしてはならないとされている。
なお、建築工事完成後には、建築物が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を受けなければならず、検査により適合が認められたときに交付される書類が「検査済証」である。

瑕疵担保責任

売買契約請負契約の履行において、引き渡された目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売主・請負人が買主・注文者に対して負うこととなる責任。債務不履行により生じる責任のひとつで、目的物が特定物(その固有性に着目して取引され代替性がない)である場合の「契約不適合責任」と同義である。

瑕疵担保責任を負わせるためには、買主・注文者は、売主・請負人に対して、履行の追完請求(補修等の実施請求)、代金の減額請求報酬の減額請求損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。

なお、住宅の品質を確保するため、新築住宅の瑕疵担保責任について「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく特別の定めがある。詳しくは「売主の瑕疵担保責任(品確法における~)」及び「請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)」を参照。

過失相殺

損害賠償額から過失相当分を差し引いて損害を負担することをいう。

賠償を受ける者にも過失がある場合に、負担を公平に行なうために適用される。

よく交通事故の損害賠償の際に問題となるが、これに限らず、債務不履行や不法行為による損害賠償について一般的に考慮される。過失相殺の割合は、裁判で確定した事例をもとに判断されるが、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が有名である。

貸主

不動産の賃貸借契約において、不動産を貸す人(または法人)を「貸主」という。

不動産取引においては、取引態様の一つとして「貸主」という用語が使用される。

この取引態様としての「貸主」とは、「賃貸される不動産の所有者」または「不動産を転貸する権限を有する者」のことである。

 貸主は宅地建物取引業免許を取得している場合もあれば、そうでない場合もある。

 なお、不動産を賃貸することのみを業として行なう場合には、 宅地建物取引業の免許を得る必要はない。

瑕疵物件

取引の対象となった不動産の当事者の予想していない物理的・法律的・心理的な欠陥(瑕疵)があったときの、当該不動産をいう。

例えば、土壌の汚染、耐震強度の不足などの発見は瑕疵となる恐れが大きい。不動産売買契約締結時に発見できなかった瑕疵が一定期間内に見つかった場合には、買主は売主に対し契約不適合責任を追及することができる。

なお、心理的瑕疵については「不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会」での議論を踏まえ、国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定・公開している。

瑕疵保証

瑕疵が発見されたときにそれによって生じた損失を補填することを、あらかじめ約束すること。不動産に瑕疵があった場合には、売主が買主に対して瑕疵担保責任を負うのが原則であるが、それを補完するために、第三者が、瑕疵により発生した一定の損害を負担する仕組みがある。これが瑕疵保証である。

例えば、住宅の新築について工事請負人は引き渡しから10年間、住宅の構造耐力上主要な部分などについて瑕疵担保責任を負うが、住宅の性能を評価する制度を利用すれば、評価者がその瑕疵を保証する仕組みが用意されている。

課税証明書

住民税の課税額を証明する書類。住宅ローンの審査、児童手当の交付申請、公的年金の受給請求などの場合に必要となる。

市区町村が発行するが、交付の申請は「その年の1月1日時点の住所」の市区町村に対して行なわなければならない。

なお、「非課税証明書」は、課税額がゼロであることを証明する課税証明書である。

割賦販売

売買代金を分割して、一定の期間内に定期的に支払う販売方法をいう。

この場合の目的物の引渡しには、一定額が支払われるまで引渡しを停止する場合と、最初に目的物を引き渡したうえで代金債権の担保措置を講じる場合とがあり、一般的には後者が採用されている。

割賦販売においては、買主を保護するために、一定の割賦販売(宅地建物の割賦販売は該当しない)について、一定期間、無条件で申込みの撤回または契約を解除できる制度(クーリングオフ)が適用される。

なお、宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地建物の割賦販売の契約については、賦払金の支払いの義務が履行されない場合に、30日以上の期間を定めて支払いを書面で催告し、期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払いの遅滞を理由として、契約の解除や支払時期の到来していない賦払金の支払いを請求することができないとされている(強行規定)。

壁式工法

主として、低中居の共同住宅などの建築に用いられる構造形式のひとつ。 骨組構造のように柱や梁を使わないので、建物の内外に余分な突出部分がなく、空間を効率よく利用できる。また、力学的な安全性を確保するため、壁量、壁厚などに制限が設けられ、非常に堅固な建物となる。骨組構造に比較して経済的であるとして普及しているが、柱、梁がないため階数に限度があるとされ、高層建築には不向きといわれている。

仮換地

土地区画整理事業において、正式な換地に先立って行なわれる換地をいう。

土地区画整理事業では、事業によって、区画を変更する前の宅地(従前の宅地)から区画を変更した後の宅地(新しい宅地)へと所有権が変更されるが(これを「換地」という)、その時期は、土地区画整理事業を行なう区域のすべてについて必要な工事が完了した時点とするのが原則である。しかし、工事に長期間を要することが多いため、工事が先に完成した地区において、仮に換地を定めて土地の利用を認めることがある。このようにして仮に換地を定めるのが仮換地である。また、仮換地された土地そのものを仮換地ということもある。

「仮換地」された宅地は、将来、そのまま正式に換地されるのが原則である。

仮差押え

金銭債権を保全するため、債務者の財産を確保し、将来の強制執行を確実なものにする目的で仮に差し押さえることをいう。これら債権の弁済を受けるためには、最終的には判決を得て強制執行に着手するのであるが、それまでの間に債務者が財産の隠匿、逃亡等をしないように、仮差押えをして財産等の処分禁止をしておく。債権者は、自己の債権と保全の必要性を疎明し、保証金を積んで裁判所の仮差押命令をもらい(民事保全法20条以下)、債務者の不動産、動産、債権等の仮差押執行をする(同法47条以下)。債務者は仮差押えされた財産を処分しても仮差押債権者には対抗することができない。

仮差押の登記

債務者の財産を一時的に凍結するための裁判所の命令を「仮差押」と呼ぶ。

この仮差押がなされた場合には、登記簿に「仮差押の登記」が記載され、取引関係者に対して、財産の処分を一時的に凍結していることが公示される。

仮処分

物の引渡しを求めうる権利などについての強制執行を保全するため、その目的物についで保管人を置いたり、相手方に一定の行為を命じたりする仮の処分をいう。土地や家屋の引渡しの強制執行は、その物の占有者を相手方とする判決等により、その占有を排除して行われるが、判決等を得て執行するまでの間に、占有者が代わったり現状を変更されたりすると、その判決で執行することができなくなったり、著しく困難となったりするので、仮処分が利用される。債権者は自己の権利と保全の必要性を疎明し、保証金を積んで裁判所の仮処分命令をもらい(民事保全法23条以下)、仮処分の執行をしておく(同法52条以下)。命令に反した場合、仮処分債権者に対抗することができない。

仮登記

所有権移転登記などを行なうことが何らかの理由でできない場合に、仮に行なう登記のことを「仮登記」という。

例えば、A社がB氏に融資をした場合に「将来返済がされないときは、B氏所有の土地をA社に引き渡す」という契約を行なったとする。このとき、将来債務が返済されるかどうかは不確定であるので、所有権移転登記を行なうことは当然できない。そこで、A社はB氏所有の土地に対して仮登記を付けておく。
具体的には「所有権移転請求権仮登記、原因:売買予約、権利者:A社」という仮登記を付けておくことで、A社は確実に権利を保全できることとなる。

簡易課税制度

消費税が課税される取引(これを課税取引という)に基づく売上高を「課税売上高」と呼ぶ。

前々年における課税売上高が5,000万円以下であるとき、その会社または個人事業者は、仕入れにおいて支払った消費税額の複雑な計算をしないで、次のような簡単な計算で消費税額を求めることができる。

消費税の納税額=消費税を除外した課税売上高×(1−みなし仕入率)×消費税率

このように簡単な計算方法で消費税の納税額を求める制度のことを「簡易課税制度」と呼んでいる。

この「簡易課税制度」は1989年の消費税導入に際して、仕入れに係る消費税額の計算の事務負担が大き過ぎるという批判によって導入されたものである。

上記計算で使用する「みなし仕入率」は業種ごとに、第一種事業(卸売業)90%、第二種事業(小売業)80%、第三種事業(製造業等)70%、第四種事業(その他の事業)60%、第五種事業(サービス業等) 50%と定められている。不動産業は第六種事業40%とされている。また、複数の事業を営む場合には、原則として消費税額によって按分してみなし仕入率が適用される。

なお、この「簡易課税制度」を選択する場合には、税務署への届出が必要である。

換地

土地区画整理事業によって行なう土地の所有権の変更をいう。

土地区画整理事業においては、土地の区画についてその位置等を変更する必要があるが、そのために行なわれる、区画を変更する前の宅地(従前の宅地)から区画を変更した後の宅地(新しい宅地)への土地の所有権の変更手続が「換地」である。

宅地所有者から見れば、いったん従来の宅地を失い、それと同時に新しい宅地を与えられるということである。また、こうして宅地所有者に与えられる新しい宅地そのものを「換地」と呼ぶこともある。

換地計画

土地区画整理事業において、事業施行地区内の土地や土地に関する権利が、事業施行後にどのような姿となるかを定める計画をいう。

換地計画では、原則的には、事業前の各宅地に対して、事業によって整備された換地をそれぞれ交付するように定める。そのほか、換地に当たっての不均衡に対応するための金銭(清算金)の徴収・交付、公共用地の帰属、事業費に充てるための保留地などについても定められる。

換地計画において換地を定める場合には、原則として、換地および従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等が照応するように定めなければならないとされている(照応原則)。また、換地計画を定めようとする場合には、2週間公衆の縦覧に供するなどの手続きが必要である。

換地計画の効果は、工事が完了した後になされる換地処分によって生じるのが原則である。従って、事業完了前に換地予定地を利用する場合には、その土地を仮換地に指定して利用することとなる。

換地処分

土地区画整理事業において行なわれる、土地の権利変動等の効果を生じる行政処分をいう。これによって換地は従前の宅地とみなされる。

権利変動などの内容は換地計画に定められているが、換地処分によってそれが法的な効果として確定することとなる。

換地処分は原則として工事が完了した後に遅滞なく行なわれ、公告される。そして、公告の翌日から、従前の宅地の所有権等は、換地計画において定められた換地の所有権等に変わる。また、換地処分による土地や建物の変動は、事業施行者によって登記される。

なお、換地処分は、土地改良事業においても行なわれることがある。

監督処分

行政機関が法律にもとづき営業等の行為を規制している場合に、法令違反などがあったときに行政機関が発する命令等をいう。

例えば、宅地建物取引業者に対する監督処分しては、違反行為の内容や程度に応じて、指示、業務の停止命令、免許の取消しがある。
あるいは、宅地建物取引士に対しては、指示、事務の禁止、登録の消除が適用される。処分は法律の規定の範囲でしか行なうことができないが、処分に従わないときには罰則が適用される。また、監督処分をしようとするときには、原則として、聴聞の手続きを行なわなければならない。

なお、行政機関が行なう指導、助言、勧告、検査などは、監督処分ではない。

管理会社

ビル、マンションの維持運営は本来その所有者が行うことであるが、その内容は各種設備機器の保守点検や防火、衛生、警備等の資格技能を必要とする業務(作業管理)、管理費、賃料、付加使用料の請求取立てや諸費用査定支払等の業務(収支管理)、テナント募集選定や賃料共益費改定等の業務(契約管理)等、多分野にわたっている。 そのため、これらの業務の全部又は一部の業務(主として作業管理)を専門業者に委託することが多い。この専門業者を一般に管理会社と呼ぶ。なお、マンションの管理会社については、マンション管理適正化法で、マンション管理業者の登録制度を定めている。

管理規約

区分所有建物の管理及びその使用についての区分所有者相互間で取り決めたルールである。区分所有法は、「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」(区分所有法30条)とし、この制定及び改廃は、区分所有者及び議決権(専有部分の割合による)のそれぞれ4分の3以上の多数による集会の決議による。なお、この規約は、区分所有者全員にその効力が及ぶだけでなく、譲受人(特定承継人)にも及ぶ。

管理業務主任者

国土交通大臣が指定する者((社)高層住宅管理業協会)が実施する管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者登録簿への登録を受け、国土交通大臣から管理業務主任者証の交付を受けた者のこと(マンション管理適正化法2条9号)。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理受託契約を締結しようとす国土交通大臣が指定する者(・高層住宅管理業協会)が実施する管理業務主任者試験に合格し、管理業務主任者音録簿への脊録を受け、国土交通大臣から管理業務主任考証の交付を受けた者のこと(マンション管理適正化法2条9号)。管理業務主任者は、マンション管理業者が管理受託契約を締結しようとする際の区分所有者等及び管理者等に対する重要事項説明、管理事務に関する報告等の事務を行う。マンション管理業者は、その事務所ごとに、当該管理業者が管理事務の委託を受けた管理組合数を30で除したもの(1未満の端数がある場合は切り上げる。)以上の成年である専任の管理業務主任者を置かなければならない(同法56条1項、同法施行規則61条)。〔⇒マンションの管理の適正化の推進に関する法律。

管理組合

区分所有建物の建物全体の維持管理と、区分所有者間の権利義務を調整するため、区分所有者で構成される団体が管理組合である。区分所有法は、Γ区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」(区分所有法3条)と規定し、区分所有者は当然にこの団体の構成員となるとしている。

街区

市街地を構成する単位で、街路などによって区画され共通の空間特性を帯びる一団の区域をいう。都市計画景観計画、市街地再開発計画などにおいて空間の特性等を把握する上での基本単位とされることが多い。

不動産評価や不動産開発においても、個別の土地や建物だけでなく、周辺の空間特性、社会的環境などを十分に把握・評価することが重要であるが、街区はその際の基本的な単位となる。

なお、住居表示において街区方式を採用する場合には、街区は「市町村内の町又は字の名称並びに当該町又は字の区域を道路、鉄道若しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川、水路等によって区画した場合におけるその区画された地域」(住居表示に関する法律)と定義され、たとえば◯◯町A丁目B番C号とするときのB番が街区符号である。また、街区符号で示されたほとんどの区域については、その位置座標がデータベース(街区レベル位置参照情報)で提供され、GISで空間的な分析ができるようになっている。ただし、街区符号で示された区域と現実の街区とが一致するとは限らない。

崖線

崖地の連なり。緑が連続し、湧水や豊かな動植物生態が残っている場合が多い。

傾斜地マンションの建設などによって、崖地の緑等の喪失、崖線の分断などが進んでいることから、崖線の保全・活用のための取り組みが必要だと考えられている。例えば、国分寺崖線(東京都)の保全のために、条例で地区を指定し、建築構造の制限、色彩の配慮、条例制限との適合性審査のための計画の届出などを定めた例(世田谷区国分寺崖線保全整備条例)もある。

ガルバリウム鋼板

アルミニウムと亜鉛の合金によってめっきされた鋼板。

「ガルバリウム(Galvalume)」という用語は亜鉛めっき(galvanize)とアルミニウム(aluminum)を合成したものとされ、ガルバリウム鋼板を開発した米国の会社による造語である。「ガルバリウム鋼板」という名称は同社の商標として登録されている。それのJIS規格での名称は「溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板」である。

製造に当たってめっきされる合金は、アルミニウム55%、亜鉛43.4%、珪素1.6%の割合(質量比)で原料を溶融したもので、被覆する合金の作用によって鋼板は錆びにくく、光沢がある。

ガルバリウム鋼板は、屋根材、外壁材などとして使われている。ステンレス鋼板より安価であるが、防食性能は劣るとされている。

危険負担

建物の売買契約などの双務契約において、相互の債務が履行される前に一方の債務がその債務者の責めに帰することのできない事由により履行不能となって消滅した場合に、他方の債務が消滅するかの問題。例えぱ、契約後隣家の失火の類焼などによって建物が焼け、売主の引渡義務が履行できないようなとき、損害(危険)を当事者のいずれが負担するかの問題をいう。建物の引渡義務を負う売主(債務者)が代金を請求し得ないとするのが債務者主義、買主(債権者)は代金を支払わねぱならぬとするのが債権者主義という。民法の規定によれぱ、不動産のような特定物(不特定物については特定を生じた後)に関する物権の設定又は所有権の移転をもって双務(売買等)契約の目的としている場合は、債権者主義を採っているが(民法534条)、その他の場合は債務者主義を採っている(同法536条)。なお、実際の不動産取引の場合は、民法の規定とは逆に、特約をもって債務者主義を採っているのが一般である。

既存道路

建基法42条の道路のうち、同条1項3号による道路と2項による道路のことをいう。前者の道路とは、同法第3章の規定が適用されるに至った際、現に存在する道、すなわち建基法の施行時(昭和25年11月23日)に都市計画区域内に現に存在した道(後に都市計画区域内に編入された場合は、その際、現に存在する道)で幅員4m以上のものをいう。また、後者の道路とは、前者の道路と同様、同法第3章の規定が適用されるに至った際、現に建物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定したものをいう。いずれも公道、私道を問わない。

北側斜線制限

次のような高さの規制のことである。

1.自分の敷地の北側に隣の敷地がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、その部分から隣地境界線までの距離が長いほど高くすることができる。

2.自分の敷地の北側に道路がある場合、自分の敷地に建築する建物の各部分の高さは、北側道路と向かいの敷地との道路境界線からその部分までの距離が長いほど高くすることができる。

北側高さ制限は住居系の4つの用途地域第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域)に適用される。

北側高さ制限は建築基準法56条と同法別表第3で詳しく規定されているが、その具体的な内容は、次の1)・2)の通りである。

1)第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+5m
2)第一種中高層住居専用地域および第二種中高層住居専用地域の場合
高さの限度=隣地境界線から建物の各部分までの距離の1.25倍+10m

※自分の敷地の北側に道路がある場合は、上記1)・2)の「隣地境界線」を「北側道路と向かいの敷地との道路境界線」と読み替えること。

寄託

特定物の保管を委託する契約。民法に規定されている契約のひとつで、当事者の一方が目的物の保管を委託し、相手がこれを承諾することによって成立する(諾成契約)。保管を引き受ける者が受寄者、保管を委託する者が寄託者、寄託する目的物が寄託物である。

寄託は契約によって成立するが、原則として、受寄者が寄託物を受け取るまでは契約を解除することができる。また、その沿革から、原則として無報酬と考えられているが、契約で有償の寄託にすることもできる。

受寄者は、無報酬の場合には「自己の財産におけると同一の注意」をもって、有償の場合には「善良なる管理者の注意」をもって、寄託物を保管する義務を負うほか、寄託者の承認なしに寄託物を使用しない、寄託者の承諾等なしに寄託物を第三者に保管させないなどの義務がある。一方、寄託者は、有償の場合には報酬を支払わなければならず、寄託物の性質・瑕疵によって受寄者が受けた損害を賠償するなどの義務を負う。

寄託者は、返還時期を定めた場合であってもいつでも寄託物の返還を請求できる。一方、受寄者は、期間の定めが無いときはいつでも、定めがあるときはやむを得ない事由がある場合を除いてその期限後に返還することができる。また、寄託物の損傷等による損害賠償や受寄者が支出した費用の償還は、寄託物の返還から一年以内に請求しなければならない。

なお、営業に伴なう寄託や寄託を業とする場合(倉庫営業)については、民法に優先して商法に定める規定が適用される。例えば、営業に伴う受寄者は、無報酬の場合であっても「善良な管理者の注意」をもって寄託物を保管しなければならないし、倉庫営業者は、寄託物の預り証券及び質入証券を発行しなければならない。

また、特殊な寄託として「消費寄託」がある。これは、銀行預金などのように、受寄者は寄託物を消費することができ、返還は寄託物と同種・同等・同量のものをもってする寄託である。

キャピタルゲイン

資産の価格変動に伴って得る利益をいう。

株式や不動産などの売買差益はこれに当たる。

資産から得られる利益の種類で、その保有により得る利益をインカムゲイン、その価格変動に伴って得る利益をキャピタルゲイン(損失はキャピタルロス)という。株式の配当、不動産の賃料、預金の利子などはインカムゲイン、株式や不動産などの売買差益はキャピタルゲイン(譲渡益、資本利得ともいう)である。

両者は税務上の取扱いなどが異なるため、投資に当たっても両者の性格の違いを十分に認識しておくことが重要である。
もっとも、両者は無関係ではなく、資産の価格はそれから得ることのできる利益を現在価格に還元したものの総額に等しいとされているため、例えばインカムゲインが増大すれば資産価格が上昇して、キャピタルゲインを得る機会となる。ただし、資産価格は期待や予想に左右されやすいことに注意が必要である。

規約共用部分

区分所有建物において、区分所有法の規定では専有部分とすることができるが、管理規約によって共用部分とする建物部分をいう。たとえば、マンションの管理人事務室、集会室、駐車場などである。

原則としてすべての区分所有者(賃借人を含む)が利用できるが、専用庭や駐車場などのように、規約によって特定の者に専用の使用権を認める場合もある。

なお、区分所有法によって共用部分としなければならない建物部分を「法定共用部分」という。

規約敷地

区分所有法建物の区分所有等に関する法律)により、区分所有者の規約によって区分所有建物敷地とされた土地で、区分所有者が建物および建物が所在する土地と一体として管理または使用をするものをいう。

建物の敷地ではないが、庭園、通路、駐車場など、建物の敷地と一体的に利用される土地がこれに該当する。規約敷地は、区分所有建物の敷地(法定敷地)と同様に区分所有者の共有とされ、原則として専有部分と分離して処分することはできない。

規約敷地は、区分所有建物の敷地と建物利用のために必要な土地とが分離して管理処分されることを防ぐために設定されるが、その設定・廃止は管理組合の意思による。意思決定においては、管理組合の総会において区分所有者および議決権の4分の3以上の賛成が必要とされている。

求償権

法律上の理由によって被った財産の減少について、特定の者に対してその返還を求める権利。民法によって認められている。

求償権が認められているのは、他者の債務を弁済した場合に、その他者に対してその弁済額の返還を求める場合などである。例えば、保証人の一人が債務を弁済し他の債務者が債務を免れたときのその分の返還請求、他人の行為によって損害賠償した場合のその他人に対する返還請求、債務の弁済によって不当利得が生じた場合の不当利得者に対する返還請求が該当する。

旧耐震基準

建築物の設計において適用される地震に耐えることのできる構造の基準で、1981(昭和56)年5月31日までの建築確認において適用されていた基準をいう。

これに対して、その翌日以降に適用されている基準を「新耐震基準」という。

旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されている。技術的には、建物自重の20%の地震力を加えた場合に、構造部材に生じる応力が構造材料の許容応用力以下であるかどうかで判断される。

なお、新耐震基準は、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されている。

旧法上の借地権

借地借家法が施行された日(1992(平成4)年8月1日)より前に成立した借地権であって、旧借地法にもとづく借地権のこと。

借地借家に関する法制度は、かつては借地法・借家法の二本立てであったが、1992(平成4)年8月1日に借地借家法が施行されたことにより、一本化された。

この新借地借家法(1992(平成4)年8月1日施行)にもとづく借地権であって、定期借地権ではない借地権のことを「普通借地権」と呼ぶ。

これに対して、旧借地法にもとづく通常の借地権のことを「旧法上の借地権」と呼ぶことがある。

普通借地権と旧法上の借地権の間には、次のような違いがある。

1.旧法上の借地権は、あらかじめ存続期間を定めなかった場合には、非堅固な建物(木造を指す)については存続期間を30年とし、堅固な建物については存続期間を60年としていた。
しかし普通借地権では建物の堅固・非堅固による区別がなく、あらかじめ存続期間を定めなかった場合には存続期間を30年とした。
2.旧法上の借地権は、建物が老朽化し、朽廃した場合には、借地権が自動的に消滅することとされていた(旧借地法第2条、第5条)。しかし、普通借地権にはこうした朽廃による消滅の規定がない。

このようにいくつかの相違点があり、しかも現在でも、旧法上の借地権による借地と普通借地権による借地が並存しているため、不動産広告等では両者の違いを明記することが多い。

共益費

賃貸集合住宅の入居者や事務所ビルのテナントが、建物の賃料とは別に負担する費用をいう。

建物全体の清掃や補修、警備等の費用、建物の共用部分に関する付加使用料など、入居者やテナントが分別して負担することが難しい費用が対象となる。専有面積当たりで算出し、月払いするのが一般的である。

なお、法律上の用語としても「共益費」が使われるが、これは同一の債務者に対する各債権者に共通の利益のために要した費用のことである。
例えば、ある債権者が債務者の財産を保存すればそれは他の債権者に利益にもなるので、そのための費用は共益費として、他の債務者に優先して弁済を受けることができるとされる。建物の賃借人が負担する共益費は、これとはまったく別のものであるから、注意を要する。

境界

私法上の概念であり、土地の地番を区切る線をいう。

「けいかい」と読むこともある。

土地は、その表示登記に当たって筆に区分され地番が与えられるが、地番と地番の境が境界である。

争いのある境界を確定するためには、判決により境界線を確定することを求める(境界画定訴訟)ことができる。また2006(平成18)年1月には、当事者の申請に基づき、筆界特定登記官が「筆界調査委員」に調査を依頼した上で、その意見書をもとに境界を特定する制度(筆界特定制度)が創設された。

境界標

土地所有者は、自らの土地を隣地と区分し、所有権等の権利関係を確定して紛争を防止するために境界を設け、その境界を明示し維持する目的で、境界標を設置することができる。民法では「土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。」とし(第223条)、その設置および保存の費用は、「相隣者が等しい割合で負担する。」としている(第224条)。

不動産登記規則では、土地の分筆の登記の申請などの際に提出する地積測量図の内容として、図面上に境界標の位置、符号および種類などを表示すべきことを定めている。

境界標には木杭などが用いられる場合もあるが、法務省のWEBサイトでは、境界石やコンクリート標といった永続性のある境界標を埋設することや、設置に当たり土地家屋調査士に相談することが推奨されている。

強行規定

法律の規定であって、公の秩序に関する規定を「強行規定」という。

また同じ意味で「強行法規」ということもある。

強行規定は、当事者の意思に左右されずに強制的に適用される規定であると解釈されている。従って、強行規定に反するような契約をした場合には、その契約はその部分について無効とされる。

この反対に、当事者の意思によって適用しないことができる規定は「任意規定」という。

ある規定が強行規定であるかどうかは、その規定の性質にもとづいて判断するのが原則である。例えば、民法の相続に関する諸規定は、社会秩序の根本に関わる規定であるため「強行規定」であると判断されている。

これに対して、消費者や社会的弱者を保護するようないくつかの法律では、法律中で強行規定であることを明記している場合がある。
例えば、借地権の存続期間等について定めた借地借家法第3条から第8条については、借地借家法第9条で「この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする」と明記されている。

狭小住宅

狭い土地に建てられた住宅。明確な定義はないが、おおむね敷地面積が50平方メートル(約15坪)以下のものをいう。

地価が高い地域に建てられることが多く、敷地を建ぺい率の上限まで使い、床面積を確保するため地下室を設置したり、3階建てとしたりする場合もある。

強制競売

債務の返済が滞り、債権者が支払いの督促や催告をしているにも関わらず債務者が義務を履行しない場合に、裁判所を通じて強制的な手段で債務者所有の資産を入札により売却し、債権の回収を図る手続き。

強制競売を行なうためには、まず、債権者は1)支払い命令の確定判決、2)裁判上の和解、3)調停、4)強制執行認諾文言付き公正証書、5)仮執行宣言付きの判決により、債務名義の獲得が必要である。その上で必要書類をそろえて強制競売の申立てを行なう。

裁判所は、申立書を審査した後、強制競売の開始を決定すると、対象となる資産の差押え登記、現況調査、評価を行ない、入札を公告する。落札者が代金を納付することで売却が確定し、法律上の優先順位に従って債権者へ配当が行なわれる。

債権者が債務者所有の不動産に対してすでに抵当権を有している場合には、その抵当権を実行した方が回収に有利であるため(担保不動産競売)、強制競売の手続きは利用されない。購入側への情報の提供が限定的であり、価格交渉の余地もほとんどないため、売却価格も低めとなる上、他の債権者との競合もあり、債務全額が回収されるとは限らず、そのため債務者側でも残債が残るというデメリットが生じ得る。債権者にとっても債務者にとっても経済的には必ずしも有利な方法ではないが、何らかの理由により不動産の任意売却等による債務の整理等ができない場合に、裁判所の強制力をもって債権回収の実現を図る手段である。

強制執行

債務者に給付義務を強制的に履行させる手続きのことを「強制執行」という。

強制執行を行なうには、公的機関が作成した確定判決などの文書(債務名義)が必要であり、またその債務名義に「執行文」が記載されていることが必要である。

強制執行は、金銭執行と非金銭執行に分類される。
金銭執行とは、債務者の財産を差し押さえて(さらには競売により換価して)、金銭を債権者に交付するような強制執行である。代表的な金銭執行としては「強制競売」と「債権差押」がある。
また非金銭執行とは、金銭債権以外の債権(例えば土地引渡請求権)を実現するために行なわれる等の強制執行である。

なお、債務者(または物上保証人)の不動産抵当権を設定している債権者が、その抵当権にもとづき不動産を競売することは、「任意競売」と呼ばれる。しかし任意競売は、強制執行には含まれない。また、任意競売では「抵当権の存在を証する文書」は要求されるが、「債務名義」は必要ではない。

供託

法令の規定により、金銭、有価証券、その他の物件を地方法務局などにある供託所または一定の者に寄託することをいう。

供託は、弁済供託(債務者が債権者の受領拒絶、受領不能、債権者を確知できない場合等に弁済を目的としてするもの)、担保保証供託(後の支払を確保を担保するもの)、執行供託(民事執行の目的たる金銭または換価代金を当事者に交付するためのもの)、保管供託(他人の物を直ちに処分し得ないときに一時保管するためのもの)、没収供託(公職選挙立候補者の供託のように没収に備えるためのもの)の5種類に分類できる。また、そのための手続きは、供託法に定められている。
宅地建物取引業を営む場合には、営業保証金を供託しなければならないとされているが、宅地建物取引業保証協会の社員はその必要はなく、別途弁済業務保証金分担金を納付することとされている。

共同担保目録

不動産登記において、一つの債権の担保として複数の不動産に対して設定された抵当権(共同担保)を一括して記載した登記事項をいう。例えば、担保価値を保全するために、土地とその上の建物、土地とそれに接続する私道の共有権などを共同担保とするのが通例である。また、担保額を確保するために複数の不動産を共同担保とする場合もある。

従来は、抵当権の登記の際に共同担保とする物件を記載したリスト(これが共同担保目録)を添付することになっていたが、現在は登記官の職権で記載される。

共同担保目録は、登記事項証明書の申請の際にそれを必要とする旨の表示をすれば確認できる。

共同仲介

1つの不動産取引を複数の不動産会社が共同で仲介することをいう。

共同媒介」ともいう。

売手と買手をそれぞれ紹介し合う場合のほか、売買や賃貸借の依頼情報を共有して業務に活用する場合や、代理店などによって一体的に仲介業務を行なう場合なども共同仲介である。

大規模に店舗を展開している不動産会社は別として、一般的には、不動産取引の媒介は共同で実施する場合が多い。不動産取引を迅速・公正に仲介するためには、情報を共有することが有効だからである。

共同媒介

一つの不動産取引を複数の不動産会社が媒介することをいう。売手と買手をそれぞれ紹介し合う場合のほか、売買や賃貸借の依頼情報を共有して業務に活用する場合、代理店などによって一体的に媒介業務を行なう場合なども共同媒介である。

大規模に店舗を展開している不動産会社は別として、一般的には、不動産取引の媒介は共同で実施する場合が多い。不動産取引を媒介するためには、情報のネットワークの充実が必要だからである。

共有

私法上の概念で、複数の者が、同一の物を同時に所有している形をいう。

例えば、相続人が複数の場合の相続の際に、遺産が分割されるまでは相続人が遺産を「共有」することになる。また分譲マンションの共用部分は、区分所有者の「共有」に属している。

なお、共有物に対する各共有者の権利を「持分」または「持分権」と呼び、それぞれ単独で自由に持分を譲渡することができる。また、共有者の氏名を「共有名義」という。

共有物の変更・管理については、民法の改正(2023年4月1日施行)によって、共有物の「管理」の範囲の拡大・明確化、 共有物を使用する共有者がいる場合のルールの明確化・合理化、 賛否を明らかにしない共有者がいる場合の管理に関するルールの合理化、所在等不明共有者がいる場合の変更・管理に関するルールの合理化、 共有者が選任する共有物の管理者のルールの整備、 共有の規定と遺産共有持分に関するルールの整備などに関するルールが明文化された。
 

共用部分

区分所有を目的とされた建物のうち、専有部分以外の建物部分、専有部分に属しない建物の附属物などをいう(区分所有法2条4項)。共用部分には、法定共用部分といわれる部分、a基礎及び壁・柱等、建基法2条にいう主要構造部など、b廊下、階段室、玄関、配電室等、構造上共用とされる部分と、規約共用部分といわれる管理人室、集会室、物置、倉庫等、管理組合の規約で定められるものとがある。これら共用部分は、全区分所有者の共有に属し(同法 条1項)、その持分は専有部分の床面積の割合による(同法14条)。各共有者は共用部分を使用することができ(同法13条)、専有部分が譲渡されると、共用部分の持分もそれに従って移転する.(同法15条)。

極度額

根抵当権の目的不動産により担保される債権の弁済上限額。根抵当権の設定に当たって定められ、根抵当権者は、極度額を限度に、確定した元本および利息等・損害賠償金について根抵当権を行使すること(他の債権に先立って弁済を受けること)ができる。

極度額は、利害関係者の承諾を得なければ変更できない。また、元本の確定後は、極度額を、現に存する債権の額および以後2年間に生ずべき利息等・損害賠償金の合計額に減額することができる。

なお、根抵当不動産を取得した第三者等は、元本確定後の債務額が極度額を超えている場合、極度額を支払うことによって根抵当権を消滅させることができる。

居住誘導区域

都市再生を図るため、居住を誘導すべき区域として立地適正化計画で定められる区域。「都市再生特別措置法」に基づく制度である。

居住誘導区域内においては、居住環境の向上、公共交通の確保など居住を誘導するための措置が講じられる一方、居住誘導区域外においては、3戸以上の住宅等の新改築や住宅等への用途変更、またはそのための開発行為(0.1ha以上)を行なおうとする場合には、着手の30日前までに市町村長に届け出なければならず、届出に係る行為が住宅等の立地誘導に支障がある場合には、市町村長は立地適正化のための勧告をすることができる。

また、居住誘導地区内で20戸以上の住宅を整備する事業者は、事業実施のために必要な場合には、用途地域地区計画等の一定の都市計画または景観計画の決定・策定または変更を提案することができる。

居住用財産に係る譲渡所得の特別控除

居住用財産の譲渡利益に対する所得税について、課税を軽減する措置。

課税の軽減は、譲渡所得を計算するとき、譲渡利益から3,000万円(譲渡利益が3,000万円未満のときはその額)を控除する方法で行なう。

特別控除が適用されるのは、個人が自ら居住している土地・建物を譲渡して譲渡利益が生じた場合であって、住まなくなった日から3年目の年末までに譲渡した場合に限る。

居住用財産の譲渡の際の課税の特例

租税特別措置法による課税の特例で、個人が居住用財産を譲渡した場合の課税の特例措置。次のものがある。(1)自己の居住用財産を譲渡した場合、その譲渡益から3,000万円を控除した,金額が課税譲渡所得金額となり、長期渡であるか、短期譲渡であるかによって、それぞれの計算方法により税額を計算する(居住用財産の3,000万円特別控除、租税特別措置法35条)。(2)譲渡した年の1月1日で、家屋と土地との所有期間がともに10年を超えているものは、譲渡益から3,000万円の特別控除をした後の課税譲渡所得金額に対して、金額に応じて税率を軽減する(特別控除、軽減税率の特例、同法35条、同法31条の3)。(3)一定の条件の下で一居住用財産の買換え・交換を行った場合、買換え資産の価額が譲渡資産の価額を上回れぱ、譲渡所得の全体に対して課税の繰延べがきれる。ただし、特定の居住用財産の買換え・交換特例は平成15年12月31日までの譲渡にしか適用されない。(相続等により取得した居用財産の買換え・交換特例、同法36条の2、同法36条の5)(特定の居住用財産の買換え・交換特例、同法36条の6)。

切り土

傾斜のある土地を平らな土地にするために、地面を掘り取ること。

宅地造成工事規制区域の中にある宅地において、高さが2mを超える崖を生じるような切り土をする場合には、着手する前に、知事(または政令市・中核市・特例市の市長)の許可を受けることが必要である(宅地造成等規制法第12条1項)。

近隣商業地域

都市計画法(第9条)で「近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として60%または80%である。また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが少ない作業場面積が150平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、客席が200平方メートル未満のミニシアター
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫 など

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設 など

業務停止

監督処分の一つで、宅地建物取引業者に対してその業務の全部または一部の停止を命令することをいう。

業務停止を命令できる場合は宅地建物取引業法に規定されており、業務に関し取引の関係者に損害を与えたとき、業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき、監督処分としてなされた指示に従わないときなどに行なわれる。その期間は、1年以内である。

また、業務停止の処分に違反したときには、宅地建物取引業免許を取り消すこともできる。

区域区分

都市計画によって、都市計画区域市街化区域市街化調整区域とに区分することをいう。

区域区分は、

1.都道府県が、無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があると認めるとき
2.都市計画区域が、指定都市の区域、首都圏の既成市街地・近郊整備地帯、近畿圏の既成都市区域・近郊整備区域、中部圏の都市整備区域の全部または一部を含む場合

に定められる。

なお、区域区分が定められていない都市計画区域を「非線引き区域」と呼ぶことがある。

区域区分が定められていない都市計画区域

市街化区域市街化調整区域とに区分されていない都市計画区域のこと。

一つの都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域とに区分することを「区域区分」(または「線引き」)と呼ぶが、この「区域区分」がされていない都市計画区域が「区域区分が定められていない都市計画区域」である。

「区域区分が定められていない都市計画区域」は一般に「非線引き区域」とも呼ばれている(かつては「未線引き区域」とも呼ばれていたが平成12年の都市計画法の改正によりこの呼称は廃止された)。

1.趣旨
都市計画法第7条では、指定都市等では「区域区分」を必ず定めるよう規定しているので、「区域区分が定められていない都市計画区域」は指定都市等以外に存在している(詳しくは「区域区分」へ)。
「区域区分が定められていない都市計画区域」は市街化の圧力が弱い地域であるので、土地利用に関する規制が市街化区域より緩やかであり、開発許可の規制も緩やかである。

2.土地利用の規制について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、用途地域を定めることができるが、必ず用途地域を定めるわけではない。「区域区分が定められていない都市計画区域」の内部において用途地域が定められていない部分は「非線引き白地地域」と呼ばれることがある。なお、この「非線引き白地地域」では用途制限を課す目的で「特定用途制限地域」を設けることができる。

3.都市施設等について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では、都市施設のうち少なくとも「道路、公園、下水道」を定めなければならない(都市計画法第13条第1項第11号)。
また、市街地開発事業促進区域を定めることも可能である(都市計画法第13条第1項第13号・第8号)。

4.開発許可について
「区域区分が定められていない都市計画区域」では開発許可制度が適用される。ただし、開発許可を受けるべき開発の面積は「3,000平方メートル以上」とされている。ちなみに、市街化区域では開発許可を受けるべき開発の面積は「1,000平方メートル以上」である。

ただし、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに、都道府県・指定都市等の規則により、開発許可を受けるべき開発の面積を「300平方メートル以上」にまで引き下げることが可能である(都市計画法施行令第19条)。
また開発許可の基準については、市街化区域・区域区分が定められていない都市計画区域ともに都市計画法第33条の基準(技術的基準)だけを満たせば、開発許可が与えられる。つまり、区域区分が定められていない都市計画区域に対しては、都市計画法第34条の基準(市街化調整区域の開発許可の基準)は適用されない。

空中権

2つの意味がある。

1.土地の上空の空間の一部を使用する権利
契約により設定する空間の上下の範囲を定めて土地を独占的に使用する権利をいい、その法的な形式によって「区分地上権」または「区分地上権に準ずる地役権」に分かれる。

区分地上権による空中権は、工作物(例えば空中電線)を所有する目的で上下の限られた空間を排他独占的に使用収益する権利をいう。また、区分地上権に準ずる地役権による空中権は、自己の土地(例えば電柱の設置場所)の便益のために他人の土地の空中を使用する(例えば電線を設置する)権利である。

いずれも、民法上の物権として認められている。

2.未利用の容積率を移転する権利
都市計画で定められた容積率(建物敷地面積に対する総床面積の割合)のうち、未使用のものを他の土地に移転する権利をいう。

一定の条件のもとで容積率を割増しする方法(実質的に容積率が移転される)としては、「特定街区」「一団地の総合的設計」「高度利用地区」「連坦建築物設計」などの制度があるが、いずれも移転対象建物が隣接していなければならない他、既存建物の未利用容積率を移転することはできない(「連坦建築物設計」を除く)。

もっと広範囲で容積率を移転できる制度としては、「特例容積率適用地区制度」がある。これは、都市計画で一定の区域を定め、その区域内の建築敷地の指定容積率の一部を複数の建築敷地間で移転することを認める制度であり、2001年に創設された。

現在、東京都千代田区の一部が「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用地区」(116.7ha)として指定され、東京駅の駅舎敷地で未使用となっている容積率(東京駅は復元改修後、それ以上容積率を使用しないで保存される)を、その周辺の新築ビル(東京ビルディング、新丸ビル、丸の内パークビル、八重洲側の南北グラントウキョウビル等)に移転して、本来の容積率以上の高層ビル化を実現している。

容積率の移転は建築確認によって認められるもので、当事者が空中権を直接に取引する制度が確立しているわけではないが、容積を移転する敷地に対して移転先の敷地所有者が地役権を設定し、移転敷地所有者にその対価を支払うという方法が取られている。

なお、アメリカでは、未利用容積率を移転する権利がTDR(Transferable Development Right:移転可能な開発権)として法制化されている。

躯体

建物の構造をかたちづくる部材の集まり(構造体)の総称。基礎、柱、、壁面、床などで構成され、建物に加わる力を支える役割を担っている。

躯体は、構造体の主要材料に応じて、木造、ブロック造、鉄筋コンクリート造(RC造)鉄骨造(S造)鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などに区分される。

区分所有

分譲マンションのように、建物が独立した各部分から構成されているとき、その建物の独立した各部分を所有することを「区分所有」という。

「区分所有」が成立するためには、次の2つの条件を満たす必要がある(区分所有法第1条)。

1.構造上の独立性があること
これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることを指している。ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では足りない。

2.利用上の独立性があること
これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味している。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということである。

つまり、構造上・利用上の独立性がある建物であれば、分譲マンションに限らず、オフィスビル・商業店舗・倉庫などでも区分所有が成立することができる(詳しくは「区分所有建物」へ)。

区分所有権

分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。

この区分所有建物において、建物の独立した各部分のことを「専有部分」という。

区分所有権とは、この専有部分を所有する権利のことである(詳しくは「区分所有建物」参照)。

区分所有者

分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。

この区分所有建物において、建物の独立した各部分のことを「専有部分」という。

区分所有者とは、この専有部分を所有する者のことである(詳しくは「区分所有建物」参照)。

区分所有建物

区分所有建物とは、構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所・倉庫等の用途に供することができる数個の部分から構成されているような建物のことである。

区分所有建物となるためには次の2つの要件を満たすことが必要である。

1.建物の各部分に構造上の独立性があること
これは、建物の各部分が他の部分と壁等で完全に遮断されていることを指している。ふすま、障子、間仕切りなどによる遮断では足りない。

2.建物の各部分に利用上の独立性があること
これは、建物の各部分が、他の部分から完全に独立して、用途を果たすことを意味している。例えば居住用の建物であれば、独立した各部分がそれぞれ一つの住居として使用可能であるということである。

上記1.と2.を満たすような建物の各部分について、それぞれ別個の所有権が成立しているとき、その建物は「区分所有建物」と呼ばれる。区分所有建物については、民法の特別法である区分所有法が適用される。

代表的なものとしては分譲マンションが区分所有建物である。しかし分譲マンションに限らず、オフィスビル・商業店舗・倉庫等であっても、上記1.と2.を満たし、建物の独立した各部分について別個の所有権が成立しているならば区分所有建物となる。

なお区分所有建物では、建物の独立した各部分は「専有部分」と呼ばれる。
また、この専有部分を所有する者のことを「区分所有者」という。

廊下・エレベータ・階段などのように区分所有者が共同で利用する建物の部分は「共用部分」と呼ばれ、区分所有者が共有する。

また建物の敷地も、区分所有者の共有となる(ただし土地権利が借地権である場合には「準共有」となる)。このとき区分所有者が取得している敷地の共有持分は「敷地利用権」と呼ばれる。

従って区分所有建物においては、区分所有者は、専有部分の所有権、共用部分の共有持分、敷地の共有持分という3種類の権利を持っていることになる。

区分所有建物の敷地利用権

区分所有建物の専有部分を所有するために建物の敷地を利用する権利をいう(区分所有法2条6項)。区分所有の形態には、縦割型、横割型、及び複合型があり、それによって利用権も異なることがある。.土地利用権としては、所有権が最も多いと思われるが、区分.所有者全員が敷地全部を所有する場合は、専有部分の面積に応じた持分による共有の関係を生ずる。地上権や賃借権の場合も、全員が一体として設定しているときには準共有となる。敷地利用権を有しない区分所有者に対しては、その専有部分の収去請求権者から、区分所有権の時価による売渡請求権がある(同法10条)。

区分所有法

分譲マンションなどの区分所有建物に関する権利関係や管理運営について定めた法律。正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」。「マンション法」と呼ばれることもある。

区分所有建物とは、分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物のことであり、通常の建物に比べて所有関係が複雑であり、所有者相互の利害関係を調整する必要性が高い。

このため、1962(昭和37)年に民法の特別法として区分所有法が制定された。これにより、専有部分共用部分・建物の敷地に関する権利関係の明確化が図られ、規約集会に関する法制度が整備された。

その後、分譲マンションが急速に普及したことに伴って、分譲マンションの管理運営に関するトラブルが生じたり、不動産登記事務が煩雑になるなどの問題点が生じたので、1983(昭和58)年に区分所有法が大幅に改正された。このときに、区分所有者が当然に管理組合を構成すること、集会での多数決主義、建替え制度、敷地利用権と専有部分の一体化などが定められた。

また、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災において被災マンションの建て替えが課題となったこと(同年に「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(「被災マンション法」)が成立」)、老朽化したマンションの建て替えや大規模修繕を円滑に行なう必要が生じたことから、2002(平成14)年には、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(略称「マンション建替え円滑化法」、「マンション建替法」」の制定に合わせて、復旧決議における買取り請求規定の整備、建替え決議要件の緩和、団地内建物の建替え承認決議の創設などが措置された。

なお、マンションの建て替え等に関しては、「マンション建替え円滑化法(2025(令和7)年11月より「マンション再生法」後述)、マンション管理の適正化等に関しては、2000(平成12)年に制定された「マンション管理法」、被災マンションの再建については「被災マンション法」において、合意形成や権利調整等についての特別の規定が定められている。

さらに、2025(令和7)年には、マンションが国民の1割以上が居住する重要な居住形態となったことに加え、建物と居住者の「2つの老い」が進行しており、外壁剝落等の危険や不在所有者の増加も伴っての集会決議の困難化等が課題となり、新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、管理・再生の円滑化を図ることが必要であるとの認識から、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」が制定・公布され、マンション管理法、マンション建替え法(抜本改正により題名が「マンションの再生等の円滑化に関する法律(「マンション再生法」)に改正。一部を除き同年11月施行)等とともに区分所有法においても以下の改正が措置された。主な改正部分は2026(令和8)年4月施行予定である。

1.区分所有権の処分を伴わない事項(修繕等)の決議は、集会出席者の多数決(従前は全区分所有者の多数決)によることとし、集会決議の円滑化を図った。
2.裁判所が認定した所在不明者をすべての決議の母数から除外するとともに、管理不全部分・共用部分等を裁判所が選任する管理人に管理させる制度が創設された。
3.建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し等が、建替えと同様に多数決議(4/5(耐震不足の場合3/4等)により可能となった。

クーリングオフ

宅建業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、宅建業者の事務所又はそれに準ずる場所以外の場所でなされた宅地建物の買受けの申込み又は売買契約についで、8日間以内の場合には無条件に申込みの撤回又は契約の解除ができる(宅建業法37条の2)。これをクーリング・オフという。ただし、次の場合には申込みの撤回等ができない。申込みの撤回等ができる旨等一定の事項を告げられた日から8日を経過したとき、宅地建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部が支払われたとき。申込みの撤回等の意思表示は、書面により行う必要があり、その効力は書面を発したときに生ずる。この場合、宅建業者は速やかに手付その他の受領した金銭を返還しなければならない。

グランピング

設備やサービスの提供を受けて行なうキャンプ。英語のglamorous(魅力のある)とcamping(野営)を合成した造語(glamping)である。

グランピングは、自然環境が豊かな場所に設置された、設備が整ったテントや小屋を利用して、食材の提供や調理サービスを受けて過ごす余暇活動(レクリエーション)の方法とされる。労力をかけずに手軽に野営し、自然を享受することが特徴で、そのための設備やサービスを提供する事業が展開されている。

景観計画

景観行政団体が策定する良好な景観の形成に関する計画のこと(景観法第8条第1項)。景観計画は、都市、農山漁村その他市街地または集落地域と、これと一体となって景観を形成している区域について定められる。この景観計画が定められた区域のことを「景観計画区域」という。

景観計画では、景観計画の区域(景観計画区域)、良好な景観の形成に関する方針、良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項その他が定められる(第8条第2項)。
特に行為の制限に関する事項(第8条第2項第3号)については、

1.建築物または工作物の形態または色彩その他の意匠の制限
2.建築物または工作物の高さの最高限度または最低限度
3.壁面の位置の制限または建築物の敷地面積の最低限度
4.その他第16条第1項の届出を要する行為ごとの良好な景観の形成のための制限

などの制限のうちで必要なものを定めることができる(第8条第3項)。

景観計画区域

景観行政団体が策定する景観計画で定められた区域のこと(景観法第8条第2項第1号)。
景観計画区域では、行為の制限に関する事項(第8条第2項第3号)として、建築物工作物の形態意匠の制限、建築物・工作物の高さの最高限度または最低限度の制限、壁面の位置の制限または建築物の敷地面積の最低限度などのうち必要なものが定められている(第8条第3項)。

景観計画区域内で次の行為をするときは、30日前までに景観行政団体の長に届出を行なうことが必要である(景観法第16条第1項、第18条第1項)。

1.建築物の新築、増築、改築もしくは移転、外観を変更することとなる修繕もしくは模様替または色彩の変更
2.工作物の新設、増築、改築もしくは移転、外観を変更することとなる修繕もしくは模様替または色彩の変更
3.開発行為その他政令で定める行為
4.良好な景観の形成に支障を及ぼす恐れのある行為として景観計画に従い景観行政団体の条例で定める行為

この届出に対して、景観行政団体の長は、設計の変更等の措置を命じることができる(景観法第17条第1項)。この命令に従わない場合、景観行政団体の長は、原状回復を命令することができ、それにも従わないときは自ら原状回復等を行なうことができる(景観法第17条第5項、第6項)。
このように景観計画区域内での行為制限には、ある程度の強制力が付与されていることに特徴がある。また原状回復命令(景観法第17条第5項)に違反した場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金という罰則が予定されている(景観法第100条)。

景観法

良好な景観の形成を促進するための施策を定めた法律で、2004年6月に公布、同年12月から施行された。

この法律は、都市部だけでなく農村部等も対象にして、地域の個性を反映した柔軟な規制等によって景観の形成を図るための制度を定めており、景観に関する基本法とされる。

景観法に規定されている主な制度としては、

1.景観行政を担う主体としての景観行政団体
2.景観計画区域の指定、景観計画の策定、それにもとづく建築等の届出、デザイン・色彩に関する勧告・変更命令など
3.都市計画による景観地区の指定、建築等のデザイン・色彩、高さ等の総合的な規制、景観認定制度など
4.住民合意による景観協定
5.景観重要建造物景観重要樹木の指定・保全

などがある。

競売

広義には、売主が多数に買受けの中出をさせ、最高価格の中出人と売買をすることをいう。不動産競売については、金銭債権の不動産に対する強制執行手続に基づくものと、担保権の実行手続に基づくものとがある。

契約の解除

契約締結時にさかのぼって契約を解消すること。

ただし、賃貸借契約のように継続的な契約の場合には、契約の効果は将来に向かってのみ解消するため、解約ということが多い。

その方法は、大きく、当事者の片方が一方的に契約を解除する場合と契約の当事者で話し合って契約をなかったことにする場合(合意解除)に分かれる。前者はさらに、法律の規定によって解除する権限が発生するもの(法定解除)と、契約などで定めた条件に従って発生するもの(約定解除)の2種類がある。

法定解除ができるのは、相手方に履行遅滞や履行不能のような債務不履行があった場合と、売買契約における契約不適合責任にもとづいて解除する場合である。また、約定解除には、解約金を支払っていつでも解約できると定めた場合(解約手付)、期間内に建物を建築しないときには買い戻す約束をした場合(買戻特約)などのケースがある。

契約不適合

売買や請負において、契約に基づいて引き渡された目的物が、種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合していないことをいう。

たとえば、土地の地目が異なっていれば種類が不適合であるし、建物の耐震強度が不足していれば品質の不適合となる。また、受け取った品物の個数が違えば数量の不適合である。

目的物が不動産の場合には、品質に関する不適合の判断が問題となる。「住み心地」のような品質は評価が難しいし、耐震性、耐火性などは設計や工事記録を精査しないとわからない。あるいは、既存住宅などについては経年的な品質の劣化をも考慮しなければならない。住宅性能評価や住宅インスペクションを実施することは、契約不適合に対応するためにも有効である。

また、不動産売買において契約表示面積と実測面積のあいだに過不足があったときには、契約において実測面積を基礎に代金額を定めるとの合意がある場合に契約不適合となる。

契約不適合の場合には、買主・注文者は、売主・請負人に対して、履行の追完請求(補修や代替物等の引渡し請求)、代金減額請求報酬減額請求損害賠償請求又は契約解除権の行使をすることができる。ただしこれらの請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならないとされている。

このルールは、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって明確化された。

契約不適合責任

売買契約や請負契約の履行において、引き渡された売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主・請負人が買主・注文者に対して負うこととなる責任。債務不履行により生じる責任のひとつである。

買主・注文者は、契約不適合責任を負う売主・請負人に対して、履行の追完請求(補修や代替物等の引渡し請求)、代金・報酬の減額請求、損害賠償請求又は契約解除権の行使をすることができる。ただしこれらの請求等をするためには、原則として、不適合を知った時から一年以内に不適合である旨を通知しなければならない。

民法(債権関係)改正前は、売買の目的物に隠れたる瑕疵があったときの責任等について特別の規定が定められていたが、改正によってこの規定が削除され、隠れた瑕疵があった場合を含めて、目的物が契約に適合しない場合の規定に統合・整理された(改正法の施行は2020年4月1日から)。この統合・整理された規定では、引き渡した目的物が契約に適合しない場合には、引渡した者(売主・請負人)に履行の追完、代金の減額等の責任が生じることとなる。この生じる責任が契約不適合責任である。

なお、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」とおおむね同義であるが、特定物(その固有性に着目して取引され代替性がない)の売買についてのみ使われる用語である。

欠格事由

宅地建物取引業の免許を得ることができない事由。宅地建物取引業法は、業務を行なうためには許可を必要とし、許可の基準を定めている。欠格事由は、その基準に規定された許可できない事項である。

例えば、申請前5年以内に免許の不正取得、情状が特に重い不正不当行為、業務停止処分違反をして免許を取り消された場合、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない場合、宅地建物取引業に関し不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合などである(詳細は「免許の基準(宅地建物取引業の~)」を参照)。

欠陥住宅

備えるべき安全性能を欠いている住宅をいう。

その性能としては、風雨、地震、火災に耐える性能、地盤や主要構造部の堅牢性、さらには防音、通気、シックハウス防止等室内環境の水準などがあるが、その確保すべき水準は必ずしも明確ではない。例えば、建築基準法などの法令の規定に違反している場合、常識的な住宅としての性能を欠く場合、請負契約などで予定している性能を満たさない場合などは、欠陥住宅である可能性が大きい。また、欠陥住宅であるという苦情としては、雨漏り、亀裂の発生などに関するものが多い。

欠陥住宅が発生する原因の多くは、設計の誤りか施工時の手抜きやミスである。そこで、その責任を明確にするため、住宅の品質確保の促進等に関する法律では新築住宅の建築請負者や売主に対して、柱などの構造上重要な部分や雨水の侵入を防ぐ部分について、引渡し後10年間の瑕疵担保責任が義務付けられている。さらに、住宅の性能基準を客観的に評価し、その性能を保証する制度(住宅性能表示制度)も運営されているが、この制度を用いるかどうかは任意である。

欠陥住宅

備えるべき安全性能を欠いている住宅をいう。

その性能としては、風雨、地震、火災に耐える性能、地盤や主要構造部の堅牢性、さらには防音、通気、シックハウス防止等室内環境の水準などがあるが、その確保すべき水準は必ずしも明確ではない。例えば、建築基準法などの法令の規定に違反している場合、常識的な住宅としての性能を欠く場合、請負契約などで予定している性能を満たさない場合などは、欠陥住宅である可能性が大きい。また、欠陥住宅であるという苦情としては、雨漏り、亀裂の発生などに関するものが多い。

欠陥住宅が発生する原因の多くは、設計の誤りか施工時の手抜きやミスである。そこで、その責任を明確にするため、住宅の品質確保の促進等に関する法律では新築住宅の建築請負者や売主に対して、柱などの構造上重要な部分や雨水の侵入を防ぐ部分について、引渡し後10年間の瑕疵担保責任が義務付けられている。さらに、住宅の性能基準を客観的に評価し、その性能を保証する制度(住宅性能表示制度)も運営されているが、この制度を用いるかどうかは任意である。

検査済証

建築工事が完了した建築物について、建築主事等は、検査の申請を受理した日から7日以内に、当該建築物について工事完了検査を行なわなければならない。

この工事完了検査に合格した場合に、建築主事等が建築主に交付する書面が「検査済証」である。

建築基準法

建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めることを目的に、昭和25年に制定された法律。建築物の構造耐カの安全確保に関する基準、防火、避難に関する基準、建ぺい率、容積率、高さ等の形態に関する基準等、建築物に関する最低限の基準を定めている。また、その基準の実効性を担保するため、着工前の建築確認、工事完了後の完了検査・違反建築物の是正措置等の行政手続についで定めている。

建築条件付分譲宅地

宅地の売主又はその代理業者と購入者の間で、宅地の売買契約締結後一定期間内に、当該宅地上に建築物の請負契約を締結させることを停止条件として宅地を分譲することをいう。土地を販売するに当たり、当該土地に建物を建築すること又は当該土地の売主著しくは売主が指定する建設業者との間において、当該土地に建築する建物について一定期間内に建築請負契約が成立することを条件とするときは、当該取引の対象が土地である旨並びに当該条件の内容及び当該条件が成就しなかったときの措置の内容を明らかにして表示しない広告は、不当表示として取り扱われる。請負契約に関する協議を行わずに売主側の建物プランをそのまま押しつける方法や、建築確認後に建売住宅の売買契約に切り替える方法は、建物の請負契約が実体的に存在しない建築確認のない建売住宅の販売そのものとして宅建業法33条(広告開始時期の制限)、同法36条(契約締結等の時期の制限)等に違反するおそれがある。

建ぺい率

敷地面積に対する建築面積(建物の水平投影面積)の割合(%)。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。

建物の建ぺい率の限度は、原則として、用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。

権利金

借地権、借家権の設定又は移転に伴い、その対価として賃料以外に授受される金銭をいう。借地借家法の適用を受ける借地権、借家権、とりわけ旧借地法の適用を受ける堅固な建物所有を目的とする借地権は、法律上強い保護を受け、かつ、長期間存続するために土地所有権(底地権)とは別個の財産権のように取り扱われ、その設定(借地契約)に当たっては、更地価格に対して一定割合(地域によって異なるが、概ね70%程度)の金員(権利金)が授受される。このような借地権は譲渡が行われても旧借地法が継続して適用されるので、譲渡に際してもその対価として権利金が授受される。借家の場合にも、礼金等同様のものがある。このほか権利金には、賃料の一括前払いの性格を持つもの、特に借家の場合に什器備品等を含めた営業権又はのれんの対価とされるものがある。

権利金

土地や建物の賃借権を設定したり譲渡したりするときに、賃借人が地主・家主に支払う金銭をいう。

賃料とは別に授受され、敷金と異なって契約が終了しても返還されることはない。その授受は、都市部で広く見られる社会的な慣行である。

その法的な性格は、

1.所有権類似の法的保護を受ける借地権の対価、2.賃料の一部の一括前払い、3.賃借権の譲渡・転貸に対する事前の承認料

などといわれ、契約の内容で判断しなければならないが、事実として行なわれている。

なお、借地権の取引においては、通常、権利金に相当する額が対価となっていて、その額は地価の7割程度の水準である。また、貸主が受け取る権利金は、課税上、不動産譲渡益と同様に取り扱われている。

現況有姿売買

現在あるがままの状態(現況有姿)で売買することをいう。

山林や原野などを造成工事しないで販売することを「現況有姿分譲」といい、市街化調整区域別荘地などの分譲でよく行なわれる。通常は、電気、ガス、水道などの施設が整備されていないために、そのままでは生活できない。分譲広告の際には、現況有姿分譲地であって、そのままでは生活する施設がない旨を表示しなければならない。

また、売主瑕疵担保責任を免れるために、売買契約中に「現況有姿で引き渡す」旨を記載して取引することがあるが(現況有姿売買契約)、引渡しまでの間に目的物に変化があったときなどにおいてまで責任を免れることができるかどうかについては、消極的に解する(ただちには責任を免れられないとする)意見が強い。

原状回復

ある事実がなかったとしたら本来存在したであろう状態に戻すことをいう。

例えば、契約が解除された場合には、一般に契約締結以前の状態に戻さなければならないとされる(原状回復義務を負う)。また、損害賠償の方法として、金銭で補償するのではなく損害が発生する以前の状態に戻す方法(原状回復による賠償)が認められる場合がある。

借家契約では、退去時の原状回復義務を特約していることが多いが、「本来存在したであろう状態」にまで戻せばよく、借りた当時の状態にする必要はないとされている。つまり、契約に定められた使用方法に従って通常の使用をしていれば、経年劣化があってもそのまま返還すればよい。

国土交通省が公表した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、賃借人が負担すべき原状回復費用は、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の範囲に限るとしている。また、東京都の「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例(賃貸住宅紛争防止条例、いわゆる東京ルール)」(2004年10月施行)では、重要事項説明の際に、借主に対して退去時の通常損耗等の復旧は貸主が行なうことが基本であること、入居期間中の必要な修繕は貸主が行なうことが基本であること、契約で借主の負担としている具体的な事項などを書面で説明しなければならないとしている。

行為能力

自分が行なった法律行為の効果を確定的に自分に帰属させる能力のこと。
法律行為を有効に行なうには意思能力を持つことが必要とされているが、実際の契約等において意思能力を持たない者(=意思無能力者)が、契約当時に意思能力を欠いていたことを事後的に証明することは非常に困難である。

そこで民法では、正常かつ完成された精神能力を持たない者を画一的に「行為能力が制限された者」(=制限能力者(制限行為能力者))として取り扱い、こうした者を保護している。
このような制限能力者(制限行為能力者)には、法定代理人または成年後見人保佐人補助人が選任されている。制限能力者(制限行為能力者)が、これらの法定代理人等の同意を得ないで単独で行なった法律行為は原則として事後的に取消しが可能である。

このように法定代理人等に同意権を与えることにより、制限能力者(制限行為能力者)が不適切な法律行為により不利益を被ることがないよう監視しているのである。
制限能力者(制限行為能力者)とされているのは、未成年者成年被後見人被保佐人被補助人である。

交換差金

金銭以外の財産を交換する場合に、譲渡する財産の価額と取得する財産の価額が同額でないときにその差額を補うために授受される金銭をいう。

また、交換差金を伴う交換を「補足金付交換」という。

民法上、交換契約については売買契約の規定が準用されるが、交換差金については売買代金に関する規定が準用される。 
なお、所得税・法人税の課税において、土地や建物を同じ種類の資産と交換したときは譲渡がなかったものとする特例(土地建物の交換特例)があるが、交換差金等の額が譲渡資産の価額と取得資産の価額とのいずれか高いほうの価額の20%相当額を超える場合には、この特例は受けられない。

工業専用地域

都市計画法(第9条)で「工業の利便を増進するため定める地域」と定義されている。この用途地域では、建ぺい率の限度は都市計画により30%から60%の範囲内(10%きざみ)である。

また容積率の限度は100%から400%の範囲内(5種類)で都市計画で指定される。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.公衆浴場
2.店舗等(物販店、飲食店を除く)
3.事務所
4.工場
5.カラオケボックス等(床面積1万m²以下)
6.自動車教習所
7.倉庫業の倉庫 など

(建築できないもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院
3.老人ホーム
4.飲食店等
5.ホテル・旅館
6.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場、パチンコ屋・麻雀屋、映画館・劇場、料理店、キャバレー、個室付浴場 など

工業地域

都市計画法(9条)で「主として工業の利便を増進するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%または60%である。
また容積率の限度は100%から400%(5種類)の範囲内で都市計画で指定される。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

(建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等(床面積1万m²以下)
4.事務所等
5.工場
6.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(業種によっては床面積1万m²以下)
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫

(建築できないもの)
1.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院
2.ホテル・旅館
3.映画館・劇場、料理店、キャバレー、個室付浴場

後見人

未成年者成年被後見人を「後見」する者を「後見人」という。

後見とは、人(未成年者や成年被後見人)を保護するという意味である。

後見人は民法により次の権限を持つ(民法第859条)。

1.未成年者または成年被後見人の財産を管理する権限を持つ。
2.未成年者または成年被後見人の法律行為を代表して行なう権限を持つ。

このように後見人には財産管理権と代理権という強い権限が付与されている。

なお、未成年者の後見人は未成年後見人と呼ばれる。
また、成年被後見人の後見人は成年後見人と呼ばれる。

公告

法律上ある事項を広く一般に知らせることをいい、その目的・効果・方法は法律によってさまざまである。

目的は、広範囲の利害関係人や不特定の者に対して権利行使等の機会を与えるためであることが多いが、一定の事項を社会に公示するためなどを目的とする公告もある。

法的効果としては、公告に対して一定期間内に一定の手続きを取らないと権利を失うなどの不利益が確定するものが多いが、不知を援用できなくなる効果に留まるものもある。

公告の方法としては、官報・新聞への掲載、裁判所等の掲示板への掲示などがある。

更新事務手数料

借家契約の期間更新の際に、借家人に対して請求される費用の一つで、契約更新のための事務費用であるとされている。しかしながら、契約更新事務を依頼しない場合にはその費用を支払う必要はない。

また、契約更新に当たって家賃改定などのための事務を不動産業者等に依頼した場合も、その費用は改定を必要とする方(通常は家主)が負担するのがより合理的であるという意見がある。

更新料

借地借家契約の更新に伴って、賃借人から賃貸人に対して支払われる金銭をいう。借地権又は借家権が期間満了によって消滅しても、賃貸人に正当の事由がなけれぱ契約の更新を拒絶し、土地又は建物の返還を求められないため、賃貸人の要求により、更新料が支払われることが多い。問題は、特段の合意がない場合でも、賃貸人にその請求権があるかであり、これを肯定する説もないではないが、判例(最判昭51.10.1)は、商慣習ないし事実たる慣習として更新料の請求権があるという賃貸人の主張を認めず、通説も同様に解している。なお、更新料の支払につき合意があり、それが賃料の支払と同様に更新後の賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、契約当事者の信頼関係を維持する基盤をなしている場合には、その不払は、その基盤を失わせる著しい背信行為として賃貸借契約の解除原因となり得るとする判例(最判昭59.4.20)もある。

公示価格

地価公示法に基づき、土地鑑定委員会が、毎年1回公示する、一定の基準日における標準地の価格のこと。都市計画区域内で標準的な土地(標準地)を選定し、当該標準地について2人以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を判定して公示するものである。例年1月1日現在の価格が3月下旬に公示される。公共事業の施行者が土地の取得価格を決める場合や国土法による土地取引規制における価格審査においてはこれを規準として行うべきこととされている。なお、地価公示価格の動向については、前年と継続する標準地の価格の上昇又は下落の率を意味する変動率が使用される。

公図

登記所法務局出張所などのこと)に備え付けられている地図であって、土地が一筆ごとに書かれており、土地の形状や隣接地との位置関係が一目で分かるように作られたもの。登記所で閲覧し、写しを取ることができる。

公図が着色されている場合には、各色が次のような意味である。

赤:道路、 青:水路、 黄色:田、 薄茶色:畑、 黄緑色:原野

公正証書

公証人が私人の法律行為その他私権に関する事実について作成する証書をいう(公証人法1条)。公正証書は、公証人の面前において嘱託人がした陳述又は金銭の授受などの行為を、公証人が聴取又は目撃して作成する(同法35条)。公正証書は、訴訟手続上強い証明力を有し(民事訴訟法228条2項)、債権譲渡などでは確定日付のある文書とされ(民法467条2項、民法施行法5条1項1号)、遺言についでは家庭裁判所での検認の手続が不要とされ(民法969条、同法1004条2項)、さらに金銭の支払についでの公正証書で債務者が執行を受諾する旨の文言のあるもの(執行証書)は、債務名義として債務者の財産を差し押さえたりすることにも利用される(民事執行法22条5号)。

 

公租公課の起算日

不動産の売買に際しては毎年継続的に賦課される固定資産税、都市計画税を売主、買主がどのように分担するかという問題が生じるが、その負担額を算出する基礎となる日がいわゆる公租公課の起算日である。固定資産税、都市計画税は毎年1月l日の登記名義人に対して課せられるのであるから、税の分担については1月l日を起算日とするのが正しいとする暦年方式説(1月1日説)と1月1日はあくまで税の賦課期日にすぎず、課税対象期間は4月l日から翌年3月末日までと解釈するのが正当であり、したがって4月1日を起算日とすべきだとする年度方式説(4月1日説)の2説がある。

公道

一般に国や地方公共団体等の公的主体が一般交通の用に供する道路をいう。道路法にいう高速自動車国道・一般国道・都道府県道・市町村道は公道の典型的なものである。なお、道路運送法上の自動車道(一般自動車道と専用自動車道)、土地改良法に基づく農業用道路、森林法に基づく林道(国有林林道と民有林林道)等は、その開設・維持・管理等についで公法的な保護・助成が受けられる半面、特殊な規制が加えられ、その所有者の自由な処分は許されていないので、これらは、私道というよりは公道としての性格の強い道路といえよう。

高度地区

高度地区は、用途地域の中で定められる地区である。
高度地区では、市街地の環境維持のために建築物の高さに最高限度が設定される。
またごく少数ではあるが、土地の利用を促進するために、建築物の高さの最低限度を定める高度地区も存在する(都市計画法第8条第3項、第9条第18項)。

高度地区の具体的内容は市町村が決定することとされているので、詳細を知りたい場合には市区町村役所の建築確認担当部署に問い合わせる必要がある。

高度利用地区

高度利用地区は、用途地域の中で定められる地区である。
この高度利用地区では、容積率の最高限度、容積率の最低限度、建ぺい率の最高限度、建築面積の最低限度が必ず定められる。

これにより、狭小な建物建築を排除することが可能となり、将来的に都市再開発事業を実施しやすい環境が創出されることになる(都市計画法第8条第3項、第9条第19項)。

公売

納税者が国税・地方税を納税しない場合に、国または地方公共団体が納税者の財産を差し押さえたうえで自ら売却し、その売却代金から税金の支払いを受けるという制度のこと。

公簿売買と実測売買

土地の売買契約における取引価額の確定に用いる土地面積の違いによる区別で、土地登記簿の表示面積を用いて価額を確定する公簿売買、実測面積によって確定する場合を実測売買という。

とりあえず登記簿の表示面積で金額を定めて契約し、後ほど実測面積による金額との差額を精算する方法も、実測売買である。

公簿売買は測量が不要で簡便な方法であるが、実測面積が小さいと判明したときには紛争となりやすいため、それを回避するべく、契約において、実測面積と差異が生じても取引金額は変更できない旨を定めることが多い。
しかし、実測面積との違いが大きく、買主が取引の目的を達成できないときには、錯誤であるとして契約の無効を主張する恐れがある。

国土法の届出

土地の取引に関する届出で、国土利用計画法に基づき義務付けられているものをいう。

 

届け出なければならない取引は、次の3つの場合である。

 

1.一定面積以上の土地取引を行った場合(事後届出)

届出を要する面積は、市街化区域2,000平方メートル以上、その他の都市計画区域5,000平方メートル以上、都市計画区域外10,000平方メートル以上

2.注視区域において一定面積以上の取引を行おうとする場合(事前届出)

届出を要する面積は、1.と同じ面積。

3.監視区域において一定面積以上の取引を行おうとする場合(事前届出)

届出を要する面積は、1.未満の面積で都道府県知事が定める面積

 

なお、一般的に「国土法の届出」というときには、区域を限定せずに義務付けられている1.の事後届出を指すことが多い。

国土利用計画法

国土利用計画の策定に関し、必要な事項を定め、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他の土地利用を調整するための措置を講ずることを目的に昭和49年に制定された法律。都道府県知事は、都市計画区域のうち、土地の投機的取引が集中して行われ、地価が急激に上昇する区域等を規制区域として指定すること(12条)、規制区域内の土地の権利の移転等をする契約を締結する場合は、都道府県知事の許可を受けなければならないこと(14条1項)、一定規模以上の土地(市街化区域2,000m2以上、その他の都市計画区域5,000m2以上、その他の地域10,000m2以上)の売買等の契約を締結した場合には、権利取得者は、その契約を締結した日から2週間以内に都道府県知事に届け出なけれぱならないこと(23条1項)、都道府県知事は、地価が一定の期間内に国土交通大臣が定める基準を超えて上昇する区域等を注視区域として、地価が急激に上昇し合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域を監視区域として、指定することができること(27条の3、27条の6)、注視区域内及び監視区域内の土地の権利の移転等をする契約を締結する場合は、都道府県知事に届出をしなけれぱならないこと、届出をした者は、6週間を経過する日までの間は売買等の契約を締結してはならないこと(27条の4第1項、27条の4第3項、27条の7第1項で準用する場合)等を定めている。注視区域、監視区域の指定は都道府県で確認することができる。

国土利用計画法

計画的な国土の利用を図るための法律で、国土形成計画法とともに総合的な国土の利用や保全を推進するための枠組みを定めている。1974(昭和49)年に制定された。

国土利用計画法が定める規定は、大きく土地利用計画の策定と土地取引の規制に分かれる。土地利用計画の中心となるのは、都道府県ごとに作成される土地利用基本計画であり、全国を、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域、自然保全地域の5つの類型に区分している。

土地取引の規制の仕組みとしては、

1.一定の土地取引について都道府県知事または政令市市長に届けなければならないとし、土地の利用目的等に関して勧告できる制度(土地に関する権利の移転等の届出)

2.地価の急激な上昇の恐れがあるときには、規制区域を指定して土地に関する権利の移転等について許可に係らしめる制度(規制区域)

3.地価の上昇の恐れがあるときには、注視区域または監視区域を指定して土地売買等の契約に関する勧告をできる制度(注視区域・監視区域)

4.取引された土地が遊休土地である旨通知して、その利用処分計画の届出を課し、助言などをする制度(遊休土地に関する措置)

がある。

なお、土地に関する権利の移転等の届出1.を要するのは、原則として、取引面積が、市街化区域にあっては2,000平方メートル、都市計画区域(市街化区域を除く)にあっては5,000平方メートル、それ以外の区域にあっては1万平方メートル以上の取引である。

固定資産税

1月1日現在(賦課期日)に、固定資産課税台帳、又は補充課税台帳に登録された一定の土地、家屋、償却資産の所有者に課税される市(区)町村税(都税)である。課税標準は、3年にl度の基準年度ごとに改訂し、第2又は第3年度については比単価格で課税される。納税は普通徴収で4期分納である。

さ行

災害危険区域

津波、高潮、出水等による危険の著しい区域として指定された区域。

地方公共団体が条例によって指定し、その区域内では、災害を防止・軽減するため、条例の定めるところにより建物の用途、地盤高・床高、構造等が規制される。建築基準法に基づく制度である。
なお、自己の居住用住宅の建築を目的とした開発行為を除き、この区域を開発区域に含むことは原則禁止とされている。

再建築不可

建替えや増改築ができない状態であることをいう。

例えば、接道義務を満たしていない敷地既存不適格建築物はいずれも再建築不可である。

宅地建物取引業務においては、不動産広告および重要事項説明書に必ず「再建築不可」である旨の記載をしなければならない。

催告

相手に対して一定の行為を要求することをいう。

催告をして相手方が応じない場合に、一定の法律効果が生じるという意味がある。

大きく、債務者に対して債務の履行を請求すること、無権代理者等の行為を追認するかどうか確答を求めることの2つの場合がある。例えば、債務の履行を催告すれば、時効の中断履行遅滞、解除権の発生などの、追認の催告は、場合に応じて、追認、取消しまたは追認の拒絶とみなされるなどの法律効果に結びつく。

口頭による催告も法律上有効であるが、確実を期すためには証拠力の強い方法によるのが望ましい。

催告の抗弁権

債権者が保証人保証債務の履行を請求してきた場合には、保証人は「先に主債務者に対して債務の履行を催告せよ」と債権者に主張することができる。これを催告の抗弁権という(民法第452条)。

例えば、AがBから100万円の借金をし、Aの友人であるCがその借金の保証人になったとしよう。このとき債権者Bが、保証人Cに対して100万円の債務を支払うように請求したとする。その際保証人Cは「まず主債務者Aに対して借金返済の督促をせよ」と債権者Bに主張できることになる。

しかしながら、単に督促をするだけでよいのであるから、債権者にとってはこの催告の抗弁権は実際上ほとんど問題とならない。ただし、保証人にはより強力な抗弁権として、検索の抗弁権が与えられている(民法第453条)。

先取特権

法律で定められた特殊な債権について、債務者の財産または特定の動産不動産から優先的に弁済を受けることのできる権利をいう。この権利は、担保物権として強い保護を受ける。

例えば、雇人の最後の6ヵ月分の給料は、雇主の総財産に対して、不動産の賃貸借関係から生じた賃借人の債務は、賃借地、建物の動産、土地の果実に対して、請負人等がした不動産工事の費用や不動産売買の対価およびその利息は、その不動産に対して、それぞれ優先弁済の権利があるとされている。

ただし、他の先取特権との競合関係の際の順位が法律で定められているので、注意が必要である。

差押

競売(または公売)の前提として、あらかじめ債務者の財産の売却等を禁止するような裁判所の命令のこと。

仮差押が、債務者の財産を一時的に凍結する命令であるのに対して、差押は競売(または公売)の手続きが開始すると同時に行なわれるものである。

差押の原因は、次の3つのどれかである。

1.抵当権等を実行するための任意競売が開始されたこと
2.裁判所の判決等にもとづく強制競売が開始されたこと
3.税金の滞納にもとづく公売が行なわれること

差押の登記

不動産に対する差押が行なわれた際に、不動産登記簿に記載される登記のこと。
競売または公売の手続きが正式に開始されたことを公示する登記である。

差押の登記に書かれる「原因」には、次の3種類の文言がある。

1.抵当権等を実行するための任意競売が開始されたとき
→原因「競売開始決定」

2.裁判所の判決等に基づく強制競売が開始されたとき
→原因「強制競売開始決定」

3.税金の滞納に基づく公売が行なわれるとき
→原因「税務署差押」

査定価格

不動産を市場に売り出す(または賃貸物件として借主を募集する)等の場合には、売主・貸主は、自ら希望する価格で買手・借手を探すことは自由である。しかし、 普段不動産取引を行なわない、また、市場に精通していない場合には、仲介を担当する不動産流通業者に売り出し価格を相談するのが一般的である。

その場合に、不動産流通業者が取引の専門家として、成約価格の事例等を参考に、不動産の立地、周辺環境、当該不動産の規模や築年数、劣化の度合い等を勘案し、その時の市場動向、相場なども加味して売り出し価格について助言をすることが多い。このように業者が売主に価格について提案・助言することを「価格査定」といい、その時の価格を「査定価格」と呼んでいる。査定はひとつの営業ツールとなっており、「査定無料」を強調する売主向け広告もある。

 

35条書面

重要事項説明書」と同じ。それを参照。

なお、重要事項説明に当たって35条書面を交付するのは宅地建物取引士である。一方、37条書面宅地建物取引業者が交付する。

37条書面

宅地建物取引業者が不動産取引に関与して契約が成立した場合に、当該業者が取引当事者に交付しなければならない書面。この書面の交付は、宅地建物取引業法第37条の規定に基づく義務である。

交付する書面には、代金または借賃の額、その支払方法、引き渡しの時期など法律に定める主要な契約内容(売買・交換の場合と賃貸借の場合とで異なる)を記載するとともに、宅地建物取引士が記名しなければならない。

なおこの書面の交付は、契約書(宅地建物取引士の記名押印があるもの)の交付によって満たすことができる。

市街化区域

都市計画によって定められた、すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化区域内では、必ず用途地域が指定されている。

市街化調整区域

都市計画によって定められた、市街化を抑制すべき区域をいう。

一定の都市計画区域について、都道府県知事が区域区分を決定することによって定まる。

市街化調整区域内で土地の区画形質の変更をする場合には、原則として許可を要する(開発許可)。そして開発許可に当たっては特別な事情にある場合を除いて住宅のための宅地造成等は許可されないなど、市街化調整区域内での開発・建築行為を抑制する規制が適用される。

敷金

建物の賃貸借契約を新規に締結する際に、借主から貸主に対して、次のような目的のために預けられる金銭。

1.賃料の不払い・未払いに対する担保
2.契約により借主が負担すべき修繕費用や原状回復費用の前払い

将来契約が終了した場合には、上記1や2の金額を控除した残額が、借主に対して退去後に返還される。なお、関西等では「敷引」の慣行がある。

敷金返還請求権

借主が貸主に対して敷金の返還を請求できる権利。賃貸借契約が終了して貸主が建物の返還を受けたときや、賃借権を譲渡したときに請求できる。

特に、賃借権が譲渡された場合には(譲渡について貸主の承諾が必要)、旧借主は、譲渡によって賃貸借関係から離脱するので敷金の返還を請求することができ、その敷金返還請求権は新賃借人に承継されないことに注意が必要である。

敷地権

一棟の区分所有建物敷地に関する権利をいい、登記によって確定する。

分譲マンションなどの区分所有建物を所有するには、建物自体の所有権区分所有権)と建物の敷地を利用する権利(所有権や借地権であり、敷地利用権といわれる)とを必要とするが、この区分所有権と敷地利用権は原則として分離して処分できないとされており、そのような分離不能な敷地利用権として登記された権利が敷地権である。

敷地権が登記されれば、建物の専有部分の権利変動等の登記に当たっては、敷地利用権に関する登記は省略される。両方の権利が一体化されている効果であり、区分所有建物の取引に伴う手続きが簡略なものとなる

指示

監督処分の一つで、宅地建物取引業者宅地建物取引士に対して、一定の作為または不作為(ある行為をすること、または行為をしてはならないこと)を命令することをいう。

指導と異なり、法的な強制力を伴い、指示に違反すると、罰則が課せられることがあるほか、原則的に、営業停止、免許取消などの新たな監督処分を受けることとなる。

詳しくは、「監督処分」を参照。

私道

民間の個人や法人が所有している道路を「私道」という。

「私道」には、特定の個人のために築造されたものもあれば、不特定多数の人が通行するために築造されたものもある。
「私道」は一定の手続きを経ることによって「建築基準法上の道路」になることができる。
この手続きは「道路位置指定」と呼ばれている。

私道負担

不動産の売買において、対象となる土地の一部が「私道敷地」となっているとき、その私道の敷地の部分を「私道負担」と呼んでいる。

私道負担に関する事項は、重要事項として説明しなければならない。また、不動産広告では、区画面積と私道負担面積とを分けて表示しなければならないとされている。例えば、「土地面積100平方メートル、別に、私道負担面積5平方メートル」のように、わかりやすく表示する必要がある。

借地権

借地権とは次の2つの権利のどちらかのことである(借地借家法第2条)。

1.建物を所有する目的で設定された地上権
2.建物を所有する目的で設定された土地賃借権

従って、資材置場にする目的で設定された土地賃借権は「借地権」ではない。
また、青空駐車場とする目的で設定された土地賃借権も「借地権」ではないことになる。

借地権割合

土地の更地評価額に対する借地権価額の割合をいう。

土地の価格のうち、借地権者に帰属する経済的利益を示すとされ、地域特性など借地事情によってその値は異なる。一般に、地価が高いほど、借地権割合も高くなるとされる。

相続税や贈与税は借地権に対しても課税されるが、その際に借地権価額を算出するため、国税庁が公表する路線価図や評価倍率表には、借地権割合が表示されている。ただし、その値が実態と常に一致するとは限らないことに注意が必要である。

なお、定期借地権も課税の対象となるが、その場合の借地権割合は、借地権設定期間および残存期間を勘案して割り引いて算出することとされている。

借地借家法

借地権および建物の賃貸借契約などに関して特別の定めをする法律で、民法の特別法である。1991年公布、92年8月1日から施行されている。

従前の借地法、借家法を統合したほか、定期借地権等の規定が創設された。借地借家法では、借地権の存続期間や効力等、建物の賃貸借契約の更新や効力等について、借地権者や建物の賃借人に不利にならないよう一定の制限が定められている。

斜線制限

建築物の各部分の高さに関する制限をいう。

通風、採光等を確保し、良好な環境を保つことを目的とした制限で、建築物を横から見たとき、空間を斜線で切り取ったように制限されることから斜線制限と呼ばれる。

斜線制限には、道路高さ制限隣地高さ制限北側高さ制限日影規制がある。

1.道路高さ制限は、前面道路の反対側境界線を起点とする一定勾配の斜線の範囲内に、

2.隣地高さ制限は、隣地境界線から一定以上の高さを起点とする一定勾配の斜線の範囲内に、

3.北側高さ制限は、北側隣地(道路)境界線上の一定の高さを起点とする一定勾配の斜線の範囲内に、

4.日影規制は、敷地境界から一定の距離を設定してそのラインを越えて一定以上の日影を生じさせないように、

それぞれ建築物の高さを収めなければならないとされている。

制限される高さの具体的な算出方法は、用途地域の指定などの都市計画の状態等によって異なる。

修繕積立金

管理組合長期修繕計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
区分所有者は、管理組合に対して、通常、管理費と特別修繕費を納入するが、この特別修繕費を毎月積み立てたものが「修繕積立金」である。

この修繕積立金は、管理費と混同しないように、管理費とは別に経理することが管理規約において定められていることが多い。

集落地区計画

都市計画法第12条の4に規定する「地区計画等」の一つ。集落地域整備法に従い、都市計画によって定められる。

集落地区計画は、都市近郊の農村集落について、集落地域の土地の区域内で、営農と居住環境が調和した土地利用を図るための計画である。

なお、集落地域とは、市街化区域以外の都市計画区域であって、農業振興地域内にあることが必要とされている。

取得時効

一定期間、所有の意思をもって平穏かつ公然と他人の物を占有したとき、その物の所有権などの権利を取得することができるとする定め。

取得時効が完成するのに要する期間には、善意かつ過失なしで占有した場合には10年(短期取得時効)、それ以外の場合には20年(長期取得時効)である。

承役地

地役権とは、自分の土地の利便性を高めるために、他人の土地を利用することができるという権利のことである(民法第280条)。
この地役権が設定されている場合において、利用される他人の土地のことを承役地という。

例えばA氏が、自分の所有地から公道に出るために、B氏の所有する土地を通行しようとして、B氏の所有地の一部について通行地役権を取得し、通行路を作ったとする。
このときB氏の所有地は、通行路の開設によってA氏の土地の利便性を高めるために利用されているので、B氏の所有地は「承役地」である。

商業地域

都市計画法(9条)で「主として商業その他の業務の利便を増進するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として80%である。
また容積率の限度は200%から1300%の範囲内(12種類)で都市計画で指定される。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

(建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが少ない作業場面積が150平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、映画館・劇場、料理店、キャバレー、個室付浴場
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場

所有権

法令の制限内で自由にその所有物の使用、収益および処分をする権利をいう。

物を全面的に、排他的に支配する権利であって、時効により消滅することはない。その円満な行使が妨げられたときには、返還、妨害排除、妨害予防などの請求をすることができる。
近代市民社会の成立を支える経済的な基盤の一つは、「所有権の絶対性」であるといわれている。だが逆に、「所有権は義務を負う」とも考えられており、その絶対性は理念的なものに過ぎない。

土地所有権は、法令の制限内においてその上下に及ぶとされている。その一方で、隣接する土地との関係により権利が制限・拡張されることがあり、また、都市計画などの公共の必要による制限を受ける。さらには、私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることが認められており(土地収用はその例である)、これも所有権に対する制約の一つである。

所有権の保存の登記

初めてする所有権の登記のこと。登記記録上では、権利部甲区に「所有権保存 所有者A」のように記載される。

所有権の保存の登記をすることができるのは、原則として、表題部所有者である(不動産登記法第74条)。

所有権留保

民法176条に「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。」とあり、不動産取引においても、登記や代金の支払い、物件の引渡しなどの行為はあるとしても、所有権そのものは契約時に移転するという解釈が一般的である。しかし、売主の代金支払請求権を担保したいとの事情などから、所有権移転時期を、代金支払い時や、物件引き渡し時とする特約が結ばれることも行なわれている。

一方、割賦販売法第7条では、割賦販売契約においては、「~全部の支払の義務が履行される時までは、割賦販売業者に留保されたものと推定する。」と定められているが、宅地建物取引業法においては、消費者保護の観点から、宅地建物取引業者が売主となる売買について、代金の10分の3を超える額の支払いを受けるまでに登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない等、宅地建物取引業者側の所有権留保を禁じている(宅地建物取引業法第43条)。業者が買主の債務を保証する場合も同様である。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

所有者不明土地の利用の円滑化や、土地の所有者の効果的な探索を図るために必要な措置を定めた法律。2018年に制定された。

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法が定める主な措置は、次の通りである。

(1)所有者不明土地の利用円滑化のための措置

 ア)一定の要件を満たす所有者不明土地(特定所有者不明土地)について、公共事業における収用手続きにおいて収用委員会による審理手続きを省略することができる。

 イ)特定所有者不明土地に対して、地域福利増進事業に利用する権利を設定することができる。

(2)所有者の探索を合理化するための措置

 ア)行政機関は、土地の所有者の探索のために必要な公的情報を利用することができる。

 イ)登記官は、所有権登記名義人の死亡後に相続登記等がされていない土地であって、公共の利益となる事業の円滑な遂行を図るためその所有権の登記名義人となり得る者を探索する必要があるもの(特定登記未了土地)で一定の要件を満たす土地について、特定登記未了土地である旨等を職権で登記できる。

(3)所有者不明土地を適切に管理するための措置

 地方公共団体の長等は、所有者不明土地について、家庭裁判所に相続財産の管理人の選任を請求できる。

使用貸借

動産不動産を有償で貸し付ける契約が「賃貸借契約」であるが、無償で貸し付ける契約は「使用貸借契約」と呼ばれる

身の回りの洋服や道具、家具や自動車などについて、家族や親戚、友人間において無償で物を貸し借りすることは日常生活でよく見られるところであり、契約書が存在せず、口約束で行なわれる場合も多い。不動産においても、親戚に短期間無償で家を貸したり、経営者が、個人名義の土地の上に会社名義の建物建築するケースや、親名義の土地の上に子名義の建物を建築するケースなどがあるが、無償であるところから借地借家法が適用されず、民法が適用される。

2020年4月施行の改正民法施行以前は、上述の事情から、書面によらない要物契約を想定し、貸主はいつでも借主に対して契約を解除し、物の返還を要求することができることが原則とされていた(ただし、存続期間を定めているときはその期間が満了するまで、使用および収益の目的を定めたときは借主がその目的に従い使用および収益を終えるまでは物の返還を要求できない。/旧民法第597条・598条)。しかし、時代の変化により、経済的取引の一環として行われるケースが増加し、その法的安定を図る必要性が高まったことから、改正民法においては諾成契約が原則となり、解釈によっていた部分の明文化が図られた。

具体的には、まず貸主が「物を引き渡すことを約し」、借主が「返還をすることを約する」ことによって契約が成立する(新民法第593条)として諾成契約であることを明文化し、引き渡し前の貸主の解除権(書面による場合を除く。/同第593条の2)、使用収益の終了等による契約の終了(同第597条)、相当期間経過の場合の貸主の解除権等(598条)、返還時の収去義務および原状回復義務(599条)、損害賠償請求権についての時効完成の猶予(600条)等について、諾成契約を原則とし、これまで解釈で対応していた点について条文の整理、明確化が図られた。

新耐震基準

建築物の設計において適用される地震に耐えることのできる構造の基準で、1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認において適用されている基準をいう。

これに対して、その前日まで適用されていた基準を「旧耐震基準」という。

新耐震基準は、震度6強~7程度の揺れでも倒壊しないような構造基準として設定されている。技術的には、地震力が加えられた場合の構造部材に生じる応力が許容応力以下であるだけでなく、一定以上の規模の建物については、靱性(粘り強さ)を確保することが求められる。また、建物強度のバランスも必要とされる。

なお、旧耐震基準は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しないような構造基準として設定されていた。

信託受益権

信託において、信託財産から得られる利益を受け取る権利をいう。その権利の内容は、信託契約等において個別に定められる。

信託受益権を分割して譲渡することが可能なように信託契約で定めれば、信託受益権は株式や社債など一般の証券と同様に流通させることができる。例えば、投資信託などの受益証書は、信託受益権が分割され流通している代表的な例である。
また、信託受益権の取引については、原則として、金融商品取引法による規制の対象となる。

なお、不動産の信託受益権のなかには、その性質が不動産そのものと類似したもの(分割の禁止や譲渡の制限、信託不動産の賃借人の特定、税負担などを伴う受益権)があり、取引に当たって宅地建物取引業法が適用される恐れがあることに注意が必要である。

新築住宅の建設住宅性能評価書

登録住宅性能評価機関が、実際に住宅を検査することにより作成した住宅性能評価書を「建設住宅性能評価書」という(住宅の品質確保の促進等に関する法律品確法)第6条、同施行規則第5条)。

この建設住宅性能評価書には、新築住宅に関するものと既存住宅に関するものという2種類があるが、そのうち新築住宅に関する建設住宅性能評価書はおよそ次の手順により作成される。

1.設計住宅性能評価書の作成
新築住宅の建設住宅性能評価書を作成するためには、その前の段階として「設計住宅性能評価書」を先に作成しておく必要がある。
具体的には、新築住宅の建設工事の請負人または注文者(もしくは新築住宅の売主または買主)が、登録住宅性能評価機関に対して、設計図等の必要書類を提出して、設計住宅性能評価書の作成を依頼する必要がある(詳しくは設計住宅性能評価書へ)。

2.建設住宅性能評価書の作成の申請
新築住宅の建設工事の請負人または注文者(もしくは新築住宅の売主または買主)が、登録住宅性能評価機関に対して建設住宅性能評価書の作成を申請する。
この申請は、下記の3.で述べる検査のうち最初の検査が実施されるべき時期よりも前に申請する必要がある(建設工事がある程度進行した後では必要な検査が実施できなくなる恐れがあるため)(品確法施行規則第5条)。
またこの申請に当たっては、請負人または注文者(もしくは売主または買主)は次の3種類の書類を提出する必要がある。
1)設計住宅性能評価書またはその写し
2)建築確認を受けたことを証明する確認済証
3)国土交通省告示(建設住宅性能評価のために必要な図書を定める件)により定められている多数の書類(具体的には配置図・仕様書・各階平面図など)

3.検査の実施
登録住宅性能評価機関は原則として4回以上、建設工事が一定の進行段階に到達するたびに、建設工事の現場に立ち入って必要な検査を実施する。
この現場立入りによる検査は、設計住宅性能評価書に記載された性能のとおりに住宅が施工されているかどうかを目視や計測により検査するものである。
(ただし、空気環境の一つである「室内の化学物質の濃度等」だけは、設計住宅性能評価書の項目ではなく、建設住宅性能評価書に特有の項目である。「室内の化学物質の濃度等」を検査するには上記2)の申請において依頼者が検査を希望することが必要である)。

4.建設住宅性能評価書の作成
上記3.の検査にもとづいて、登録住宅性能評価機関は新築住宅の性能を評価し、建設住宅性能評価書を作成する(このとき評価する項目の詳細は「日本住宅性能表示基準」へ)。

新中間省略登記

合法性が高いとされる手法によって行なわれる中間省略登記をいう。

従来の中間省略登記は、権利が移転する実態を反映していないという問題があり(「中間省略登記」を参照)、また、不動産登記法の改正で手続上それが困難となった。そこで、合法的に中間省略登記を行なう手法が工夫された。その手法によって行なわれるのが新中間省略登記である。

新中間登記には、次の2つの手法があるとされる(A→B→Cの譲渡を、A→Cと登記する場合を例示する)。

1.買主の地位の譲渡を利用する手法
売買契約(A→B)、および、買主の地位を譲渡する契約(B→C)による所有権移転

2.第三者のためにする契約を利用する手法(直接移転売買)
第三者のためにする売買契約(A→B、所有権は直接Cに移転する特約付き)、および、他人物売買契約(B→C、Aの所有物をCに移転)による所有権移転

心理的瑕疵

不動産の取引に当たって、借主・買主に心理的な抵抗が生じる恐れのあることがらをいう。

心理的瑕疵とされているのは、自殺・他殺・事故死・孤独死などがあったこと、近くに墓地や嫌悪・迷惑施設が立地していること、近隣に指定暴力団構成員等が居住していることなどである。

物件の物理的、機能的な瑕疵ではないが、物件の評価に影響することがあるため、知っていながらその事実を説明しない場合には契約不適合責任を問われることがある。もっとも、何が心理的瑕疵に当たるかについての明確な基準はない。

なお、不動産の取引や取引の代理・仲介に当たって、取引対象の不動産において過去に人の死が生じた場合に宅地建物取引業者がとるべき対応を示した指針(「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」2021年)が公表されている。

心裡留保

本人の真意とは異なる内容を、本人が外部に表示することをいう。

例えば、ある品物を買う意思がまったくないのに、冗談で「その品物を買います」と店員に言う行為が、この心裡留保に該当する。心裡留保とは「真意を心のうちに留めて置く」という意味である。

このような心裡留保による意思表示は、有効な内心的効果意思を欠くものとして無効とするという考え方もありうるが、民法ではこのような真意と異なる意思表示をする本人は法の保護に値しないとの趣旨により、心裡留保にもとづく意思表示を原則的に有効と定めている(民法第93条第1項本文)。

ただし、心裡留保にもとづく意思表示の相手方が、本人の真意に気付いていた場合(または通常の注意力を働かせれば真意に気付いて当然であった場合)には、相手方を保護する必要がないので、心裡留保にもとづく意思表示は無効となる(民法第93条第1項但書)。

地上げ

事業用地を確保するために、不動産会社が土地などを購入することをいう。

自らの事業のための購入のほか、依頼を受けて土地等を買収することも含まれる。買収を依頼されたときの方法には自ら買収した後依頼者に転売する場合と、依頼者の買収を媒介する場合とがある。

地上げの目的は土地を事業の用に供することであり、そのために必要となる、地上権の解消、家屋の撤去、借家人の立ち退きの実現などもその業務に含まれる。また、権利関係が複雑な市街地の開発などにあたっては、その調整等のため専門的な能力が要請されることもある。

公共事業のための用地買収も地上げと類似するところがあるが、買収価格は用地補償基準従って決められた価格でなければならず、最終的には土地収用に至ることなど、その性質は異なる。

事業用定期借地権

定期借地権の一つで、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とするものをいう。

当初、契約期間が10年以上20年以下とされていたが、借地借家法の改正により、2008年1月1日以降は、10年以上50年未満に改められた。

事業用定期借地権は、契約の更新(存続期間の更新)を伴わない、契約終了時に建物買取請求権が発生しない、建物再築による存続期間の延長がないことを特約した借地権の設定契約(事業用借地権設定契約)によって発生する。この場合、契約期間が10年以上30年未満の場合には必ずこの特約が必要である一方、契約期間が30年以上50年未満の場合は特約するかどうかは任意とされる。また、契約は公正証書によらなければならない。

従って、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする借地権の設定は、契約期間に応じて右表のような方法を選択することができる。

受遺者

遺言によって遺産の譲与を受ける者。受遺者が法人の場合もある。遺言による遺産の譲与を「遺贈」といい、相続人は原則として受遺者に対して遺贈を履行する義務を負う。

なお遺贈には、遺産の全体についてのもの(包括遺贈)と特定の財産についてのもの(特定遺贈)とがあり、その違いに応じて受遺者の法律的な取扱いが異なる。すなわち、包括遺贈の場合には受遺者に対して遺産分割など相続人と同様の法律規定が適用される一方、特定遺贈の場合には直ちに受遺者に権利が移転すると解されている。

重説

 「重要事項説明」の略で、宅地建物取引業者が、売買契約・賃貸借契約の締結に先立って、買主・借主に対して契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづき説明すること。

この重要事項説明において宅地建物取引業者が買主・借主に対して交付する書面を「重要事項説明書」という。

不動産の買主・借主は、契約しようとする物件に関して十分な情報を持っていない事がほとんどで、また買主・借主が一般人である場合には不動産に関する法律知識が不十分であるため、思わぬ損害を受けてしまう可能性がある。

そこで、宅地建物取引業法第35条では、売買契約・賃貸借契約を締結するよりも前に、不動産取引を代理媒介する(または自ら売主として取引する)宅地建物取引業者が、買主・借主に契約上の重要な事項を説明するように法律で義務付けているのである。

重要事項説明にあたっては、説明する重要事項をすべて書面に記載し、買主・借主にその書面(重要事項説明書)を渡す必要があるとされている。この重要事項説明書には、宅地建物取引士が記名押印しなければならない。

さらに宅地建物取引業者は、宅地建物取引士を通じて、重要事項説明書の内容をわかりやすく買主・借主に説明しなければならない(このとき宅地建物取引士は宅地建物取引士証を提示しなければならない)。このように、一定以上の知識経験を有すると認められる有資格者(宅地建物取引士)が説明することにより、買主・借主に誤った説明がされないよう配慮されているのである。

重要事項説明書に記載すべき事項は、非常に広範囲にわたる。また契約の種類・物件の種類によっても説明すべき事項に多くの違いがある。

住宅瑕疵担保責任

売買契約請負契約の履行において、引き渡された目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合に、売主・請負人が買主・注文者に対して負うこととなる責任。債務不履行により生じる責任のひとつで、目的物が特定物(その固有性に着目して取引され代替性がない)である場合の「契約不適合責任」と同義である。

瑕疵担保責任を負わせるためには、買主・注文者は、売主・請負人に対して、履行の追完請求(補修等の実施請求)、代金の減額請求報酬の減額請求損害賠償請求または契約解除権の行使をしなければならない。

なお、住宅の品質を確保するため、新築住宅の瑕疵担保責任について「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく特別の定めがある。詳しくは「売主の瑕疵担保責任(品確法における~)」および「請負人の瑕疵担保責任(品確法における~)」を参照。

また、債権関連の民法改正(2020年4月1日施行)までは、売買の目的物に「隠れた瑕疵」があったときには売主に瑕疵担保責任を課す旨の規定があった。この規定は改正によって削除され、瑕疵担保責任は、改正で整備された契約不適合に関する規定によって対応することとされた。

重要事項説明書

宅地建物取引業務における重要事項説明に当たって、取引の相手となる当事者に対して交付して説明しなけばならない書面をいう(「重要事項説明」についての詳細は当該用語を参照)。

重要事項説明書には説明を要する重要事項を記載しなければならず、また、書面は、宅地建物取引士が、説明して交付しなければならないとされている。

なお、2022年5月の宅地建物取引業法の改正で重要事項説明書を電磁的方法(電子書面)で交付できることになり、宅地建物取引士の押印は不要となった。

受贈者

贈与契約において財産等の贈与を受ける者。

贈与が成立するためには、与える者(贈与者)の贈与する旨の意思表示だけでなく、受贈者の受諾が必要である。

準工業地域

都市計画法(9条)で「主として環境の悪化をもたらす恐れのない工業の利便を増進するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%、60%または80%である。

また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

(建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等
4.事務所等
5.工場(危険性が大きいか、または著しく環境を悪化させる恐れのある工場を除く)
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等、料理店、キャバレー
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫

(建築できないもの)
1.個室付き浴場
2.危険性が大きいか、または著しく環境を悪化させる恐れのある工場

準住居地域

都市計画法(第9条)で「道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%、60%または80%である。

また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等(床面積1万m²以下)
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが非常に少ない作業場面積が50平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(業種によっては床面積1万m²以下)、客席が200平方メートル未満のミニシアター
8.自動車教習所
9.倉庫業の倉庫 など

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設 など

準耐火建築物

建築基準法において、耐火建築物以外の建築物のうち、その主要構造部(壁、柱、床、屋根階段)が準耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部やドア)に防火戸など、火災を遮る設備を有する建築物をいう。

この場合、準耐火性能を満たすというのは、

1.主要構造部が準耐火構造であること

2.準耐火構造と同等の準耐火性能を有するための技術的基準(準耐火性能を確保するための方法としては、外壁を耐火化する手法、または、主要構造部を不燃材料化する手法が認められていて、それぞれの要件が定められている)に適合すること

である。

一定の特殊建築物や、都市計画で定められた準防火地域内の一定の建築物は、準耐火建築物でなければならない。

水害ハザードマップ

想定し得る最大規模の洪水・雨水出水(内水)・高潮が生じた場合の浸水想定区域を示す図面。水防法に基づき、主に住民等の避難に活用されることを目的として、市町村が作成・公表する。

1/10,000~1/15,000程度の大縮尺の地図を用いて、浸水想定区域のほか、浸水深、浸水継続時間、早期の立ち退き避難が必要な区域、避難経路、避難場所等が表記されている。また、予警報・避難勧告等の情報伝達方法、避難勧告・避難行動に関する事項、過去の水害実績、避難訓練の実施に関する事項、緊急時・平時の心構え等の情報も記載される。

宅地建物取引において、取引の対象となる土地・建物が水害ハザードマップ上のどの位置に所在するか(水害ハザードマップが作成・公表されていない場合にはその旨)を説明することは、重要事項説明義務の一つである。

スケルトン

構築物の骨組みのこと。建物などの構造・強度を形成する部材で、構造躯体とも言われる。英語のskeleton。

建物を、スケルトンと内装や設備(これをインフィルinfillという)とを分離できるように設計・施工すれば、改築することなく間仕切りや設備を自由に変更できる。このような工法によって建築された住宅を「スケルトン・インフィル住宅」という。

随意契約

工事などの発注や物品の調達に際して、競争入札の方法ではなく、それ以外の方法で選定した者と契約を締結すること。公共契約において用いられる用語である。

国や地方公共団体の契約相手は、会計法・地方自治法に基づき、原則として競争入札の方法で選定しなければならないとされているが、一定の場合には、それ以外の方法による契約(随意契約)が認められている。随意契約が認められるのは、契約の性質または目的が競争になじまないとき、緊急時で競争入札に付することができないとき、競争が成立しないときなどである。

随意契約の方法には、特定の事業者を指定して契約を締結する方式、複数の者から見積りをとって比較し契約相手を決定する方式(相見積り方式)、企画提案や技術提案を募り提案を審査して契約相手を決定する方式(プロポーザル方式)などがある。

制限能力者

行為能力を欠くために、単独で行なった法律行為を事後的に取り消すことが可能とされている者のこと。
具体的には、未成年者成年被後見人被保佐人被補助人が制限能力者である。

制限能力者は、その保護者(法定代理人成年後見人保佐人補助人)の同意がない場合には、有効に法律行為を行なうことができないとされている(同意を得ない法律行為は事後的に取り消すことが可能である)。

生前贈与

存命中に自分の財産を他人に与えることであるが、通常は、相続の前倒しとして行なう贈与をいう。

贈与を行なったときには、贈与を受けた者に対して贈与税が課せられる(毎年110万円までは非課税)。一方、相続した場合に課せられる相続税は、贈与税よりも税率が低い。そこで、存命中に被相続予定者等に対して財産を分与する必要に応えるために、一定の要件を満たす贈与財産について、相続時にその贈与財産も相続財産と同様に取り扱う制度(相続時精算課税制度)が創設された(2003(平成15)年)。この制度に従ってなされる贈与が、生前贈与である。

また、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与等については一定額まで贈与税が非課税となるが、この制度による贈与も生前贈与である。

なお、贈与税の課税においてどのような贈与が特別扱いの対象となるかなどについては、具体的な事例に則して十分に確認する必要がある。

正当事由

土地・建物の賃貸借契約において、賃貸人が契約の更新を拒絶したり、解約の申し入れをする際に必要とされる「事由」をいう。

一般的に、賃貸借契約は、期間の満了や解約の申し入れによって特段の理由を必要とせずに終了するが、土地・建物の賃貸借については、賃借人保護のために、賃貸人からの更新拒絶等に当たって「正当事由」を要するとされているのである(強行規定であり、これに反する契約条項は無効となる。1941(昭和16)年施行)。

何が正当事由となるかは、裁判での判断に委ねられていて、多数の判例があるが、規定の趣旨に照らせば、借地・借家人に有利になる傾向があるのは当然である。判例を受けて、現在の借地借家法では、正当事由は、貸主・借主が土地・建物の使用を必要とする事情、賃貸借に関する従前の経緯、土地・建物の利用状況、立退料の提供などを考慮して判断するとしている。

このように、正当事由がないと土地・建物の賃貸借を終了することができないという規定は、借地や貸家の供給を妨げかねないという意見も強く、一定の要件に該当する場合には、契約の更新を認めないという特約を結ぶことも可能とするよう法律が改正された(土地については1992(平成4)年8月、建物については2000(平成12)年3月から施行)。そのような特約付きの賃借権が、定期借地・借家権等である。

成年後見制度

精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)によって判断能力が不十分な成年について、その行為を支援するための制度。

成年後見制度には、(1)家庭裁判所が選任する成年後見人・成年保佐人・成年補助人が、本人を法律的に支援する「法定後見制度」と、(2)あらかじめ後見人となる者や将来委任する事務の内容を定める契約(任意後見契約)を締結し、本人の判断能力が不十分になった後にその後見人が定められた事務を本人に代わって行なう「任意後見制度」がある。

法定後見制度による支援は、障害の程度に応じて次の3種類がある。

(1)後見:判断能力が欠けているのが通常の状態の者を対象に、成年後見人が財産管理に関するすべての法律行為を代理し、成年被後見人の法律行為は日常生活に関する行為を除き取り消すことのできる制度

(2)保佐:判断能力が著しく不十分な者を対象に、一定の行為(借財、不動産等の権利の得喪、新築改築など)について成年保佐人の同意を必要とし、同意のない成年被保佐人の行為を取り消すことのできる制度

(3)補助:判断能力が不十分な者を対象に、家庭裁判所が定める特定の法律行為について成年補助人の同意を必要とし、同意のない成年被補助人の行為を取り消すことのできる制度

不動産の取引は、成年後見人が代理し、または成年保佐人の同意が必要な行為とされている。成年補助人の同意が必要な行為に定められる場合も多い。また、成年後見人が代理して、成年被後見人が居住の用に供する建物敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除等の処分をするときには、家庭裁判所の許可が必要である。

なお、法定後見制度による後見、保佐、補助や、任意後見契約については、その内容を登記することができる。

高齢化の進展やニーズの多様化などの課題があり、見直しに向けた検討が行なわれている。

成年後見人

成年被後見人を保護・支援するために、家庭裁判所が職権で選任する後見人のこと(民法第843条)。成年後見人は、成年被後見人の財産を管理し、法律行為について成年被後見人を代理する権限を持つ(民法第859条)。

成年後見人は、成年後見制度によって成年被後見人に付される法的な機関で、成年被後見人を代表して行なう行為は広範である。ただし、成年被後見人が居住の用に供する建物敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除等の処分を代理するときには、家庭裁判所の許可が必要である(民法第859条の3)。

 

成年被後見人

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる(民法第7条)。

後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する(民法第8条)。

家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する(民法第843条)。

こうした手続きにより後見人を付けられた者のことを「成年被後見人」と呼ぶ。

また、成年被後見人に付けられる後見人は「成年後見人」と呼ばれる。この「成年被後見人」の制度は、2000(平成12)年の民法改正によって創設されたもので、それ以前は「禁治産者」という名称であった。

成年被後見人は法律行為を有効に行なうことができないものとされているので、どんな法律行為でも原則的に後で取り消すことが可能である(ただし日用品の購入などは有効に自分で行なうことができる)(民法第9条)。

従って、成年被後見人との契約を行なうには、その成年後見人を代理人として契約を行なうべきである(民法第859条)。

セットバック

1. 建物の上部を下部よりも後退させること。

2. 2項道路建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に面する土地では、次の1)または2)の範囲に建物建築することができない。

1)その道路の中心線から水平距離2mの範囲
2)その道路の片側が崖地、川、線路等である場合には、その崖地等の側の道路境界線から水平距離4mの範囲

つまり、2項道路はその幅が4m未満であり、そのままでは防火等の面で十分な道の幅を確保することができないので、2項道路を含めて4mの範囲内には、建築物や塀などを造ることを禁止し、4mの空間を確保しようという趣旨である。

その結果、2項道路に面する土地では、自分の土地でありながら、一定の部分には建築をすることができないこととなる。これを不動産業界ではセットバックと呼んでいる(セットバックとは英語で「後退」という意味である)。

このセットバックについて次の点に注意が必要である。

a)セットバックしなければならない部分には、建築物を建築できないのみでなく、門や塀や擁壁を建築することもできない。
b)セットバックしなければならない部分は、容積率建ぺい率を算出する場合には、敷地面積から除外される。

例えば、幅2mの2項道路(片方が崖地等ではない)に面していて、道路に接する長さが10m、奥行が10mの正方形の土地があるとしよう。
この土地の本来の面積は100平方メートルである。セットバック部分の面積は1m×10mなので、10平方メートルである。よって、この土地の建築可能部分の面積は90平方メートルである。
この土地の容積率が80%であるとすると、この土地に建築できる建物の延べ床面積は、最大で90平方メートル×80%により、72平方メートルとなる。

接道義務

建築基準法第43条の規定によれば、建築物敷地は原則として、建築基準法上の道路と2m以上の長さで接しなければならない。これは消防活動などに支障をきたすことがないように定められたものである。この義務のことを「接道義務」と呼んでいる。
(なお建築基準法第43条では、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物等については、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したものについては、接道義務を免除することができるとも定めている)

また、多数の人が出入りするような特殊建築物(学校・ホテルなど)や大規模建築物(3階建て以上の建築物など)については、防火の必要性が特に高い等の理由により、地方自治体の条例(建築安全条例)において、より重い接道義務を設けていることが多いので注意したい。

専属専任媒介契約

宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)のうち、専任媒介契約であって、かつ依頼者は、依頼した宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買等の契約を締結することができない旨の特約が付いた契約をいう。

つまり、依頼者は取引の相手方を自分で発見しても、媒介を依頼した宅地建物取引業者の媒介なしには契約できないことになる。

専属専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、5日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている。

専任媒介契約

宅地または建物の売買または交換の媒介の契約(媒介契約)であって、媒介の依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買または交換の媒介または代理を依頼することを禁ずる媒介契約をいう。

この契約の有効期間は、3月を超えることができないとされている(契約期間の更新は可能)。

専任媒介契約を締結した場合には、宅地建物取引業者は、契約の相手方を探索するため、7日以内に、媒介の目的物に関する事項を指定流通機構に登録しなければならないとされている。

占有権

占有権とは、自己のためにする意思を持って物を所持することによって取得する権利のことである(民法第180条)。

土地の所有者は、その土地を所持しているので、占有権を有している。また土地の賃借人は、その土地を使用する権限があるので、やはり占有権を有している。

そうすると占有権という権利を考えなくても、所有権や土地賃借権だけに着目すればよいようにも考えられるが、あえて占有権という権利を想定するにはそれなりの理由がある。

例えば、ある人が土地を現実に支配し利用しているが、他の人がその土地の真実の所有者であると主張したような場合には、土地を現実に支配している人はまったくの無権利者である可能性があることになる。
こうした場合には、法律上、現実に支配している人をとりあえず保護することが必要となるので、現実に支配している人に「占有権」という権利があると考えるのである。

もちろん、民事裁判によって土地を現実に支配している人が無権利者であることが確定すれば、占有権は最終的には失われることになるが、裁判が確定するまでの間は占有権によって事実状態が保護されることになるのである。

なお、真実の権利者が長期間にわたって権利を主張せず、無権利者の占有状態が長期間継続した場合には、無権利者が土地の所有権を取得することが認められている。この制度を「所有権の取得時効」という。

専有部分

分譲マンションなどの区分所有建物において、それぞれの区分所有者が単独で所有している建物の部分のことを「専有部分」と呼ぶ(区分所有法第1条・第2条)。

分譲マンションの場合でいえば、各住戸の内部が「専有部分」に該当する。

この反対に、区分所有建物において区分所有者が全員で共有している部分(例えば廊下・階段・バルコニーなど)は「共用部分」と呼ばれる。

専用使用権

区分所有建物における共用部分は、本来、各区分所有者が、通常の用法に従ってそれぞれ自由に使用することができる。敷地についても同様である。
しかし、次のいずれかの場合には、共用部分や敷地の使用を、特定の区分所有者または第三者だけに限定することが可能とされている。

1.管理規約にその旨の定めがあるとき
2.集会の決議があるとき
3.共有者全員の同意があるとき

このようにして、特定の区分所有者または第三者が、共用部分や敷地を排他的に使用できるとき、その使用の権利を「専用使用権」と呼ぶ。

具体的には、分譲マンションの1階の住戸に専用庭を設けるケースなどで、専用使用権が設定されることが多い。

絶対高さの制限

第一種第二種低層住居専用地域では、住環境を良くするために、建築物の高さが10mまたは12m以下に制限されている。これを「絶対高さの制限」と呼んでいる(建築基準法第55条)。

この絶対高さの制限が「10m以下」と「12m以下」とのどちらになるかは、都市計画で規定される。

なお、この絶対高さの制限には例外がある。建築審査会が同意して特定行政庁が許可した場合には、絶対高さの制限を上回る高さの建築物を建築することができる。

善管注意義務

取引上において一般的・客観的に要求される程度の注意をしなければならないという注意義務のこと。

すべての取引においてこの注意義務が要求されるものではなく、この注意義務が要求される取引の種類は限られている。

1.善管注意義務の意味
善管注意義務とは、正確には「善良な管理者の注意義務」のことであり、民法第400条の条文に由来する。
民法第400条では、特定物(中古車・美術品・建物のようにその物の個性に着目して取引される物のこと)の引渡しの義務を負う者は、その引渡しが完了するまでは、その特定物を「善良な管理者の注意」をもって保存しなければならない、と定めている。
この民法第400条の趣旨は、例えば美術品の売買契約が成立した場合に、契約成立後から美術品の引渡しまでの期間においては、美術品の売主は、一般的・客観的に要求される程度の注意義務(すなわち善管注意義務)をもって保管しておかなければならない、ということである。

従って、契約成立後から美術品の引渡しまでの期間に、何らかの事情で美術品が破損したとすると、売主が一般的・客観的に要求される程度の注意義務(善管注意義務)を果たしていたかどうかが問題となる。善管注意義務を果たしていたのであれば、売主には過失がないことになるので、売主には債務不履行責任(民法第415条の責任)は発生しないことになり、破損による損失は危険負担(民法第536条第1項)として処理されることになる。
このように善管注意義務は、その義務を果たしていれば、債務者が責任を回避できるという点に実益がある。

2.善管注意義務が要求される場面
民法第400条では、特定物の引渡し前に善管注意義務が要求されると規定するが、これ以外にもさまざまな民法の条文で善管注意義務が要求されている。
具体的には、「留置権にもとづいて物を占有する者(民法第298条第1項)」「質権にもとづいて物を占有する者(民法第350条)」「委任契約の受任者(民法第644条)」などである。

3.善管注意義務よりも軽い注意義務
民法では、善管注意義務よりも軽い注意義務を要求する場合がいくつかある。
例えば、無報酬で物の保管を引き受けた者(受寄者という)は、その物の保管について「自己の財産に対するのと同一の注意」をなす義務を負う(民法第659条)。
また、親権者は子の財産を管理するにあたっては、「自己のためにするのと同一の注意」をなす義務を負う(民法第827条)。
このように「自己の財産に対するのと同一の注意をなす義務」「自己のためにするのと同一の注意をなす義務」と表現するのは、いずれも注意義務の程度が「善管注意義務」に比べて軽いということを意味している。

従って、例えば無報酬の受寄者が保管していた物を、その受寄者の不注意によって破損した場合には、受寄者の注意義務は軽いので、重大な不注意(すなわち重過失)があるときだけ、受寄者は損害賠償責任を負う。逆に、軽い不注意(すなわち軽過失)であるならば、受寄者は損害賠償責任を負わない。

全部事項証明書

不動産登記簿に記載されている総ての内容を表示し、それが真正であることを証明する書面。登記簿が登記用紙によって調整されていたときの登記簿謄本と同じである。誰でも登記所に申請して交付を受けることができる(オンラインで申請することも可能)。

全部事項証明書には過去の履歴(所有権の移転、抵当権の設定・抹消など)も含めた記載内容が総て表示されている。

なお、登記簿の記載内容を表示する書面には、全部事項証明書のほか、現在有効である内容のみを表示し証明する「現在事項証明書」、内容の表示のみで証明を欠く「登記事項要約書」などがある。

相殺

2人の者が互いに相手に対して同種の債権を持っているとき、相手方への意思表示によってその債務を対当額で消滅させることをいう。

一方の財産状態が悪化した場合に、相殺の意思表示によって確実に債権を回収できる(自らの債務の範囲ではあるが)から、債権担保の機能も果たすとされる。

相殺ができるのは、1.同種の債権が債権者・債務者の間に相対立して存在し、2.双方の債権がともに弁済期にある(実際には、相殺しようとする者がその債務について期限の利益を放棄すれば、債権と弁済期を同じにできる)状態にある場合で、そのような状態にあることを「相殺適状」という。意思表示をすれば、双方の債務は相殺適状の時に遡って対当額で消滅する。

ただし、相殺禁止の特約があるときなど一定の場合には、相殺が許されない。

相続

死者の有した財産上の一切の権利義務を、特定の者が包括的に承継することをいう。

相続は、死亡のみによって、意思表示を要せず一方的に開始される。ただし、遺言により相続の財産処分について生前に意思を明らかにし、相続に反映させることができるが、この場合には、遺留分の制約がある。

財産の継承者(相続人)は、1.子・直系尊属・兄弟姉妹がこの順で先順位の者が(同順位者が複数あるときには共同して均等に)、2.配偶者は1.の者と同順位で常に、その地位を得る。子・兄弟姉妹の相続開始前の死亡や相続欠格等の場合には、その者の子が代わって相続人となる(代襲相続)。
また、相続人は、相続の開始を知ったときから3ヵ月以内に、相続の承認、限定承認、相続放棄のいずれかの意思表示が必要である(意思表示がないときには相続の承認とみなされる)。

遺言の指定がないときの相続分(法定相続分)は、1)配偶者と子のときには、配偶者2分の1、子2分の1、2)配偶者と直系尊属のときには、配偶者3分の2、直系尊属3分の1、3)配偶者と兄弟姉妹のときは、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1である。

なお、法定相続分は遺言がない場合の共同相続人の権利義務継承の割合を定めたもので、遺産分割は相続人の協議等によってこれと異なる割合で行なうことができる。

相続時精算課税制度

贈与税の納税方法で、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与税と相続財産に課す相続税とを通算する制度をいう。贈与税の算定は暦年ごとに行なうのが通例であるが(暦年課税)、その特例である。

相続時精算課税制度の適用を受けるためには、親族関係や年齢に関する一定の要件を満たすこと、同制度を選択する旨申告することが必要である。

贈与税額は、暦年課税では累進的な税率によって算定されるが、相続時精算課税制度を選択すると一律の税率で課税される。また、贈与税と相続税の精算は、相続時に、生前に贈与された財産の価額と相続財産の価額とを合計し、それを基に計算した相続税額から既に納めた贈与税相当額を控除する方法によって行なう(超過分は還付される)。これによって、生前贈与による資産移転が促進されると考えられている。

相続登記

相続の発生に伴って、土地建物の権利者(または権利の割合)が変わった場合に、その権利の変更を登記することを「相続登記」という。

相続登記をするには、法定相続分のままで登記する場合と、遺産分割協議で決定した内容に基づいて登記する場合がある。また、有効な遺言書が存在すれば、遺言書に従って相続登記することになる。

法定相続分のままで相続登記をし、その後に遺産分割協議が成立した場合は、その協議の決定内容に基づいて再度、相続登記を申請することになる。

なお、不動産登記法の改正によって、相続登記が義務化された(2024年4月1日施行)。この場合、正式の申請に代わって、相続した旨のみを申し出ることで申請義務を履行したものとみなす仕組み(相続人申告登記)も創設されている(「相続登記の義務化」参照)。

相続登記の義務化

相続遺贈により不動産を取得した相続人に対して、相続登記の申請を義務付ける措置。不動産登記法の改正によって義務化された(2024年4月1日施行)。

相続登記を申請しなければならないのは、相続(特定財産承継遺言を含む)や遺贈により不動産を取得した相続人で、申請は、所有権を取得したことを知った日から3年以内にしなければならない。この場合、遺産分割が成立した場合にはその内容を踏まえて申請するが、成立していない場合には法定相続分で申請してかまわない。

また、相続登記の義務化と同時に、正式の申請に代わって、相続した旨のみを申し出ることで申請義務を履行したものとみなす仕組み(相続人申告登記)が創設された。

相続人申告登記は、i)所有権の登記名義人について相続が開始した旨、ii)自らがその相続人である旨を、申請義務の履行期間内(3年以内)に登記官に対して申し出るだけで成立する。相続人が複数存在する場合でも特定の相続人が単独で申し出ることができ、法定相続人の範囲及び法定相続分の割合が確定していなくても構わないとされている。この場合、遺産分割が成立したら、成立日から3年以内にその内容を踏まえた相続登記の申請を行なうこととなる。

相続土地国庫帰属制度

相続または遺贈によって土地の所有権または共有持分を取得した者等が、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度。所有者不明土地の発生を抑制するための制度で、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(2023年4月27日施行)に基づく仕組みである。

国庫へ帰属させるためには、申請によって法務大臣の承認を得る必要がある。申請できるのは、相続または相続人に対する遺贈により土地の所有権または共有持分を取得した者で、共有土地については共有者の全員が共同して申請しなければならない。

国庫への帰属を申請する土地は、建物が存在する土地、担保権または使用収益を目的とする権利が設定されている土地、境界が明らかでない土地などであってはならない。また、崖があって管理に過分の費用・労力を要する土地、通常の管理処分を阻害する工作物等がある土地など一定の土地については、帰属を承認されない。

承認を受けた者は、10年分の土地管理費相当額(土地の性質に応じた標準的な管理費用を考慮して算出した額)の負担金を納付しなければならない。

双方代理

同一人が契約当事者双方のそれぞれの代理人となって代理行為をすること。双方代理は原則として禁止されているが、これに反した代理行為が無効となるわけではなく、無権代理として扱われ、当事者本人が追認すれば有効となる。

例えば、Bが売主Aと買主Cのそれぞれの代理人となって売買契約を成立させることは双方代理に当たる。また、この場合に、AまたはCがB自身である場合を自己契約といい、双方代理と同様に禁止されている。

なお、不動産の売買・賃貸借の契約を媒介する行為は、代理行為ではないとされているので、双方の当事者から同一人が媒介の依頼を受けても双方代理とはならない(もっとも、双方に同時に信義誠実を尽くすのは容易ではないであろう)。

底地

借地権等の地上権が設定されている土地をいう。

そのような土地の所有権底地権と呼ぶ。

底地の価格は、更地価格と地上権の価格との差であるが、理論上は、地代純収益を資本還元した価額が底地価格と等しくなる。更地価格に占める底地価格の割合は、土地の用途や地区の環境等によって異なるが、一般に、商業地よりも住宅地のほうが高いとされている。

また、借地権等の譲渡の際に、底地権を合わせて譲渡することを「底付き」、借地権等のみを譲渡することを「底なし」と呼ぶ。

損害賠償額の予定

不動産売買契約において、当事者の一方が債務を履行しない場合に備えて、あらかじめ損害賠償の金額を取り決めておくことがある。このような予定された賠償金額のことを「損害賠償額の予定」と呼ぶ。

「損害賠償額の予定」を契約に盛り込むことにより、売買契約の当事者は、将来に債務の不履行が発生した場合には、実際の損害額を立証しなくとも、所定の金額の損害賠償を請求できるというメリットがある。

また、実際の損害額が、予定された賠償額よりも少ない場合であっても、債務を履行しない債務者には予定された賠償額を支払う責任が生ずるので、債務者にとっては過剰な支払いとなる可能性がある。

このように「損害賠償額の予定」に関する契約条項は、当事者の一方に不利なものとなる可能性があるので、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者売主となる宅地建物の売買契約においては、「損害賠償額の予定」と「違約金」との合計額が売買代金の2割を超えてはならないと定めている(宅地建物取引業法第38条)。

この宅地建物取引業法第38条により、売買取引に精通していない一般の買主が不利にならないように保護しているのである。ただし宅地建物取引業者同士の売買取引については、この宅地建物取引業法第38条は適用されない。

損害賠償額の予定等の制限

宅地建物取引業者売主となる宅地建物の売買契約では、契約の解除に伴う損害賠償額の予定違約金を定めるときは、その合計が売買代金の額の10分の2を超えてはならないという制限のこと(宅地建物取引業法第38条) 。

損害賠償額の予定とは、あらかじめ契約で損害賠償額を予定しておけば、債務不履行が発生した場合に、損害を受けた側は煩雑な損害額の証明をする必要がなくなるので、損害を受けた側の権利行使が容易になるという制度である(民法第420条第1項)。

また違約金とは、債務不履行が発生した場合に、義務を履行しなかった者が支払うことを約束した金銭のこと。この違約金は懲罰としての性格を持つだけでなく、相手方の損害に対する損害賠償としての性格を持つ場合もあるので、違約金と損害賠償額の予定との区別は実際上難しい。そこで、民法第420条第3項では「違約金は賠償額の予定と推定する」旨を定めている。

しかし、このような損害賠償額の予定や違約金は、大変高額になることもあり、取引に精通していない一般消費者はこれらによって不測の損害を被る場合が考えられる。そこで、宅地建物取引業法第38条では、宅地建物取引業者が売主で、宅地建物取引業者以外の者が買主である場合には、不当に過酷な損害賠償額の予定または違約金を課すことを禁止している。具体的には、損害賠償額の予定と違約金の合計額は最大でも代金の2割以内とした。

また同じく第38条第2項では、「前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二を超える部分について、無効とする」と定めており、代金の2割を超える損害賠償額の予定と違約金の合計額が代金の2割を超えるような契約は、自動的に代金の2割にまで縮減されると定めている(この場合も契約そのものは有効なまま維持される)。

なお、この第38条は一般消費者保護の規定であるので、宅地建物取引業者が売主で、宅地建物取引業者以外の者が買主である場合にのみ適用される。

造作買取請求権

借家契約の終了の際、賃借人(借家人)が賃貸人(家主)の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作を家主に時価で買い取らせることのできる権利をいう(借地借家法第33条)。

造作とは、畳、建具、電気・水道施設などをいい、その付加について家主の同意を得ていることが必要である。

また、ここでいう「借家契約の終了」とは、賃貸借が期間の満了又は解約の申し入れにより終了することをいう。

民法の原則では、賃貸借契約の終了時には賃借人が付加した造作を収去しなければならないとされている(民法第545条第1項)が、造作買取請求権は、借家契約における例外規定であり、利用価値を向上させるとともに、収去に費用が発生する場合などに、賃貸人が買い受けることで造作の価値や利便性を維持するという社会経済上の利点がある。ただし、造作の買取り義務を負わないよう賃貸借契約において事前に特約を結ぶことが可能(同条は任意規定)であり、退去時のトラブル回避のために原状回復を旨とし、賃借人の造作買取請求権の放棄を定めている場合も多い。

造成宅地防災区域

造成された一団の宅地のうち、地震等によって地盤の滑動などの災害が発生する恐れが大きいとして指定される区域をいう。

その指定要件、手続きなどは、宅地造成等規制法で定められている。

造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、災害防止のための擁壁等を設置するなどの責務を負うほか、都道府県知事等が、所有者等に対して、災害の防止のため必要な措置を講じるよう勧告や改善命令を行なうことがある。

なお、宅地建物取引業務における重要事項説明に際しては、取引する宅地建物が造成宅地防災区域にあるときには、その旨を説明しなければならない。

た行

耐火建築物

建築基準法において、その主要構造部(壁、柱、床、屋根、階段)が耐火性能を満たし、かつ、延焼の恐れのある開口部(窓やドア)に防火戸など火災を遮る設備を有する建築物をいう。

この場合に、耐火性能を満たすというのは、

1.主要構造部が耐火構造であること

2.屋内で発生する火災、および周囲で発生する火災による火熱に、当該火熱が終了するまで耐えることができるとする技術基準で定める性能(構造耐力、上昇温度などに関する一定の要件)に適合すること

である。

一定の特殊建築物や、都市計画で定められた防火地域内の一定の建築物は、耐火建築物としなければならない。

退去費用

賃貸住宅から退去する時に、借主が貸主に支払う費用。

賃借人は、民法の規定によって、賃貸借が終了したときには、賃借物の使用によって生じた損傷(通常の使用収益によって生じた損耗及び経年変化を除く)を原状に復する義務(原状回復義務)を負うが、退去費用はその義務を履行するために支払う金銭である。

従って退去費用は、原状回復費用と同じで、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧するための費用」(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」)である。

また、賃借するときに敷金を預けている場合は、原則として敷金を退去費用に充当し、差額が返還・徴収される。

耐用年数

建物、機械、器具などが使用に耐えることのできる年数。材料や構造だけでなく、管理の状態によっても異なる。

また、財務会計においては、減価償却費の算定基準として耐用年数が定められている。これを「法定耐用年数」といい、たとえば住宅用建物の法定耐用年数は、木造が22年、鉄筋コンクリート造鉄骨鉄筋コンクリート造が47年、軽量鉄骨造(骨格材肉厚3mm超4mm以下)が27年などとされている。

実際の耐用年数と法定耐用年数とは異なるので、用語の扱いに注意しなければならない。

高さ制限

建物の高さの限度をいう。

いくつかの種類があるが、大きくは、建物全体の高さの制限と、相隣関係などによる斜めの線による制限(斜線制限)に分かれる。

建物全体の高さの制限には、都市計画で定められた、1.低層住居専用地域における高さの限度、2.高度地区における高さの最高限度または最低限度がある。

斜線制限には、1.道路高さ制限、2.隣地高さ制限、3.北側高さ制限、4.日影規制がある。詳しくは「斜線制限」参照。

その適用の有無や具体的な数値などは、用途地域等に応じて異なるため、個々の都市計画等に照らして確認しなければならない。

宅地

宅地建物取引業法では、宅地の定義を次のように定めている(宅地建物取引業法第2条第1号、施行令第1条)。

1.用途地域内の土地について
都市計画法で定める13種類の用途地域内に存在する土地は、どのような目的で取引する場合であろうと、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば用途地域内に存在する農地を、農地として利用する目的で売却する場合であっても、宅地建物取引業法では「宅地」として取り扱う。

2.用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地について
用途地域内の土地のうちで、5種類の公共施設の用に供されている土地については、「宅地」から除外する。具体的には、道路・公園・河川・広場・水路という5種類の公共施設の用地は「宅地」から除外される(ただし下記の補足1を参照のこと)。

3.建物敷地に供する目的で取引の対象とされた土地について
建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地は、土地の原状の用途に関係なく、すべて宅地建物取引業法上の「宅地」である。
従って、例えば土地登記簿上の地目が「田」「畑」「池沼」「山林」「原野」である土地であっても、その土地を、建物の敷地に供する目的で取引するならば、宅地建物取引業法上はすべて「宅地」として取り扱われる。
これについては、土地の所在がどこであろうと適用される判断基準である。従って、都市計画区域外の山林や原野を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、その山林や原野は「宅地」として取り扱われる。

(補足1)用途地域内の道路・公園・河川・広場・水路の用地を、建物の敷地に供する目的で取引の対象とする場合について:
例えば、用途地域内の道路用地である土地を、建物の敷地に供する目的で取引する場合には、上記3.の基準が適用される。従って、この場合は、用途地域内の道路用地が、宅地建物取引業法上の「宅地」に該当することになる。

宅地造成工事規制区域

宅地造成に伴い災害が生ずる恐れの著しい区域として、都道府県知事が指定した区域。

2022年に改正される前の「宅地造成等規制法」に基づく制度で、改正後の「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」によって、「宅地造成等工事規制区域」に移行した。

区域内で一定の宅地造成工事に着手する前には許可が必要なことは改正前と同じである。また、区域指定の基準なども、おおむね従前どおりである(詳細は「宅地造成等工事規制区域」を参照)。

宅地建物取引業

宅地建物取引業とは「宅地建物の取引」を「業として行なう」ことである(法第2条第2号)。
ここで「宅地建物の取引」と「業として行なう」とは具体的には次の意味である。

1.「宅地建物の取引」とは次の1)および2)を指している。
1)宅地建物の売買・交換
2)宅地建物の売買・交換・貸借の媒介代理

上記1.の1)では「宅地建物の貸借」が除外されている。このため、自ら貸主として賃貸ビル・賃貸マンション・アパート・土地・駐車場を不特定多数の者に反復継続的に貸す行為は、宅地建物取引業から除外されているので、宅地建物取引業の免許を取得する必要がない。
またここでいう「宅地」とは、宅地建物取引業法上の宅地を指す(詳しくは「宅地(宅地建物取引業法における~)」を参照のこと)。

2.「業として行なう」とは、宅地建物の取引を「社会通念上事業の遂行と見ることができる程度に行なう状態」を指す。具体的な判断基準は宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方の「第2条第2号関係」に記載されているが、主な考え方は次のとおりである。
1)取引の対象者
広く一般の者を対象に取引を行なおうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低い。
2)取引の反復継続性
反復継続的に取引を行なおうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行なおうとするものは事業性が低い。

宅地建物取引業者

宅地建物取引業者とは、宅地建物取引業免許を受けて、宅地建物取引業を営む者のことである(宅地建物取引業法第2条第3号)。

宅地建物取引業者には、法人業者と個人業者がいる。
なお、宅地建物取引業を事実上営んでいる者であっても、宅地建物取引業免許を取得していない場合には、その者は宅地建物取引業者ではない(このような者は一般に「無免許業者」と呼ばれる)。

宅地建物取引業者名簿

宅地建物取引業者に関する一定の事項を登載した名簿のこと。
都道府県知事または国土交通大臣は、下記の1.から8.の事項を登載した宅地建物取引業者名簿を作成しなければならない(宅地建物取引業法第8条)(※末尾参照)。

1.免許証番号・免許を受けた年月日(法第8条第2項第1号)
2.商号または名称(法第8条第2項第2号)
3.事務所の名称と所在地(法第8条第2項第5号)
4.宅地建物取引業者が法人である場合には、その法人の役員の氏名および事務所の代表者の氏名(法第8条第2項第3号)
5.宅地建物取引業者が個人である場合には、その者の氏名および事務所の代表者の氏名(法第8条第2項第4号)
6.事務所に置かれる専任の宅地建物取引士の氏名(法第8条第2項第6号)
7.宅地建物取引業以外の事業を営んでいるときは、その事業の種類(施行規則第5条第2号)
8.過去に指示処分(法第65条第1項、第3項)または業務停止処分(法第65条第2項、第4項)を受けた場合には、その内容および処分の年月日(施行規則第5条第1号)

上記2.から7.までは免許申請書の記載事項(法第4条第1項)と同じである。
また上記2.から6.に関して変更があったときは、宅地建物取引業者は免許権者である知事または大臣に対して、宅地建物取引業者名簿の登載事項の変更の届出(法第9条)を行なう必要がある。

※宅地建物取引業者が、不動産投資信託等に関して取引一任代理等の認可を国土交通大臣から得ている場合にはその旨も宅地建物取引業者名簿登載される(法第50条の2、法第8条第2項第7号)。
大臣と知事では、宅地建物取引業者名簿を作成する範囲が異なっている。
国土交通大臣は、国土交通大臣が免許を与えた宅地建物取引業者の名簿のみを作成する。
各都道府県知事は、その都道府県知事が免許を与えた宅地建物取引業者の名簿と、その都道府県内に本店を置く国土交通大臣が免許を与えた宅地建物取引業者の名簿を作成する(法第8条第2項本文)。

宅地建物取引業法

宅地建物取引の営業に関して、免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を定めた法律。1952年に制定された。

この法律に定められている主な内容は、宅地建物取引を営業する者に対する免許制度のほか、宅地建物取引士制度、営業保証金制度、業務を実施する場合の禁止・遵守事項などである。これによって、宅地建物取引業務の適正な運営、宅地および建物の取引の公正の確保および宅地建物取引業の健全な発達の促進を図ることとされている。

宅地建物取引業保証協会

宅地建物取引業により生じた債権の弁済(弁済業務)、債務連帯保証(一般保証業務)、苦情の解決、研修などを行なう社団法人(現在は、公益社団法人または一般社団法人)で、国土交通大臣の指定したものをいう。

その社員は、営業保証金の供託を必要としないかわりに、弁済業務保証金分担金(主たる事務所につき60万円、その他の事務所につき事務所ごとに30万円)を納付しなければならない。

現在指定を受けているのは、(公社)全国宅地建物取引業保証協会および(公社)不動産保証協会の2つの団体である。

宅地建物取引士

宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けて、宅地建物取引士証の交付を受けた者のこと。

一定以上の知識・経験を持つ者として公的に認められた者である。宅地建物取引業者は、事務所ごとに従事者5名に対して1名以上の割合で、専任の宅地建物取引士を置かなければならない(詳しくは宅地建物取引士の設置義務へ)。

宅地建物取引において特に重要な次の3つの業務は、宅地建物取引士だけが行なうことができるとされている(宅地建物取引士ではない者はこれらの業務を行なうことができない)。

1.重要事項説明
2.重要事項説明書への記名・押印
3.37条書面への記名・押印

宅地建物取引士となるためには、具体的には次の1)から5)の条件を満たす必要がある。

1)宅地建物取引士資格試験に合格すること
宅地建物取引業に関して必要な知識に関する資格試験である宅地建物取引士資格試験に合格することが必要である。なお、一定の要件を満たす者については宅地建物取引士資格試験の一部免除の制度がある。
2)都道府県知事に登録を申請すること
この場合、宅地建物取引に関して2年以上の実務経験を有しない者であるときは、「登録実務講習」を受講し修了する必要がある。
3)都道府県知事の登録を受けること
登録を受けるには一定の欠格事由に該当しないことが必要である。
4)宅地建物取引士証の交付を申請すること
宅地建物取引士証の交付を申請する日が宅地建物取引士資格試験に合格した日から1年を超えている場合には、都道府県知事の定める「法定講習」を受講する義務がある。
5)宅地建物取引士証の交付を受けること
氏名、住所、生年月日、有効期間の満了する日等が記載されている宅地建物取引士証の交付を受けて初めて正式に宅地建物取引士となる(氏名において旧姓が併記された宅地建物取引士証の交付を受けた日以降は、書面への記名等の業務において旧姓を使用してよいこととされている)。

宅地建物取引士は、宅地建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地建物の流通に資するよう公正誠実に業務を処理するほか、信用・品位を害するような行為をしないこと、必要な知識・能力の維持向上に努めることとされている。

宅地建物取引士証の提示義務

宅地建物取引士は、不動産取引の当事者から請求があったときは、宅地建物取引士証を必ず提示しなければならない。なお個人情報保護の観点から宅地建物取引士証の住所欄にシールを貼ったうえで提示しても差し支えないものとされている(宅地建物取引業法第22条の4)。

また、宅地建物取引士は、不動産取引の当事者に重要事項説明を行なう際には、説明の相手方に対して、宅地建物取引士証を必ず提示しなければならない(宅地建物取引業法第35条)。

宅地建物取引士の設置義務

宅地建物取引業者が、その事務所等に、「成年の専任の宅地建物取引士」を置かなければならないという義務のこと。

1.取引士を置くべき場所と人数
最低設置人数は、その場所の種類で異なることとされており、具体的には次のとおり。

1)「事務所」に設置すべき成年の専任の宅地建物取引士の最低設置人数は、事務所の「業務に従事する者」(以下「従事者」という)の数の5分の1以上である。
例えば、事務所における従事者が11人ならば、その5分の1は2.2人であるので、成年の専任の宅地建物取引士を3人(またはそれ以上)置かなければならない。
なお従事者の範囲については、詳細なガイドラインが設けられている(別項目の「従事者」を参照のこと)。
2)「事務所以外で専任の宅地建物取引士を置くべき場所」に設置すべき成年の専任の宅地建物取引士の最低設置人数は、その場所の従事者の人数に関係なく、1名以上である。

2.置くべき取引士の要件
上述の1.において置くべき宅地建物取引士は「成年」かつ「専任」でなければならないとされている。

ここで「専任」とは、国土交通省宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方によれば、原則として、宅地建物取引業を営む事務所に常勤(宅地建物取引業者の通常の勤務時間を勤務することをいう。ITの活用等により適切な業務ができる体制を確保した上で、宅地建物取引業者の事務所以外において通常の勤務時間を勤務する場合を含む)して、専ら宅地建物取引業に従事する状態をいうと解説されている。
ただし、当該事務所が宅地建物取引業以外の業種を兼業している場合等で、当該事務所において一時的に宅地建物取引業の業務が行なわれていない間に他の業種に係る業務に従事することは差し支えないものと解説されている。

また、「成年」とは満18歳に達したことをいう(詳しくは別項目の「成年」へ)。

3.置くべき取引士の要件に関する特例措置
役員(個人業者の場合には業者本人)が、宅地建物取引士であるときは、その者が「成年の専任の宅地建物取引士」とみなされるという特例措置が設けられている。


なお、ここでいう「役員」とは、取締役よりも広い範囲を指している。具体的には「役員とは、業務を執行する社員、取締役、執行役、またはこれらに準ずる者」とされている。ちなみに監査役はここでいう「役員」から除外されている。

4.設置義務違反の是正措置
上述の1.の最低設置人数に違反する状態になった場合には、宅地建物取引業者は早急に是正しなければならない。
具体的には、既存の事務所等がこの成年の専任取引士の設置義務に違反する状態となったときは、2週間以内に設置義務を満たす必要があるとされている。

宅建免許

宅地建物取引業を営もうとする者は、都道府県知事または国土交通大臣に宅地建物取引業の免許を申請し、免許を受けることが必要である(宅地建物取引業法第3条)。

不正の手段で宅地建物取引業の免許を受けた者や、無免許で宅地建物取引業を営んだ者には、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金という罰則が予定されている(法第79条第1号、第2号)(詳しくは無免許営業等の禁止へ)。

免許を受けるには、宅地建物取引業を営もうとする者(個人または法人)が、一定の不適格な事情(欠格事由)に該当しないことが要件とされている(法第5条第1項)。
この免許の欠格事由は、法律により詳細に規定されている(詳しくは免許の基準へ)。

また、宅地建物取引業の免許を受けるには、免許申請書および免許申請書の添付書類を都道府県知事または国土交通大臣に提出する必要があり、その記載事項等は詳細に法定されている(法第4条第1項、第2項、施行規則第1条の2)。

なお、宅地建物取引業の免許の有効期間は5年とされている(法第3条第2項)。
免許の有効期間の満了後、引き続き宅地建物取引業を営むためには、有効期間満了の日の90日前から30日前の期間内に免許の更新の申請書を提出する必要がある(法第3条第3項、施行規則第3条)。

国土交通大臣への免許申請等については2024(令和6)年5月25日から国土交通省手続業務一貫処理システム(eMLIT)を利用してのオンライン申請の受付が開始されている。

建物滅失登記

建物がなくなった場合に、当該建物に関する登記簿を閉鎖することをいう。

滅失登記は建物所有者等の申請によって行なわれるが、申請は滅失の日から1ヵ月以内にしなければならないとされている。登録免許税は非課税である。

なお、土地の売買や融資に当たって、建物滅失登記の確認を求められることがある。

他人物売買

他人の物を売買すること。民法では、他人の物を売買する契約も有効な契約であるとしている。

本来、他人の物を売買することは当初から不可能であるので、そのような売買契約の効力を無効とするという考え方もあり得る。しかしわが国の民法では、他人物の売買契約であっても、当事者間(売主と買主の間)では有効な契約であることを想定した規定が定められている。

他人物を売買したときには、売主は、権利を取得して買主に移転する義務がある。この義務を果たせない場合には、売主は契約不適合責任を負うこととなる。

この場合、履行の追完は無理であるから、損害賠償請求または契約解除権の行使によって契約不適合責任を追及することとなる

他人物売買の制限

宅地建物取引業者が他人物を売ること(予約を含む)を禁止する定め。宅地建物取引業法に基づく制限である。

ただし、宅地建物取引業者が、売ろうとする他人物を確実に取得する旨の別の契約または予約(効力発生について条件付きのものを除く)を締結しているときには、他人物売買は禁止されていない。また、換地処分の公告以前の「保留地予定地」の売買契約や、第三者のためにする契約によって他人の所有権を直接に買主に移転することを宅地建物取引業者が実質的に支配している場合の売買契約についても、契約締結を禁止する規定は適用されない。

なお、宅地建物取引業者同士の売買については、この制限は適用されない。

短期譲渡所得

税務上の概念で、所有期間が5年以下の土地・建物の譲渡に係る所得のこと、所有期間は譲渡した年の1月1日現在で算定する。

これに対する所得税額は、次のように算出される。
「短期譲渡所得金額=譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)−特別控除」
「税額=短期譲渡所得金額×税率」

税率は、原則として、所得税30%、住民税9%である(2013(平成25)年から2037(令和19)年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付)。ただし、一定の要件を満たす居住用財産の譲渡については3,000万円の特別控除が適用されるなどの特例がある。

担保責任

宅地建物取引業者が自ら売主として土地・建物を売却するときの契約不適合責任の特例をいう。特例は、1)買主が契約不適合責任を追及できる期間を「土地・建物の引渡しの日から2年間」とすることができること、2)宅地建物取引業者が自ら売主として土地・建物を売却するときには、契約不適合を担保する責任の内容について民法の規定よりも買主に不利となるような特約をすることはできないこと(1の場合を除く)、である。

なお、新築住宅の売買契約については、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて、売主の担保責任について特別の定めがある。この特別の定めは、宅地建物取引業法による担保責任に優先して適用される。詳しくは「売主の瑕疵担保責任(品確法における~)」を参照。

担保物権

債権を保全するために設定される物権のこと。担保物権は約定担保物権と法定担保物権に分類することができる。

約定担保物権は、債務者の信用を創出するために、当事者の合意によって設定される担保物権であり、抵当権質権がある。
法定担保物権は、政策的な必要性から、一定の事情がある場合に法律上当然に成立する担保物権であり、先取特権留置権がある。

またこのほかに、民法第二編には規定されていない約定担保物権があり、変則担保と呼ばれている。具体的には、譲渡担保仮登記担保買戻再売買の予約所有権留保である。

第一種住居地域

都市計画法(第9条)で「住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%、60%または80%である。
また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(3,000平方メートル以下のものに限る)
4.事務所(3,000平方メートル以下のものに限る)
5.危険や環境悪化の恐れが非常に少ない作業場面積が50平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館(3,000平方メートル以下のものに限る)、
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場等(3,000平方メートル以下のものに限る)
8.自動車教習所(3,000平方メートル以下のものに限る) など

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の店舗
2.上記に挙げたもの以外の事務所
3.上記に挙げたもの以外の工場
4.上記に挙げたもの以外のホテル・旅館
5.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
6.上記に挙げたもの以外の自動車教習所
7.倉庫業の倉庫

第一種中高層住居専用地域

都市計画法(第9条)で「中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で用途地域で指定され、容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店、物品販売店舗、飲食店、銀行など)
4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場 など

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の店舗
2.事務所
3.上記に挙げたもの以外の工場
4.ホテル・旅館
5.遊戯施設・風俗施設
6.自動車教習所
7.倉庫業の倉庫 など

第一種低層住居専用地域

都市計画法(第9条)で「低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」と言う。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホームなど

(建築できないもの)
1.大学、専修学校、病院
2.店舗
3.事務所
4.工場
5.ホテル・旅館
6.遊戯施設・風俗施設
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫など

代位弁済

債務を債務者以外の者が弁済し、その弁済者が債務者に対して求償権を取得する場合の弁済をいう。

債権者からみれば債務者に代わる者(代位する者)から弁済を受けることになり、債権者の求償権は弁済者に移るのである。

代位弁済には大きく2つ場合がある。
一つは、保証人、連帯債務者、抵当不動産の第三取得者など、弁済について正当な利益を持つ者による弁済で、この場合は弁済によって当然に求償権が移転する(法定代位)。

もう一つは、利害関係のない第三者が弁済する場合で、この場合にはその代位について債権者の承諾が必要である(任意代位)。

大規模建築物

建築基準法第6条第1項第2号と3号に定める一定の大規模な建築物のことを「大規模建築物」と呼んでいる。

具体的には次の2種類がある。

1.木造の建築物で次の要件のどれか一つを満たすもの
1)高さが13mを超える
2)軒高が9mを超える
3)階数が3以上
4)延べ面積が500平方メートルを超える

2.木造以外の建築物で次の要件のどれか一つを満たすもの
1)階数が2以上
2)延べ面積が200平方メートルを超える

例えば鉄骨造の2階建ての建築物であっても、建築基準法の上では「大規模建築物」となるので、注意が必要である。

大規模修繕

分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、計画的に行なわれる修繕であって、多額の費用を要する修繕のことである(これに対して多額の費用を要しない計画的な修繕は「小規模修繕」という)。

具体的には、鉄部塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の修繕工事を指している。

これらの修繕工事を適切に行なうためには、分譲マンションの管理組合が「長期修繕計画」を作成し、修繕積立金を積み立て、大規模修繕を実施することが不可欠である(修繕工事の実施時期・費用等について詳しくは長期修繕計画へ)。

なお、大規模修繕を実施するためには、管理組合の集会で大規模修繕の実施を可決しなければならない。一般に、大規模修繕はマンションの形状や効用の著しい変化を伴わないため、区分所有者数の過半数かつ議決権の過半数の賛成で可決される。

代金減額請求

売買契約の履行において、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合に、買主が売主に対して、代金の減額を請求すること。

代金の減額を請求する権利は、契約不適合を原因とする債務不履行に対する請求権のひとつである。

代金減額請求は、まずは履行の追完を催告し、追完されないときに行なうことができる。もっとも、催告しても追完を受ける見込みがない場合などは、催告なしに減額請求することができるとされる。

代金減額請求をするためには、原則として、不適合を知った時から一年以内に不適合である旨を通知しなければならない。

このルールは、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)によって明確化された。

第三者のためにする契約

当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約する契約をいう。

第三者の権利は、その者が受益の意思表示をしたときに生じることとなる。

第三者のためにする契約は、中間省略登記を合法的に行なうための手法の一つとして利用されている。この場合には、

1.第三者のためにする売買契約(A→B、所有権は直接Cに移転する特約付き)

2.他人物売買契約(B→C、Aの所有権をCに移転)

という2つの契約を締結する。これにより、A→B→Cという譲渡をA→Cと登記することができるとされる。

なお、宅地建物取引業者は、原則として他人物売買契約の締結が禁止されているが、第三者のためにする売買契約が締結されている場合などは例外とされる。

大臣免許

宅地建物取引業者が国土交通大臣から免許を受けていること。

宅地建物取引業を営もうとする者が、2以上の都道府県において事務所を設ける場合には、国土交通大臣から免許を受けることが必要とされている(宅地建物取引業法第3条第1項)。この規定にもとづき、国土交通大臣から免許を受けることを、一般に「大臣免許」または「国土交通大臣免許」と呼んでいる。
 

第二種住居地域

都市計画法(第9条)で「主として住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。

この用途地域では、建ぺい率の限度は原則として50%、60%または80%である。

また容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗等(床面積1万m²以下)
4.事務所等
5.危険や環境悪化の恐れが非常に少ない作業場面積が50平方メートル以下の工場
6.ホテル・旅館
7.ボーリング場・スケート場・ゴルフ練習場・カラオケボックス・パチンコ屋・麻雀屋等(業種によっては床面積1万m²以下)
8.自動車教習所 など

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の工場
2.上記に挙げたもの以外の遊戯施設・風俗施設
3.倉庫業の倉庫 など

第二種中高層住居専用地域

都市計画法(第9条)で「主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は100%から500%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、病院、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る。すべての業種が可能)
4.事務所(2階以下かつ1,500平方メートル以下のものに限る)
5.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場

(建築できないもの)
1.上記に挙げたもの以外の店舗
2.上記に挙げたもの以外の事務所
3.上記に挙げたもの以外の工場
4.ホテル・旅館
5.遊戯施設・風俗施設
6.自動車教習所
7.倉庫業の倉庫

第二種低層住居専用地域

都市計画法(9条)で「主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域」と定義されている。
この用途地域では、建ぺい率の限度は30%から60%の範囲内(10%きざみ)で都市計画で指定され、容積率の限度は50%から200%の範囲内(6種類)で都市計画で指定される。

また良好な住環境を確保するため、建築物の高さが10m(または12m)以下に制限されていることがこの用途地域の大きな特徴である。これを「絶対高さの制限」という。なお制限が10m・12mのいずれになるかは都市計画で定められている。
この用途地域では次のような用途規制が行なわれている。

建築できるもの)
1.住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、図書館
2.幼稚園、小学校、中学校、高校、公衆浴場、老人ホーム
3.店舗(日用品販売店舗、喫茶店、理髪店等のみ)
4.2階以下で作業場の面積が50平方メートル以下のパン屋等の工場

(建築できないもの)
1.大学、専修学校、病院
2.上記に挙げたもの以外の店舗
3.事務所
4.上記に挙げたもの以外の工場
5.ホテル・旅館
6.遊戯施設・風俗施設
7.自動車教習所
8.倉庫業の倉庫 など

諾成契約

当事者の合意の意思表示のみで成立する契約

民法は、基本原則として、契約は締結の申込みに対して相手方が承諾したときに成立する旨を規定し、売買契約、賃貸借契約などほとんど全ての契約について諾成契約としている。

また、契約の成立には、法令による特別の定めがない限り書面の作成などの方式を備える必要はなく、任意の意思表示で足りる。

地域防災計画

地方自治体が策定する防災に関する基本的な計画で、災害対策基本法に基づいて作成されている。

地域防災計画において定める事項は、災害の類型ごとに、予防・事前対策、応急対策、復旧・復興対策として行なうべき事項とその実施責任についてである。

計画においては、災害は次のように類型化されている。
1.自然災害:地震災害、津波災害、風水害、火山災害、雪害
2.事故災害:海上災害、航空災害、鉄道災害、道路災害、原子力災害、危険物等災害、大規模火事災害、林野災害

また、具体的な対策事項は災害の類型ごとに異なるが、例えば地震災害については、地域の実情などに応じて、
1)予防・事前対策:地震の想定、防災啓蒙活動、観測、防災訓練など
2)応急対策:情報の収集連絡、救急援助、消火、交通確保、避難収容、保健衛生、社会秩序の維持、応急復旧など
3)復旧・復興対策:方針決定、原状復旧、被災者支援、被災中小企業復興など
が記述されている。

なお、地域防災計画とは別に、行政機関や公共機関は、災害時にそれぞれの役割を果たすべく防災業務計画を策定している。
災害対策は、防災・救援・復旧・復興の各段階をたどるが、関係者の具体的な行動は、地域防災計画および防災業務計画に沿って実施されることとなる。

地役権

地役権とは、他人の土地を自分の土地の利便性を高めるために利用することができるという権利である(民法第280条)。「通行地役権」などがある。

地価公示

最も代表的な土地評価である地価公示は、地価公示法に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月下旬に公表する土地評価である。

地価公示では全国で選定された2万6,000地点(令和6年)の「標準地」について、毎年1月1日時点を基準日として各標準地につき2名以上の不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、その正常な価格を土地鑑定委員会が判定し、毎年3月下旬に公示する。この公示された価格を「公示地価」という。

地価公示によって評価された公示地価は、一般の土地取引価格の指標となるだけでなく、公共用地の取得価格の算定基準ともなっている。
 

地区計画

都市計画において、それぞれの区域の特性にふさわしい良好な環境の街区を形成するために決定された計画をいう。

1.趣旨
都市計画法では適正な土地利用を実現するために、用途地域特別用途地区をはじめとする多様な地域地区の制度を設けているが、都市化の進展の中で、不良な環境の地区が形成される恐れのあるケース等では、地域地区などの規制だけでは対応できない可能性がある。
そこで、特定の地区について土地利用規制と公共施設整備(道路、公園などの整備)を組み合わせてまちづくりを誘導する制度が必要となった。このような目的のために1980年に創設されたのが、地区計画制度である。

2.地区計画の決定
地区計画は都市計画の一つであるので、都市計画の決定手続により市町村が決定する。
具体的には次の1)または2)に該当する土地の区域について地区計画が定められる。
1)用途地域が定められている土地の区域
2)用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの
ア.市街地の開発などの事業が行なわれる、または行なわれた土地の区域
イ.建築物建築敷地の造成が無秩序に行なわれ、または行なわれると見込まれる土地の区域で、公共施設の整備の状況などから見て不良な街区の環境が形成される恐れがあるもの
ウ.優れた街区の環境が形成されている土地の区域

3.地区計画の内容
地区計画に関する都市計画では、地区計画の種類、名称、位置、区域、面積の他、次の事項を定める。
1)地区計画の目標
2)区域の整備、開発および保全に関する方針
3)地区整備計画(詳しくは4.へ)
4)再開発等促進区(詳しくは下記5.へ)

4.地区整備計画
地区整備計画とは、地区施設(主として街区内の居住者等の利用に供される道路・公園・緑地・広場などの施設のこと)、建築物等の整備、土地の利用に関する計画である。
地区整備計画では道路・公園などの整備、建築物等の用途制限、容積率の制限、建ぺい率の制限、敷地面積の最低限度などを詳細に規定することが可能である。従って、地区整備計画はまちづくりのプランであるということができる。
なお、地区計画に関する都市計画では、地区整備計画を定めることができない特別の事情がある場合には、地区計画の区域の全部または一部について、地区整備計画を定めなくてもよいものとされている。地区計画の区域の一部についてのみ地区整備計画を定める場合は、その一部区域をも都市計画に定める必要がある。

5.再開発等促進区
地区計画の区域の内部において、市街地の再開発等を進める場合には、地区計画に関する都市計画において再開発等促進区を定めることができる。再開発等促進区では特別な事項をも定めるものとされている(詳しくは再開発等促進区へ)。

6.地区計画の区域内における届出制度
地区整備計画が定められている地区計画の区域では、土地の区画形質の変更、建築物の建築を行なう場合には、その行為に着手する日の30日前までに市町村長に届け出なければならない。
また地区整備計画において、用途の制限、建築物等の形態の制限、建築物等の意匠の制限が規定されている場合には、それらを変更する行為も30日前の届出が必要である。

地区整備計画

地区計画の区域において定められる、道路・公園の整備、用途の制限などに関する具体的な計画。

1.趣旨
地区計画は、特定の区域におけるまちづくりを誘導するために市町村が定める計画である(詳しくは地区計画へ)。この地区計画におけるまちづくりの具体的なプランが「地区整備計画」である(都市計画法第12条の5第2項)。

2.地区整備計画の内容
地区整備計画では下記に掲げる事項のうち、必要なものを定める(都市計画法第12条の5第6項、施行令第7条の4、施行令第7条の6、施行令第7条の7)。
1)地区施設(主として街区内の居住者等の利用に供される道路・公園・緑地・広場などの公共空地のこと)の配置および規模
2)用途の制限
3)容積率の最高限度または最低限度
4)建ぺい率の最高限度
5)敷地面積または建築面積の最低限度
6)壁面の位置の制限
7)壁面後退区域(壁面の位置の制限として定められた限度の線と敷地境界線との間の土地の区域のこと)における工作物の設置の制限
8)高さの最高限度または最低限度
9)形態・意匠の制限、垣・柵の構造の制限
10)現に存する草地樹林地等の保全に関する事項

ちなみに、市街化調整区域内の地区整備計画では「容積率の最低限度」「建築面積の最低限度」「高さの最低限度」を定めることはできない。

地上権

工作物又は竹林を所有する目的で、他人の土地を使用する権利のこと(民法第265条)。

土地賃借権と地上権は非常によく似ているが、次のような違いがある。

1.土地賃借権は債権だが、地上権は物権である
2.地上権は、土地所有者の承諾がなくても、他人に譲渡することができる。
3.地上権を設定した土地所有者には登記義務があるので、地上権は土地登記簿に登記されているのが一般的である。

地上権等がある場合等における売主の担保責任

不動産の売買において、引き渡した不動産に、買主が知らない地上権、対抗力のある不動産賃借権、地役権留置権質権が付着していた場合に生じる売主契約不適合責任をいう。

担保責任を負わせるには、買主が、追完請求(付着した権利を消滅させるなどの請求)、代金減額請求損害賠償請求、解除権の行使をしなければならない。

これらの請求等を行なうためは、買主は、原則として契約不適合を知った時から1年以内に不適合である旨を通知しなければならないとしている。ただし、売主が不適合を知っていたときまたは重大な過失によって知らなかったときはその限りではないとされている。

仲介手数料

媒介報酬(仲介報酬)とも。

宅地建物取引業者媒介により、売買・交換・貸借が成立した場合に、宅地建物取引業者が媒介契約にもとづき、依頼者から受け取ることができる報酬のこと(詳しくは報酬額の制限へ)。

仲介手数料

宅地建物取引業者を通して不動産を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする場合に、媒介契約にもとづき、宅地建物取引業者に成功報酬として支払うお金のこと。
媒介手数料(媒介報酬)ともいう。

中間省略登記

不動産所有権が、AからB、BからCへと移転した場合、本来ならば不動産登記簿には「AからBへの所有権移転登記」と「BからCへの所有権移転登記」という2個の移転登記が記載されるべきである。
しかし当事者(A・B・C)が相談のうえ、「AからCへの所有権移転登記」という1個の移転登記のみを申請し、登記するケースがある。このような登記を「中間省略登記」と呼んでいる。

中間省略登記は、権利が移転する実態を反映していない登記ではあるが、少なくとも現在の実態(Cが所有者であるという事実)には合致しているので、すでになされた中間省略登記は、当事者全員の合意があれば、有効であるものと解されている。

また不動産取引の実務上は、後日紛争になった場合に備えて、中間者(先ほどの例でいえば、登記簿上に現れないBを指す)から、中間省略登記をなすことについて異議がない旨の承諾書を徴収しておくのが望ましいといわれている。

中高層共同住宅標準管理委託契約書

マンションの管理委託契約を締結する際の指針となる標準的な契約書の様式をいう。

1982(昭和57)年に、住宅宅地審議会(当時)の答申にもとづき建設省(現国土交通省)が策定した。

その後、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が施行されるなどの情況の変化を踏まえて、2003(平成15)年に大きく改定され、現在は名称を変更して「マンション標準管理委託契約書」として活用されている。

中高層建築物紛争予防条例

中高層建築物の建築について、近隣との紛争を予防し、あるいは紛争を迅速かつ適正に解決するための条例。多数の地方公共団体が制定している。

中高層建築物紛争予防条例は、一定の中高層建築物を建築しようとする場合に適用される。その内容は地方公共団体ごとに異なるが、おおむね、次のとおりである。

(1)建築主は、建築確認申請の前に、建築計画の概要を記載した標識を建築予定地に設置すること

(2)建築主は、要請などに応じて、一定の近隣関係住民に対して建築計画の内容を説明すること

(3)地方公共団体は、建築物紛争が生じたときには、当事者の申出に応じて、紛争解決のためのあっせんまたは調停を行なうこと

なお、建築物紛争は、周辺の生活環境に及ぼす影響を巡って発生するが、その内容は、建築に伴って生じる日照・通風・採光の阻害、風害、電波障害、プライバシーの侵害や、工事中の騒音・振動、工事車両による交通問題など、さまざまである。

注視区域

地価が一定の期間内に相当な程度を超えて上昇し、またはその恐れがある区域において、適正な土地利用の確保に支障を生ずる恐れがあるときは、知事は注視区域を指定することが可能となる(国土利用計画法第27条の3)。

注視区域に指定されると、注視区域が市街化区域である場合には、その注視区域内の2,000平方メートル以上の土地を取引しようとする者は、あらかじめ知事に届出を行なうことが必要となる(国土利用計画法27条の4)。
知事は6週間以内に審査を終え、必要な場合には勧告を行なうことができる。取引をしようとする者がこの勧告に従わないときは、知事はその者の氏名・商号等を公表することができる(国土利用計画法第27条の5)。

注視区域では監視区域よりも土地取引の規制の程度が緩やかであり、注視区域の指定でも効果がない場合について、監視区域への移行が予定されている。

駐車場整備地区

自動車交通の混雑解消のために都市計画で定められる地区。地域地区の一つで、地区内で駐車施設の付置が義務づけられる。「駐車場法」に基づく制度である。

駐車場整備地区は、商業地域、準商業地域などのうち、自動車交通が混雑する地域を対象に指定される。

駐車場整備地区内では、条例の定めに従って、延べ面積2,000平方メートル以上の建築物または事務所等の特定用途に供する一定面積以上の建築物の新増築に当たっては、駐車施設を付置しなければならない。また、駐車場整備地区については駐車場整備計画が策定される。

なお、駐車場整備地区以外の地域においても、条例によって、駐車場整備地区内と同様に、駐車施設の付置義務が課せられる場合がある。

長期修繕計画

分譲マンションの性能を維持し老朽化を防止するために、管理組合が作成する分譲マンションの長期的な修繕計画のことである。

長期修繕計画は、一般的に10年から30年程度の期間を対象として、マンションの各箇所に関する鉄部等塗装工事・外壁塗装工事・屋上防水工事・給水管工事・排水管工事などの各種の大規模修繕をどの時期に、どの程度の費用で実施するかを予定するものである。

1999(平成11)年度の建設省(現・国土交通省)の「マンション総合調査」によると、これらの大規模修繕のうち新築後5~6年で実施率が高まるのが鉄部等塗装工事である。
また新築後9~10年では外壁塗装工事と屋上防水工事の実施率が高まり、給水管工事・排水管工事は新築後15年以降に実施率が上昇する。
ただしマンションの建築・設備の仕様によってこれらの時期は大きく変化する。

長期修繕計画ではこうした大規模修繕の実施時期を定めるだけでなく、その費用についても収支計画を定めるのが望ましい。
大規模修繕の費用は原則として「修繕積立金」をとり崩すことで賄われる。また、マンションの管理規約により「駐車場収入の剰余金」が「修繕積立金」に組み入れられる場合も多い。
しかしこれらの収入だけでは大規模修繕の費用をまかなうのに十分ではないケースが非常に多いので、各大規模修繕の実施時期において、費用の不足分を各戸から一時金として徴収することも計画に組み込んでおく必要がある。

このように長期修繕計画は、分譲マンションの管理運営上非常に重要な事項であるので、通常は管理規約において長期修繕計画の作成を管理組合に義務付けている場合が多い。
ちなみに、国土交通省が作成した管理規約のモデルである中高層共同住宅標準管理規約では、次のような旨の規定を設けて、長期修繕計画の位置付けを明確化している。

1.長期修繕計画の作成は、管理組合の業務である(単棟型規約第31条)。
2.管理組合の理事会は、長期修繕計画の案を作成する(単棟型規約第52条)。
3.長期修繕計画を作成するには、集会の決議を行なう必要がある(単棟型規約第46条)。
4.修繕積立金は、一定年数の経過ごとに計画的に行なう修繕などに限って支出することができる(単棟型規約第27条)。

長期譲渡所得

税務上の概念で、所有期間が5年を超える土地・建物の譲渡に係る所得のこと、所有期間は譲渡した年の1月1日現在で算定する。

これに対する所得税額は、次のように算出される。
「長期譲渡所得金額=譲渡価額 −(取得費+譲渡費用)−特別控除」
「税額=長期譲渡所得金額×税率」

税率は、原則として、所得税15%、住民税5%である(2013(平成25)年から2037(令和19)年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付)。ただし、一定の要件を満たす居住用財産の譲渡については3,000万円の特別控除および軽減税率(所得金額6,000万円までは10%)が適用されるなどの特例がある。

賃借人

物を賃貸借する場合の借主。例えば、賃貸住宅の借主(入居者)は賃借人である。この場合、入居者は、賃借人として賃貸人(貸主、大家)とのあいだで住宅を賃貸借する契約を締結し、賃借権に基づいて居住する。

賃借人は貸主に賃料を支払い、貸主は賃借人に契約の目的物を使用収益させる。賃貸住宅の場合は、賃料は家賃であり、目的物の使用収益とは住宅に居住することである。

住宅の賃貸借については、借地借家法や民法に特別の扱いが規定され、賃借人の安定的な居住が保護されている。例えば、登記しなくても住宅の引き渡しによって賃貸借の対抗力が生じること、貸主が賃貸借契約の更新を拒絶するときには正当な事由が必要であること、賃借人が付加した造作がある場合には、契約終了時に貸主に対して買取りを請求できること、賃借人は住宅を返還するときに原状回復の義務を負うが、使用収益による通常の損耗及び経年変化による損傷については回復義務はないことなどが定められている。

 

賃貸住宅管理業者登録制度

賃貸住宅管理を営業する者(賃貸住宅管理業者)を登録する制度をいう。「賃貸住宅管理業法」に基づく制度である。

管理する住宅戸数が一定規模以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣の登録を受ける義務がある。登録は申請によって行なうが、一定の要件に該当すれば登録を拒否される。登録の有効期間は5年間で、期間は更新できる。

登録を受けた賃貸住宅管理業者は、営業に当たって、名義貸しの禁止業務管理者の選任、業務の一括再委託の禁止、財産の分別管理、秘密の保持等の業務規制を遵守しなければならない。

この登録制度は、法律によって定められるまでは国土交通省の告示に基づいて実施され、ほぼ同様の規制が課せられていたが、登録するか否かは任意であった。法律に基づく制度に移行した結果、登録が義務化されたのである。

なお、この制度に関する法律の施行は2021年6月からである。また、法施行のときに現に賃貸住宅管理業を営んでいる者の登録義務は1年間猶予された。

賃貸住宅管理業法

賃貸住宅を管理する業務を適正に実施するための措置を定めた法律。正式な名称は「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」で、2020年6月に制定された。

賃貸住宅管理業法が定める主な措置は次のとおりである。

(1)賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設

・委託を受けて賃貸住宅の管理業務を行う事業を営もうとする者について、 国土交通大臣の登録を義務付ける。(ただし、管理戸数が一定規模未満の者は義務ではなく任意登録。なお、管理業務とは、賃貸住宅の維持保全及びこれと併せて行う家賃、敷金共益費等の管理である。)

・賃貸住宅管理業者の業務について、次のことを義務付ける。

 a)事務所毎に、業務管理者(賃貸住宅の管理に関する知識・経験等を有する一定の資格者)を選任し配置すること

 b)管理受託契約の締結前に、具体的な管理業務の内容・実施方法等(重要事項)について書面を交付して説明すること

 c)管理する家賃等について、自己の固有の財産等と分別して管理すること

 d)業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告すること

 e)名義貸しの禁止、知り得た秘密を守ること、標識の掲示など

(2)サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置

・サブリース業者及び勧誘者が特定賃貸借契約(住宅を転貸するための賃貸借契約/マスターリース契約ともいう)を勧誘する場合に、契約の相手方に誇大に広告する行為及び家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げずまたは不実を告げる行為を禁止する。

・特定賃貸借契約の締結前に、家賃、契約期間等(重要事項)を記載した書面を交付して説明することを義務付ける。

 なお、法律は、(1)に関しては21年6月から、(2)に関しては20年12月から施行された。

定期借家契約

平成12年3月1日の改正法施行により、借家契約時に貸主が「期間の満了により契約が終了する」ことを借家人に対して、公正証書などの書面を交付して説明する場合には、賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。
原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要である。

テラスハウス

2階建ての連棟式住宅のことをいう。
隣家とは共用の壁で連続しているので、連棟建て、長屋建てともいわれる。
各住戸の敷地は、各住戸の単独所有となっている。

ら行

礼金

建物の賃貸借契約を締結する際に、借主から貸主に対して、謝礼として支払われる金銭をいう。
契約が終了しても通常、借主に返還されない。